太陽光発電と家畜の組み合わせ、リペア・カフェ、Buy Nothing グループの最新情報。
米国では太陽光発電から得るエネルギーの利用が増えるのに伴い、太陽光パネルを設置する土地を確保する必要性も増しています。設置場所では、たいていの場合、パネルの下に生える草などの植物を活用できないものとして土地の所有者はあきらめることになります。しかし、活用の道はあります。最近の調査で、使い道のないと思われる空間を生産的に活用できることが明らかになりました。
翻訳:山下 香子
オンライン科学雑誌プロスワン (PLOS ONE) 2018年11月号に掲載されたオレゴン州立大学の調査報告によると、干からびた土地や水不足の土地に太陽光発電パネルを設置するとパネルの陰になった場所で保水性と水分利用の効率性が高まり、生物の生存繁殖に適した微気候が地面近くに発生するため、植物と土壌の健康が増進することが認められました。パネル下の区域で晩期の生物量が 9 割増えたことが計測され、植物の栄養価と生産性が高まっていました。太陽光発電方式の農場を設計する際にパネルの陰になる土地への効果を考慮に入れれば、太陽光発電と作物生産を両立するソーラーシェアリング(営農型太陽光発電)の土地にすることができると研究者らは述べています。この二重生産的な方式はアジアや欧州では普及していますが、米国ではそれほど広まっていません。調査報告にはこうあります。「同じ土地でエネルギー生産と牧草栽培ができれば、土地利用が二者択一ではなくなり、再生可能エネルギーと農業生産が両立する可能性がある。これは、農業にとって有益と思われる」。さらに、「影が一定のパターンになるようにパネルを調整することで着実に生物量を増やし、保つことが可能になる。そうすれば、その土地は資源を最大限に用いることができる」と調査報告にはあります。ソーラーシェアリングの経済性や様々な気候による影響については、今回の調査結果に基づいてさらに研究を進める必要がありますが、ソーラーシェアリングが最も効果を発揮するのは、冬には降水量が多い半乾燥気候の牧草地と見られています。
米国では、ほかにも農場経営者と太陽光発電施設が、植物のみならず家畜までもを組み入れた環境配慮型の太陽光発電事業の開発を試みています。米国国立再生可能エネルギー研究所 (NREL) によると、急進展している方法のひとつは、太陽光発電パネルを設置した土地に羊の群れを放牧し、その地上設置型装置の下に生える草を羊に食べさせるというものです。この方式では、羊を放っておくだけで、草を刈る費用を抑えられます。牧羊業者が太陽光発電事業開発業者と提携して双方に有益となる取り引きをする事例もあります。このような提携では、牧羊業者は放牧地を手に入れることができ、開発業者は少ない経費で植生の管理ができます。NREL の分析研究員ジョーダン·マクニック (Jordan Macknick) は自身のプレゼンテーション「営農と太陽光発電を両立する土地供用の有益性についての概説 (Overview of opportunities for co-location of agriculture and solar PV)」で以下のように説いています。植生と家畜を太陽光発電パネルアレイの運用に組み合わせると、土地所有者と開発業者の双方の益となります。土地の所有主にとっては、風と土壌浸食を防ぐこと、授粉媒介者の生息地を増やすこと、そして土壌の健康を守ること、これらが可能になるので有益です。太陽光発電事業開発業者にとっては、用地造成の手間をある程度省くことができ、設備の設置、運用、維持に関連する費用も抑えられるという利点があります。
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