掘り出し物: 地域のためのコンポストビジネス

フェニックスの若い会社が鉱脈を掘り当てた。食料残渣を再利用してリサイクルすることで、消費者、事業者、土地、そして埋立てが助かっている。

 

文:Rebecca Martin

翻訳:洲澤 朱美 


フェニックス州南部山脈の山あいの、送電線の下に包み込まれた場所に、新しい持続可能なビジネスが展開中 — すばらしいやり方で。リサイクルシティ、小規模であるけれども成長中の会社が、埋め立て地に提供する代わりに、人々に食事を提供するために食品廃棄物を使っている。

 リサイクルシティでは、ほとんど全ては回収、再生利用、修繕される。食品廃棄物は収集され、堆肥化される。その堆肥は作物を育てるのに用いられ、その作物は顧客に行き着き、そして顧客の食品廃棄は収集され堆肥にされる … このように、途切れのないよい循環になっている。リサイクルシティが他の堆肥会社と大きく違うのは、リサイクルシティでは、過程のあらゆる部分を直接管理するということだ — 収集、堆肥化、生育、など。「我々がすべてを統合するので、リサイクルシティは格段に他より優位だ」と、所有者J. D.ヒルは説明する。

 

ゴミでない、必要ない

 このような仕組みだ: 適度な毎月の料金と引きかえに、リサイクルシティは、顧客が食品廃棄物を収集する蓋付きのごみ箱を提供。一杯になったごみ箱は、毎週、隔週または毎月(顧客の選択したプランによる)、新しいごみ箱とぼかし1袋に交換される — 地元の醸造所からの糖蜜、イースト、バクテリアと乾燥マッシュ【mash:すりつぶした大麦を湯にひたしたもの】の組合せもある。匂いを減らしつつ、ぼかしは分解プロセスを加速。普通の植物の皮と外皮の他に、この強力なぼかしの調合では、顧客は肉、魚、乳製品と食物が染み込んだ紙、さらにより変わったゴミ(例えば指の爪と髪切りくず)も混ぜて良い。企業顧客は、高めの料金を支払うことで、より大きなごみ箱を供与され、より頻繁な回収がある。リサイクルシティの収集ルートは、フェニックス中心部からスコッツデールとテンピ、またイーストバレイ地域に十分入り込むところまで何マイルにも渡り広がっている。

 リサイクルシティに戻り、食品廃棄物は計量、記録される。70ポンド(約32kg)のゴミあたり、1立方フィート(約30cm立方)の出来上がった堆肥を、住居の顧客が受け取ることが出来るが、ほとんどの持ち家所有者は、 それを、リサイクルシティの協力者の一つである(地方公共事業会社により所有されている隣接した土地で作業している)非営利の農場に寄贈することを好む。オーチャードコミュニティーラーニングセンター (OCLC) によって7エーカー (28,330㎡) が管理されており、柑橘類の木、野菜、果物、花、ハーブが実を結び、OCLCの週末市場や地域の農家市場や、地域支援型農業 (CSA) プログラムを通じて販売している。

 市街のコロナード地域菜園 (Coronado Community Garden) とスコッツデールのダックス農場 (Dax’s Farm) を含む町の周辺のリサイクルシティの協力者の土地では、わずかに違う方法で行われる。食品廃棄物は、それらの地域で収集され(コロナード内を自転車で)それを地元で堆肥にし、栄養分をリサイクルシティの職員により維持される菜園に大量投入するように、この周辺地域に置いておく。それによって出来た生産物はCSAを通して提供され、直接会社の収益になる。

 リサイクルシティには、現在およそ550世帯の顧客と50社の顧客がいて、フェニックス・メトロバレイで家庭と企業から毎月、およそ60トンの食品廃棄物を収集 — わずか4人の従業員で(55ページの上の写真はそのうちの3人)。収集物は、聖メアリーフードバンク(St. Mary’s Food Bank:1967年創立で世界初のフードバンクと言われている)を含む新しい企業顧客の追加で、あっという間に2倍になる予定。

 家庭も企業の顧客も、ゴミの-行き着く場所以上のものを希望している。自分の堆肥で育った食物も望んでいるのだ。これは、特に企業の顧客にとって当てはまる。テンピにあるレストラン、ハウスオブトリック (House of Tricks) のシェフは、毎週、リサイクルシティの生産物で特別な一皿を創る — さらに、その食品廃棄物をリサイクルすることで、レストランではその大きな大型ごみ箱の1つを破棄することができた。家庭の顧客は、少し多目に払うことで、通常の新しい堆肥箱とぼかし調合とともに、彼らの堆肥にされた食品廃棄物から育った生産物のCSA野菜箱を含む配達を選ぶことができる。

 

根をおろす

 J. D.ヒル個人の物語は、アリゾナから遠く離れて始まる。 彼は、菜園造りを郊外のミネソタ州(栽培時期は「とっても伝統的で雪融け後」だと説明)で青少年期から始めた。彼は図書館の本とインターネットの情報で独学、その地域で生産的に菜園を耕すことで実践体験を得た。ヒルは、ビジネスの学生としてアリゾナにやって来た。2008年に卒業時、金融関連の仕事がなく、アリゾナ州立大学の新設された「School of Sustainability」に入学。アメリカの95%の食料廃棄物は埋め立てか焼却炉に最終的に持ち込まれることを学び衝撃を受けた。

 ミネソタでの夏とアリゾナの冬の期間、住まいを変えながら過ごした2、3年後、彼と彼の兄弟ダニーは、堆肥ビジネスを始める啓示的な決定に至る。(その時、ダニーはグローイングパワー (Growing Power:ミルウォーキー州でウィル・アレンが始めた象徴的な都市農業プロジェクト) 向けにアクアポニックスの設営管理を行っていた。)兄弟はリサイクルシティを始めるために親友数名と手を組み、「我々は、地域の堆肥を使い、食物砂漠の中に都市農地を創る」というモットーを採用。ヒルが好んで言うように、自身の目的を見つけた。リサイクルシティは2014年初めに、その最初の堆肥の切り返しをした。

 最初J.D.ヒルはすべてを手で行い、溝を掘り、堆肥を生産するため、シャベル何杯分もの土で、食品廃棄物を埋めた。彼はうまくやっていたが、ぎりぎりの状態だった。幸運なことに、テンピ農家市場での出会いでOCLCとの協力に繋がり、しばらくしてリサイクルシティは少しだけ余裕ができた。

 

異なる種類の砂漠

 フェニックスが気候学的な砂漠にあることは明らかだが、都市の地域もまた食物砂漠であるはそれほど明白ではない — 住民の少なくとも3分の1が低収入で、スーパーマーケットや大きな食料品店から1マイル以上の生活都市なのだ。この事実を打ち破る魅力、それはフェニックスには3回の栽培時期があることだ。ほとんど、どんな食用の野菜または果物でも、秋、冬または春にそこで生育する。 あらゆる主要都市と同様に (フェニックスは、アメリカ合衆国で6番目に大きな都市)堆肥化と耕作に準備が整っている不使用の土地の小区画が、その都市景観に散りばめられている。

 気候学的な砂漠では多くのことはできないが、あなたは食物砂漠の方向性は変えることができる。リサイクルシティの目標は、常に良質な有機栽培の地元の食物を手に入れられるようにすることだ。尚、地元で育てられた生産物をフェニックス中心部で見つけることは難しいものの、多くの事業者が堆肥に変えられる食品廃棄物を生み出していて、ひいては地元の生産高が増すように、健康的な土を作っている。市による最近の研究で、食物と庭のゴミがフェニックスのゴミの45%を占めていることが判明。市は2020年までにその食品廃棄物を激減させるため率先し、試験的プログラムのため、リサイクルシティを選択。3年契約で、市庁舎と2つの他の施設で定期的に廃物回収行い、その引きかえにリサイクルシティに現金を支払う。現金は大歓迎。現在、リサイクルシティは1台のおんぼろトラクターで堆肥の大きな山を撹拌、そして、従業員は1台の古いトラックで食品廃棄物を回収。より新しい機器にアップグレードすべく計画が進行中。

 リサイクルシティは多くの労働人員も絶対的に必要なのだ。50以上の企業顧客と更に多くの個人住宅所有者の契約待ちリストに、都市農地の新しい賃貸契約も加わり、持続的な立ち上がりが、劇的な成長の始まりとなっている。ヒルは、管理者、販売員と数人の菜園家を探している。 リサイクルシティに対する彼の野心的な計画は、要員と器材に止まらず遠く広がっている。「私は、この会社が、有機農業において、国で最も大手の会社の1つとなるのを思い描いています」と、彼は言う。「私たちは新しいビジネスモデルを作りましたが、それが多くの人々によってコピーされようとしています。私は最初からこう言ってきました。完全な循環のビジネスモデル(食物から食物へ)はいつか主流になる。」フェニックスでは、その日はすぐに手の届く所にあるのかもしれない。

 

堆肥リーダー達

堆肥化ビジネスは国中の都市食品廃棄物を救済中。

 

リサイクルシティの背中を押した2団体を紹介。

• コンポストキャブ:ワシントン

• コンポストペダラーズ:テキサス州オースティン (食品廃棄物は全て自転車で回収)

 

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Dirt, Cheap: A Composting Business for the Community

By Rebecca Martin 

December 2016/January 2017