古代穀物を現代の栽培家に

マザーアースニューズ 自然 自給 DIY 社会 コミュニティ アメリカ

最も栄養価の高い全粒穀物は、栽培化されて以来、その姿を変えていない。

文:ベビン・コーエン(Bevin Cohen)

 

翻訳校正:松並敦子・沓名 輝政

 

 

 

古代穀物とは何でしょうか? 最も栄養価の高い全粒穀物は、栽培化されたときからずっと変化していません。あなたの菜園に古代穀物を取り入れて、農場の価値を上げて料理の栄養を高めましょう。 

 

 「古代穀物」という言葉は、健康食品業界のマーケティング用語としてよく使われています。専門的な定義はありませんが「古代穀物」とは、種子を食用にするために栽培され、栽培化された当初から比較的変化していない穀物であると広く知られています。一方、市販されている小麦などの近代穀物は、広範な品種改良によって本来の姿から大きく変化してきました。その結果、大規模な商業生産に適した作物が作られるようになりましたが、古代穀物に含まれていた栄養素が不足していることが多いです。古代穀物の多くはイネ科[学名:Poaceae]に属しますが、疑似穀類のアマランサスやソバのような例外もあります。

 

 近年、特にパンデミック以降、地元の食材やガーデニング、持続可能な食料生産への関心が非常に高まってきました。もちろん、主食となる穀物が私たちが摂取するカロリーの大部分を占めているので、持続可能な食料システムの基礎となるのは地元で栽培された穀物です。幸い、栄養価の高い古代穀物にはさまざまな種類があり、個人で栽培するための種も販売されています。小規模農家でも、自営農場主や熱心な家庭菜園家でも、きっと、あなたにぴったりの古代穀物が見つかるはずです。

 

 

 

小麦

 

 古代穀物と考えられている小麦は数種類あります。これらの種はいずれも約1万年前に、肥沃なデルタ地帯として知られる中東の地域で栽培化されました。実際、ヒヨコ豆、エンドウ豆、レンズ豆、亜麻、大麦、イチジクなど、多くの食物がこの地域に由来しています。小麦の品種には、種を植える時期によって春まき用と冬まき用があります。春小麦はその名の通り春先に植え、冬小麦は秋に植え、菜園で越冬させます。小麦の種類ごとに、春まき用と冬まき用があります。植え付け時期の違い以外は、どの小麦も同じように育てられ、収穫されます。

 

 

 

アインコーン(ヒトツブコムギ)

 

 アインコーンは栽培化された小麦の中で最も古いものとされています。アインコーンは、野生種[学名:Triticum boeoticum]と、その栽培品種[学名:T.  monococcum]の両方を指す言葉として使われています。この小麦は最も原始的な種で、現代の小麦が42本の染色体を 持つのに対し、わずか14本の染色体しか持っていません。アインコーンは他の小麦よりも種子が大きく、タンパク質が豊富です。消化も良く、グルテン不耐症の方でも問題なく食べられます。

 

 

 

エンマー

 

 エンマー小麦はかつて広く栽培されていましたが、現在では近代的な小麦に取って代わられました。この品種[学名:T. turgidum]はアインコーン小麦と他の野生の草の種との自然交配から生まれたと考えられています。アインコーンやスペルト小麦と同様に、エンマーの種は外皮を剥いて出せないため、製粉するか叩いて粒を分離させる必要があります。

 

 

 

ホラーサーン 

 

 ホラーサーン小麦[学名:T.turanicum]は原産地から名づけられました。非常に珍しい品種ですが、大粒で味わい深い種子をつけます。 商業的にはカムット(Kamut)と呼ばれます。残念ながら、この小麦はモンタナ州にある会社によって改名されて、特許を取得されて、商標登録されました。

 

 ありがたいことに、特許を取得していないホラーサーン小麦の種は、今でも地域の小さな種苗会社から入手できます。粒は一般的な小麦の3倍ほどの大きさがあり、脱穀が容易なので、小規模の生産者に最適な品種です。

 

 

 

おいしい料理  

 

 「古代穀物」というと、ブルグルやファッロ、フリーカといった穀物を指すことがありますが、これらは穀物ではなく、小麦から作られる様々な調理の名称です。

 

 ブルグルは「リフォス(riffoth)」または「ブルガル」とも呼ばれ、小麦の実を砕いて湯がき、乾燥させてから包装したものです。西アジアの料理で、調理が簡単なので、さまざまな料理に応用できます。

 

 ファッロは、アインコーン、エンマー、スペルトの3種いずれかの小麦から作られます。市販のファッロは、ふすまを取り除いた「パール状(pearled)」のものが多いですが、この料理では全粒粉の小麦を使うのが一般的です。ファッロはイタリアの調理と思われがちですが、他の地域でも似たような料理が作られています。

 

 フリーカは、中近東や北アフリカの料理で、成熟前に収穫した青デュラム小麦を焙煎し、独特の風味を出すために擦ったものです。その後、粒のまま、または割って、水分を吸収して柔らかくなるまで水煮にします。。。

 

* 今号の記事全文は1月上旬までのご注文でご利用いただけます。こちらからどうぞ

* 今号の和訳抜粋サンプルは12月上旬に作成予定。こちらからどうぞ

* 和訳全文は1年おきに発行される和訳電子版のバックナンバーでお楽しみください