食料品店で、除草剤と残留農薬を気にしながら、汚染されていないように見える農産物のどれを避けたらいいかの考えたことはないだろうか?非営利の環境ワーキンググループ(EWG)は12年間にわたって毎年、この疑問に答えるべく、一般的な農産物48種類の中で、どの果物と野菜に残留農薬が最も含まれているかという分析を徹底的に行っている。
EWGは年次報告書「Shopper’s Guide to Pesticides in Produce(農産物の残留農薬に関するショッパーズガイド)」の中で、残留農薬が最も多い農産物をダーティー・ダズン、残留農薬が比較的少ない農産物をクリーン15として公表している。リンゴが5年連続でEWGのダーティー・ダズンの第1位だったが、今年は慣行農法で生産されたイチゴが農産物の中で最も汚染された農産物であると判定された。EWGによれば、検査したイチゴの98%から残留農薬が検出された。全体の40%から10種類以上の農薬が検出され、中には17種類もの農薬が検出されたイチゴもあった。1パイント(約1/2リットル)のイチゴでちょっとした化学薬品のカクテルができるようなものだ。イチゴから検出された農薬のいくつかは比較的安全なものだったが、癌、生殖器や発達障害、内分泌かく乱、神経障害につながる農薬も含まれていたとEWGは報告している。
EWGは最近、報告書でダーティー・ダズン・プラスというカテゴリーも加えるようになった。この部門では、従来の採点基準に基づいたダーティー・ダズンにはランキングされないが、特に有害な種類の農薬が検出された農産物を明らかにしている。今年はケール、コラードグリーン【カラードグリーンとも言われる。日本ではまだ馴染みがないが、キャベツの原種に近い結球しないアブラナ科の栄養価の高い野菜】、唐辛子がこのダーティー・ダズン・プラスに取り上げられた。検査したこれらの野菜から、人間、特に子供の脳や神経系に有害な毒性の高い強力な有機リン酸エステルやカルバメイト系殺虫剤の残留が検出された。
今年のクリーン15では、アボガドの残留農薬が最も少なかった。残留農薬を検出したアボガドはわずか1%だった。パイナップルの約89%、パパイヤの81%、マンゴの78%、キウィの73%、カンタロープ(赤肉種のマスクメロン)の62%は残留農薬を検出しなかった。
EWG年次報告書は、最も農薬に汚染された果物や野菜をリアルタイムで明察して発表するという偉業を行っているが、この分析が農薬や除草剤散布の環境負荷を全く計算に入れていない点に注意することが重要だ。生態系や我々の健康に対して潜在的に有害な農薬の使用に反対する最善策は、自給自足か、米国農務省認定オーガニック製品の選択か、生産方法が透明な地元の生産者からの食材購入だ。しかし、こうした選択肢を簡単に選ぶことのできない人々にとっては、どの果物や野菜に農薬が多く含まれているかを知ることが、購買時に役に立つ、重要なステップとなる。EWGの2016年次報告書の概要全体を読むにはこちら http://goo.gl/T3Bk9E をご参照。
翻訳:松並 敦子
たのしい暮らしをつくる
マザーアースニューズ
Pesticides on Produce: The New ‘Dirty Dozen’ List
By Shelley Stonebrook
August/September 2016
コメントをお書きください