発酵に使う塩の量

自分で収穫したもので発酵を始めたいな。確実に安全に食べるにはどれくらいの分量の塩を使うべき?また、発酵食作りに一番良い容器は何だろうか?

 

文:サンドル・カッツ (Sandor Katz)

翻訳:浅野 綾子

 

昔から、野菜はたっぷりの塩で発酵させる。塩は野菜から水分を出すのに加えて、歯ごたえを良くし、また、乳酸菌以外の菌の繁殖を抑えながら、野菜に含まれるペクチンを固める。乳酸菌と共存できない菌の繁殖を抑えることで、塩は野菜を発酵させて長期間保存できるようにする。保存は昔から発酵の大切な目的の1つだったため、発酵食品はとても塩辛くなりがちだ。でも、健康志向の人たちの主な関心は風味と栄養だから、塩分が薄い方が良いこともあり得る。好みに合わせて塩を軽めにしよう。 

 塩を取り除くよりも、増やす方が簡単だ。けれども、塩を入れすぎてしまったら、水を加えたり、もっと野菜を入れて薄めることができる。始めは野菜2キログラム強当り塩大さじ3から試してみよう。塩を多くすると発酵の進みは遅くなり、少なくする(もしくは入れない)と速くなる。塩を少なめにすると表面にカビが出やすくなるかもしれない。塩を省いたり、セロリジュース(私のお気に入りの塩無しバージョン)や海藻のようなミネラル豊富な他のものを使うこともできる。どちらにしても野菜が漬け汁に全部漬かっているかどうかは良く確認しておこう。

 塩を入れないザワークラウトの方が、塩入のものよりも、有益な微生物が多く含まれていると主張している人たちがいる。私はそうは思わない。発酵のために一番働いてくれる菌の乳酸菌は、耐塩性で、塩気のあるザワークラウトの中にもたくさん住んでいる。おそらく、塩を入れずに発酵させたものには微生物の多様性があるだろうが、この多様性は多くの場合どろっとした食感となって表れるだろう。塩を入れずに野菜を発酵させることはできるが、少しの塩が風味と食感をぐっと引き立てる。同時にたくさんの善玉菌をもたらしてくれる。

 重いセラミックでできている円筒形のかめは、高価でなかなか見つからないが、理想的な発酵容器だ。ガラス製の容器は使い勝手が良い。特に、円筒形か口が広いものだ。内側がセラミックのスロークッカーは、発酵に効果的な容器になる。大抵これはリサイクルショップに行けば見つけることができる。ピンチについては、プラスチックを使うこともできるが、食品レベルのものでも有毒な化学物質が溶け出る。

 円筒形が良いという理由は、野菜全体を漬け汁の中に漬けて、上に浮かび上がらないよう重しをするのが簡単だからだ。普通、私は容器の口にぴったり合う皿を使う。いっぱいに水を入れたジャグ【栓付きの取っ手のある水差し】で重しをする。それから、ハエが来ないように容器の口に布を被せておく。これを私は「蓋しない (open-crock) 」方法と呼んでいる。他のどのような形の容器でも、臨機応変に使うことができる。もしくは、野菜全体が漬け汁に漬かるよう、手で野菜を押すこともできる。

 どのようなタイプの容器を使う際も、野菜の細胞壁を壊して水分を出すために、力を使って詰め込もう(野菜を丸ごと入れる時は除く)。私は先の丸まった木製の押し道具を使っている。木の切れ端や、握りこぶしを使って工夫したり、手で野菜をもみ込むこともできる。野菜のかさが減っても、引き続き何時間もかけて塩が野菜から水分を引き出していくだろう。次の日までに野菜が漬け汁に浸っていなかったら、水を少し加えよう。

 「十分に漬かるまで発酵させる」と多くのレシピにあるが、野菜が十分漬かったかどうか、最後の判断はあなたがしなければならなくなる。酸味(乳酸による)は時が経つにつれて進む。長く発酵させる程酸味が強くなっていく。涼しい時よりも暖かい時の方がこの発酵の進みが速い。気温が下がる秋の収穫時に漬け始めると、半年かそれ以上漬けておくことができる。これは、冷蔵・冷凍の技術ができる前に、人々が生き抜くために用いた1つの方法だ。一方、強い酸味よりもまろやかな風味を好む人は多い。始めて漬物を作るときは、早い段階に何度も味を見よう。3日後に少し食べてみて、それからまた3日後、さらに3日後と食べてみよう。発酵が生み出す風味の広がりを知り、あなたの好みを見つけよう。

 

「Revolution Will Not Be Microwaved (仮訳:革命はレンジでチンでは起こらない)」から翻案。印刷許諾:Chelsea Green Publishing

 

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Amount of Salt to Use for Fermentation

9/29/2016 3:41:00 PM 

By Sandor Katz