極上ソースと斬新なビン詰め用の滅茶うまトマト

トマト通のオーガニック菜園家が、風味、確実性、何年にもわたる経験からお勧めするお気に入りの栽培品種。

 

 

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ソースやビン詰め用に最高なトマトを見つけよう。

文:クレイグ・レウリエ

翻訳:浅野 綾子

 

あなたのソースとビン詰めレシピにぴったりのトマトを見つけよう

家庭で作る美味しい保存トマトの基本は、もちろん、美味しいトマトだ。ケチャップやトマトペースト、その他水分をかなり飛ばすことが必要なレシピを保存加工する時は、水気が多すぎない、もしくは種がたくさん入っていない肉厚のトマトを選んで時間を短縮しよう。適切なチョイスには、ハート型やビーフステーキ型と並んで、ペースト用トマトやプラム型トマトがある。形や大きさは、保存加工における栽培品種の向き不向きの判断基準になるかもしれないが、色はその判断要素になることは全くない。

 トマトは、まるごと冷凍パックにいれて簡単に冷凍することができる。泥をきれいに落とし、腐敗している部分を除くためにさっと確認することを除いては、何の準備もいらない。ビン詰め前の皮むきは、個人的好みの問題だ。でも、この多少手間のかかる手順を飛ばすことで、初心者にとって、作り方全体がもっと取っ付きやすくなるだろう。

 

トマト用語を読み解く

 D:有限花序。このタイプはすべて、4本の支柱もしくは背の低い囲い支えのある、5ガロン(19ℓ弱)かそれ以上のプランターで栽培されることが多い。

 I:無限花序。こちらはトマト科の怪物で、シーズン終わりには8フィート(240cm強)かそれ以上に成長する。枝の広がりは、剪定と支えの仕方で決まる。麻ひもで背の高い支柱に結ぶか、高さ6フィート(180cm強)、幅3フィート(90cm強)の金網でできた囲いをしよう。

 H:エアルーム品種。ここにあげたトマトはすべて自然授粉で、多くはそれぞれに特別の物語と長い歴史を持つエアルーム品種だ。

 

伝統的ピア、プラム、細長型栽培品種

 これらのタイプはどんなソース・ペースト・ビン詰め村でも働き者のトマトだ。とても肉厚で、時に水分が少なく、ほとんど種がない。果肉はすぐに濃厚な一品に仕上がる。生で食べて美味しいものもあれば、風味を引き出すのに焼いたり調理が必要なものもある。

 「バナナ・レッグス」(D):かなり最近になっての開発品種。このシーズン中頃の安定的な自然授粉栽培品種は、豊産で色艶が良い。トマトは細身で、果肉は黄色、(表面に)濃淡のある縞模様がある。このトマトの穏やかな風味は、調理で引き立つ。

 「クリーム・ソーセージ(通称:バナナ・クリーム)」(D):これは、白いトマトソース作りに頼りになる栽培品種だ。小柄だがしっかりした蔓は、ペースト用トマトの形をした淡いクリーム色の実をたくさん実らせる。トマトは生で食べるのに良く、調理に更に向いている。

 「グリーン・ソーセージ(通称:グリーンスリーブス)」(D):食べ物で遊び心を満たしたい人たちに、熟しても緑の果肉のペースト用トマト。シーズン中頃に実ができ、小柄だがしっかりした蔓にたくさん実ができる。トマトの実には、おまけで濃淡ある緑の縞がついている。

 「マルティノス・ローマ」(D、H):この伝統的エアルーム品種のローマ・トマト【標準的なペースト向きトマト】は、シーズン中頃に実ができ、超豊産で、収穫期の一時期に集中してたくさんの実を結ぶ。生のトマトは硬く、やや水分は少なく、風味は穏やか。だからビン詰めやソースにぴったりだ。

 「オパルカ」 (D、H):たくさんある無限花序のエアルーム品種のペースト用トマトのうちの1つで、大きな赤いピーマン (red frying peppers) に似た実をつける。その多くは、長さ6インチ(15cm強)、幅2インチ(5cm強)の大きさ。生で食べておいしく、とても肉厚でほとんど種がないので、ビン詰めやソースに最適だ。

 「オレンジ・バナナ」(I、H):このロシアのエアルーム品種は、背が高く成長する蔓に、オレンジ色の美しいトマトをたくさん実らせる。シーズン中頃から終わり頃にでき、伝統的な細長のペースト用トマトの形をしている。生で食べても良く、この栽培品種でオレンジ色の濃厚なソースを作ることができる。

 「ローマン・キャンドル」 (I):「スペックルド・ローマン」の親戚。このシーズン中頃にできるトマトは、太陽のような明るい黄色で、たくさんの細長いトマトをつける。風味は穏やかな部類に入り、トマトは調理、もしくはビン詰めに最適だ。

 「スペックルド・ローマン」(I):私のお気に入りのこのペースト用トマトの栽培品種は、決め手となるすべてを兼ね備えているかもしれない。耐病性に優れ、シーズン初期から中頃に実り、豊産性で、どのような食べ方でも風味が素晴らしく、鮮やかな赤色に金色の縦縞の独特な柄がある。

 「ウクライナ・パープル(通称:パープル・ロシアン)」(I、H):もう1つの私のお気に入りのペースト用トマト。豊かな風味に、伝統的なローマ・トマトの形で、「チェロキー・パープル【ネイティブ・アメリカンのエアルーム品種】」色。

 

ハート型栽培品種

 その多くは濃厚な美味しさで、概して多肉質。果肉は時として多少水分が少なく、びっしりと実が詰まっている。このトマトのタイプは、加工・保存トマトとしてより伝統的なプラム型かペースト用トマトの類に入るだろう。ハート型トマトは、大きさ8オンス(220g強)のものから1ポンド(450g強)をかなり上回るものまであり、シーズン中頃から終わり頃に実をつけることが多く、収量を上げるには直射日光に少なくとも1日当たり6時間当てることが必要だ。

 「アナ・ルシアン」(I、H):これは、私がエアルーム品種に興味をもったきっかけとなったトマトの1つだ。オレゴン州のブレンダ・ヒレニウス (Brenda Hillenius) は、1988年に、親切にもこの栽培品種の種を私に分けてくれた。彼女の祖父ケニス・ウィルコックス (Kenneth Wilcox) はロシアからの移民にこのトマトを分けてもらった。私の好きなピンク色、ハート型の栽培品種で、このトマトの風味、収量、食感は素晴らしいの一言。

 「レイフのイタリアン・レッド・ハート (Reif’s Italian Red Heart)」(I、H) :この超豊産で水分の多い、中サイズの栽培品種は、友人のジム・レイフ (Jim Reif) のために私が名付けた。ジムは、このトマトを私にくれる前に、年輩のイタリア人男性から譲り受けた。ハート型栽培品種によく見られる、涙を流しているように小さなトマトの房をつけた群葉があり、ずば抜けた風味のある万能トマトだ。

 「イエロー・オックスハート (Yellow Oxheart)」(I、H):リビングストン・シード・カンパニー (Livingston Seed Company) は1920年代にピンク色の大きな「オックスハート (Oxheart)」トマトの相棒として、この淡いオレンジ色の特大ハート型トマトを発売した。この栽培品種は「商業エアルーム品種 (commercial heirloom)」の見事な1例、苗・実から収量・風味に至るまで、すべてにおいて「ビッグ」と言える。

 

ビーフステーキ型トマト

 菜園の正真正銘のお化け、果肉たっぷりのこの栽培品種は、概してパンチの効いた美味しい風味が強みで、ぎゅっと音を上げてソースになる。このタイプのトマトを使ったソースとビン詰め食養法のレパートリーを広げることで、あなたの努力の成果はばっちり出るだろう!

 

あふれるトマト、すぐに出来るお助け法

 格別に良く収穫できたトマトの重みでキッチンカウンターがきしむ時、ガスの上でぐつぐつ煮込むより、オーブンでローストすることを考えてみよう。オーブンをあらかじめ150℃に温め、トマトスライスに、オリーブオイル少々、それぞれ刻んだ、玉ねぎ1個、ピーマン1、2個、にんにく数かけを合わせる。2、3時間ローストし、時々かき混ぜて、出来る限り最高に風味の高いトマトを作ろう。出来上がったら(今にもかぶりつきたい食欲をガマンできるなら)、ローストトマトをそのまま冷凍かビン詰めに、または保存する前に裏ごしてペーストにしよう。

 

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Terrific Tomatoes for Spectacular Sauces and Creative Canning

By Craig LeHoullier 

February/March 2017