菜園で体を動かす暮らしをしよう

マザーアースニューズ 菜園 エクササイズ

菜園の日々の作業を通じて、体を動かして、筋肉を伸ばして強化しよう。

 

文:レイチェル・ダプリー(Rachael Dupree)

翻訳:金広まさみ

 

ボディビルダーのサム・シカモア (Sam Sycamore) は、激しいジムでの管理体制を続けられなくさせた自転車事故にあった後、農業にすっかりはまりこみました。ひじの弱さは肩に慢性の痛みを引き起こし、まもなく長年日課だった運動を構成していた自転車、水泳、重量挙げという激しい日課をまったく持続できないとわかりました。「怪我のおかげで、どうやって、何故体を使うかについて困難な決心に向き合うよう強いられたのです。」と彼は言います。

 農業は、かつて、遠い未来に従事するだろうと考えるようなものでした。しかし健康を考えたので計画は変わりました。ケンタッキー州ルイビル郊外で小規模の特産作物の生産を始めるために、0.1ha の菜園と 1ha の牧草地を賃借することに決めました。シカモアは、農場周りで毎日の仕事をすることは、繰り返しの多いジム運動をより複雑で役に立つ一連の動きと交換することだと発見しました。本質的に、かつてボディビルダーとしてやっていた頃より、もっと健康的なやり方で体を動かすことができました。

 私たちは、自分の畑や裏庭からの新鮮な有機栽培で作られた農産物で食事ができ、家計が助かることを知っていますが、菜園を自分個人のジムと考えて使用し始めると、ますますお得になります。

 

運動パーマカルチャー

 菜園での労働を通して精力的な全身運動を取り入れるのは、生体力学者で「問題は運動 (Movement Matters)」という本の著者、ケイティ・ボーマン (Katy Bowman) が「運動パーマカルチャー」と呼ぶ考えです。ボーマンは、筋肉群を選ぶことに焦点を当て、自然界から切り離された典型的なジム運動を「ジャンクフード運動」と呼びます。長期的にはジャンクフード運動は体に良くないです。「運動パーマカルチャーを実践するには、動き続けることができるような方法で、しばしば広範囲に高い質で、残りの人生のために動くことです。」と彼女は言います。

 シカモアが土により近い暮らしを始め、自分が育てたり採ったりする食物の持続可能性について考え始めた時、その活動で生じる運動は彼の体にとっても持続可能だと良く分かりました。ジムで繰り返しスクワットをする代わりに農業をすることは、全身を使う活動的な動きを促進しました。

 「植物や土と働くことでいつも、すっかり深いスクワットをしています。」と彼は言います。「体の重さのスクワットで、特別な重さをかけないので、その運動を完全に終えることができます。カニの横歩きのような事ができるし、腰の全可動域の動きもできます。」

 ジャンクフード運動は、ただジムに追いやられている訳ではありません。多くの現代農業技術(機械化された機器から簡単な裏庭の道具まで)は、最大限の範囲まで体を使う機会を奪い去ります。そして運動モノカルチャーは身体に損害を与え得るのです。

 「道具は動きの多様性を減らし、体全体の動きの分布を変えます。筋肉への繰り返しの多い動きを増やし、使う道具によって酷使を引き起こします。」とボーマンは言います。

 菜園への取り組みをただ再検討すると、ボーマンが言う「運動栄養素」を取り入れることになるでしょう。彼女のお勧めには以下のようなものがあります:

一つの仕事に違う道具を使う。

1日の異なった時間に働いて、光と温度の変動に体を順応させる。

裸足で菜園作業をする。

若い菜園家か、駆け出しの菜園家と一緒に働く。

 

「ジャンクフード運動」を避ける

 体の動きについて疑問に直面した時、シカモアは「Uncaged Human(檻から出た人間)」の創設者で「Embodied Strength(体現された力)」の共同設立者のジョナサン・ミード (Jonathan Mead) を頼みにしました。両方のプログラムとも、痛みを減らし怪我を防ぐ方法で体を使うのに役立ちます。ミードは運動モノカルチャーから離れたい菜園家に次の助言をします。

 たびたび姿勢を変えること。菜園家は、だいたい繰り返し同じ筋肉群を使う姿勢で身をかがめたり働いたりします。これが痛みの原因です。「私のスローガンは、『次の姿勢が最善の姿勢だ』です。」とミードは言います。彼は、2、3分毎に新しい姿勢にするよう勧めます。

 例えば草抜きをしたり植えたりしている時、スクワットか片方か両方の踵を上げる変形スクワットで始めましょう。作業する間、左足と右足の間で前後に重心を移動させます。それから、一方の腕を支えにしつつ、フェンシングの突きの動作に移りましょう。筋肉が弱ったり疲れる前に膝を変えましょう。それから、使う手も膝も変えるられます。利き手でない方を使うよう考えてみましょう。

 「体にもう少し多様性を与えるのです。そうすると、時間をかけて長寿につながり、つまり、もっと長く畑仕事ができることになります」とミードは言います。

 体の芯の力を使う。ミードがよく目にするのは、菜園家が鍬を使ったり収穫する時、たとえば腕のような小さな筋肉群を使っていること。これは筋肉疲労につながります。彼は、もっと長い期間動き続けるようにするエネルギーと能力を利用するために、胴や腰のような大きな筋肉群を利用することを勧めます。草抜きや収穫をする時、胴から引っ張り、同時に腕は梃子の働きをします。鍬を使うためには、脚を地面にしっかり置き腰から動きます。「背を丸くして腕を使っているなら、最大の筋肉を使っていません」と彼は言います。「腰の回転運動を使うことができるなら、もっと大きな力を生みます。」

 力の方向に関節を揃える。移植する植物を植えるために土を掘ったり、草を引き抜いたりしている時、ほとんどの菜園家は腕だけ使っています。これはすぐ筋肉を疲れさせ、繰り返しの多い動きから怪我をしがちになります。しかしながら、作業する時に自分の体重を使うと、使い過ぎた筋肉から緊張を取り除きます。「道具に体重を乗せると、もっと多くの力が生み出されます」とミードは言います。「手首の上に肩があることを考えましょう ― 自分に有利になるように重力を使うのです。」

 荷は体の近くに保つ。菜園シーズンは必然的に、重い荷を持ち上げて運ぶことを意味します。ミードは、筋肉と結合組織への圧力を防ぐために荷を体にくっつけて持つように助言します。持ち上げる時は、腰から体を曲げて背骨をまっすぐにしたままにします。

 「私は人々に尾てい骨を伸ばすように言います」とミードは言います。「膝を曲げると、背骨を一直線に保っている間中、地面により近くなります」

 伸ばす。最後に、ストレッチの時間を設けて、すべての菜園活動を終えます。、腰を広げることと背中の柔軟性を促進することに特別の注意払いましょう。じっくりと伸ばすストレッチをする代わりに、ミードは「虹のように伸ばすこと」を勧めます。彼は言います「360度の範囲で動きなさい。すると最も広げる必要のある部位が分かります。そこに時間をかけなさい。」

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By Rachael Dupree | June/July 2019