自分のひな保育箱を作る

このくつろげる手作り箱で、生まれてくるウズラの群れを育てる。

文と写真:ケリー・ボーリング (Kelly Bohling)

翻訳:松崎 美和

 

 私は長年に渡って、ウズラを孵化し、育てるために、自作のひな保育箱を使ってきました。特に、始めたばかりの場合は持ち運び収納型 (Storage tote models) は機能的です。

 でも、何世代かひなを育てた後、他の保育箱での経験を参考にして、丈夫で耐久性のあるひな保育箱を設計することにしました。この自家製のひな保育箱の設計にあたっては、掃除のしやすさ、温熱ランプの配置のオプション、外敵からの安全性、そしてもちろん価格について考慮しました。新品の木材、金網、塗料の購入を含めたプロジェクトのコストは約 100 ドルです。ただし、再利用や中古の材木、金網、塗料の調達をすることで、このコストを大幅に削減することができます。

 ひな保育箱の製作に取り掛かる前に、材料の細かな点についていくつか考慮すべきことがあります。杉材は魅力的に思えるかもしれませんが、この芳香性の木材はウズラや他の鳥に適していません。呼吸器の問題を引き起こす可能性があり、避けた方がよいでしょう。また、防腐加工材を使うことも、全くお勧めできません。

 私は塩化ビニルコーティングの金網と亜鉛メッキ金網を使います。産まれたての時期はひなを暖かく保つために、蓋の金網の上に直接熱ランプを置くことを想定しており、ランプと塩化ビニルコーティングの金網が直に接触しないようにしたかったのです。

 だから、亜鉛メッキ金網は蓋だけに使いました。一方、塩化ビニルコーティングの金網はひな保育箱の床として、掃除がしやすい点で完璧です。

 カビに強い下地塗料が最適です。VOC(揮発性有機化合物)が低濃度またはゼロの塗料が理想的で、半光沢か高光沢塗料は掃除がしやすいので、かなりお勧めです。

 

道具と材料

テーブルソーまたは丸鋸

中目のサンドペーパー付のサンドブロック

刷毛

古布

建築用ホッチキス(タッカー)

金切りはさみ

電動ドリル、7/64 インチ (2.8mm) および 1/8 インチ (3.2mm) のビット付

水平器

1/4 インチ (6.4mm) のホッチキスの針

1-1/4 インチ長 #6 インチねじ (3.5 x 32 mm 万能ビス)

2 インチ長 #6 インチねじ (3.5 x 51mm 万能ビス)

3 インチ長 #9 インチねじ (4.5程度 x 76mm デッキビス)

ヒンジと添付のねじ x 2 個

1 × 2 材、8 フィート (244cm) x 2 個

1 × 3 材、8 フィート (244cm) x 3 個

1 × 8 材、6 フィート (183cm) x 2 個

1 × 8 材、8 フィート (2.44cm)

2 × 4 材、8 フィート (2.44cm) x 4 個

硬材合板下張りパネル、2 x 4 フィート (0.61×1.22m) 厚さ 5mm

下塗り用塗料、1L 

高品質の半光沢または高光沢塗料、1L

亜鉛メッキ AWG19(0.95mm 径)の金網、網目1.3cm、2 x 5 フィート (0.61 × 1.52m)

ポリ塩化ビニルコーティング AWG19(0.95mm 径)の金網、網目1.3cm、2 x 5 フィート (0.61 × 1.52m)

 

木取り表

蓋の枠

1 × 3 材、27 インチ (686mm) x 2 個

1 × 3 材、34 インチ (864mm) x 2 個

1 × 3 材、22 インチ (559mm) x 2 個

1 × 3 材、39 インチ (991mm) x 2 個

 

ひな保育箱の長辺

1 × 8 材、36 インチ (914mm) x 4 個

 

ひな保育箱の短辺

1 × 8 材、22½ インチ (572mm) x 4 個

 

2×4材、48 インチ (1219mm) x 8 個

 

床面調整材

1 × 2 材、36 インチ (914mm) x 2 個

1 × 2 材、22½ インチ (572m) x 2 個

 

フン用板(枠を作成後に切断する)

1 × 2 材、73½ インチ (1867mm)

合板、2 x 3 フィート (61 × 91cm) (オプションのフン用板)

 

さあ、組み立てよう!

 切断部材の長手方向に沿って、ささくれた箇所や、粗い切断面をやすりブロックで滑らかにします。やすりがけをした部材の埃を取り除くために、乾いた布切れで拭きます。次に、全ての部材に下地を塗ります(広葉樹の下敷きと 1 × 2 材1867mm の端材も含む)。最終的な部材の結合具合に影響するので、滴りや塗りすぎに気を付けます。

 下地に触れてみて乾燥していたら、仕上げペンキを滴らないよう注意しながら塗ります。製造者の取扱説明書に従って塗料を硬化させます。

 

蓋を作る

 まず初めに、1 × 3 材でひな保育箱の蓋を組み立てます。蓋は亜鉛メッキ金網を 2 枚の枠で挟んで作成します。シートで覆った平面の上に、最初の蓋に使う 27 インチ (686mm) の木材 2 本と 34 インチ (864mm) の木材 2 本を配置します。 34 インチ (864mm) の木材は 27 インチ (686mm) の木材の内側に収めます。

 そして、2 番目の枠に使う 22 インチ (559mm) の木材を 2 本と 39 インチ (991mm) の木材を 2 本を配置します。この枠では、 22 インチ (559mm) の木材を 39 インチ (991mm) の木材の内側に収めます。両枠のサイズは 39 インチ (991mm) × 27 インチ (686mm) で同じサイズですが、強度を増すために、配置を反転させています。6.4mm のホッチキス針を使って、結合部分をホッチキスでつなぎます。これはつなぎ目を一時的に保持するためだけです。

 次に、同じ 6.4mm のホッチキス針で亜鉛メッキ金網を 1 つの枠にホッチキス留めします。金網の 61cm の辺を枠の短辺に揃え、金網の縁が板の中央に来るようにします。これによって、枠で挟んでしまえば、切断面は完全に隠されます。私は、後でずれないように、できるだけ網の交点を斜めに跨ぐように、ホッチキス留めをしています。

 金網を枠に沿って広げ、ロールに適度な張力をかけながら、両側を数インチごとにホッチキス留めします。この時、開口部全体にピンと張った状態を保つよう気を付けます。金網が枠の端まできたら、端から4cm 弱の所で切断し、ホッチキス留めします。

 次に、最初の枠の上に 2 番目の枠を重ね合わせます。金網は枠の間に挟まれているはずです(右の写真を参照)。枠を揃えた状態で、2.8mm ビットを使って、等間隔に上になる(金網をつけていない)枠の長辺に四つ、短辺に2 つか 3 つの下穴を開けます。3.5 x 32 mm ビスで、枠をビス留めします。裏返して(ここで下の枠が上にきます)、蓋を補強するために、四隅に 2.8mm ビットの下穴を開け、3.5 x 32 mm ビスでビス留めし、蓋を完成させます。

 

愛鶏のための箱

 ひな保育箱それ自体は、2 つの浅い箱を重ねて作られていて、上下の箱と呼びます。ウズラには頭上に約 36cm の空間ができ、これは多くの市販の繁殖箱よりも広めです。1 × 8 材で、914mm を 2 枚と 572mm を 2 枚、これを 2 組準備します。長い板を外側、短い方を内側に配置します。各々の角を 90 度に保ち、狭い方の端で板を立たせて、2.8mm ビットで等間隔に外側の板の角に下穴を 3 つ開けます。3.5 x 32 mm ビスで組み立てます。

 両方の箱を組み立てたら、そのうちの 1 つを下の箱とします。この箱に塩化ビニルコーティングの金網を取り付けます。塩化ビニルコーティング金網の 61cm の辺を箱の短辺にホッチキス留めします。強度を最大にするためには、金網と箱の端を平らに揃えなければなりません。短辺を数インチごとにホッチキスで留めます。箱の端から端まで縁に沿って、数インチずつロールを広げて、両側に適度な張力を保ちながら数インチごとにホッチキスで留めます。もう一方の短辺にきたら、ホッチキスで留め、残りを金切りばさみで切り取り、箱の端と揃うようにします。

 1 × 2 材を 4 枚用意します。これらは床を支えるための補強調整材の役割を果たします。1 × 8 材の上に 1 × 2 材を重ねて、2.8mm ビットで等間隔に、1 × 2 材の長辺に四つ、短辺に 3 つ下穴を開けます。長辺の端と箱の端を揃えて、3.5 x 51mm ビスでビス留めします。次に短辺を取り付け、端と長辺がぴったり合うようにします。

 

ひな保育箱に脚を取り付ける

 次に脚を組み立てます。1219mm の 2 × 4 材 2 枚を 90度で互いに組み合わせたもの、4 セットで構成されています。このステップでは安定して作業を進めるために、2 × 4 材の端材で上の板のビスどめしない側を支えます。3.2mm ビットで等間隔に、上部の板に下穴を四つ開けます。縁どうし、両端どうしが揃うよう注意しながら、4.5 程度 x 76mm ビスで板をビス留めします。同じ方法で、残りの 3 つの脚も組み立てます。

 上箱(床のない箱)の四つの角に外側から脚を取り付けます。蓋が閉まった時に隙間ができないように脚の上部と箱を合わせます。この作業は二人で行うのが最も簡単です。一人が上箱を水平に保っている間に、もう一人が脚の L 型に箱の角を合わせることができます。2.8mm ビットで箱の内側から脚に向かって、下穴を 2 つ開け、3.5 x 51mm ビスで取り付けます。

 箱の水平を確認しながら、反対側に 2 番目の脚を取り付けます。残りの 2 つの脚も同じようにします。メッシュ面を下にして、下箱が上箱の真下にくるようにし、縁を揃えて単一の箱の形になるようにします。上箱と同じように、下箱にも取り付けます。ここで、箱、床、脚の完成です。

 

ヒンジの取り付け

 蓋を箱の上に平らに置き、蓋と脚の外側の端を揃えます。どちらを箱の後面にするか決めて、そちら側の各々の脚の中央に 1 つずつヒンジを追加します。付属ねじ用の下穴を開けて、蓋のヒンジを取り付けます。

 

便利なフン用板の設計

 この時点で箱を使えるとは言え、どこでひな保育箱を使うかにもよります。フンは床や専用の容器に落ちます。私は屋内で利用するつもりだったので、フンを集めるための新聞紙を敷いて、必要に応じて交換できるように「フン用板」を設計しました。

 あなたも同じようにするならば、フン用板の支持部材を追加しなければなりません。地面から約 30cm の所で、一方の前脚と他方の前脚の内側の角の間の距離を測り、後脚でも同じようにします。(この距離は正確に 914mm ではない可能性があるため、この部材の切断をこの時まで待つことをお勧めします。)1 × 2 材1867mm 長で端材を切断し、両端に 2.8mm ビットで下穴をあけ、3.5 x 51mm ビスでビス留めをします。61 × 91 cm の合板フン用板をその上に置きます。

 生まれたての頃は、ひなの脚が網を通り抜けないように、ペーパータオルを床に敷く必要があるかもしれませんが、ウズラが少し大きくなると網の床で直接立てるようになるでしょう。時には、ひな保育箱ごと出荷する際、網を取り外します。お望みなら、ひな保育箱の脚を取り外して、保管することもできます。高光沢塗料と金網の床はヒヨコが巣立った後に掃除がしやすく、その上、下地は水漏れによるカビ問題から守ってくれます。

 

ケリー・ボーリング (Kelly Bohling) はカンザス州ローレンスに在住。彼女は日本ウズラを数年間飼育しており、孵化、繁殖、飼育の改善を模索し続けている。 彼女は Community Chickens のウェブサイト (www.CommunityChickens.com) でウズラについて書いている。

 

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