コンパクトなコンポスト

マザーアースニューズ 自然 自給 DIY

菜園の有機物を分解するのに、巨大な堆肥の山積みは必要なし。小さくても強力な4つ区切りの仕組みで、自家製の「黒いゴールド」を作ってみよう。

文:マット・リース=ワレン(Matt Rees-Warren)

翻訳:沓名 輝政

 

 森の中では、林床が枯れたものをすべて吸収して土に変え、その土が生きているものに栄養を与えています。堆肥化とは、そのプロセスを模倣することであり、腐敗と再生の長いサイクルを何十年もかけて行っていたものを、わずか数週間から数ヶ月に短縮することです。

 堆肥は菜園の心臓部であり、その適切な管理は、自然と調和した有機的なガーデニングの基本原則です。しかし、土や堆肥のすべてが解明されているわけではないので、一見シンプルなようで直観できない複雑さなのです。科学者たちは、土の無限の多様性や微細な驚異について、日々詳細を解明しています。堆肥とは、生きていて、呼吸していて、有機的で自然な仕組みであり、土を養い、私たちの世界を維持できるものです。私たちはレシピに従うだけで良いのです。

 革手袋、魚の頭、足の爪、ハエの死骸など、有機物由来のものなら何でも堆肥化できます。堆肥化が上手になればなるほど、堆肥の山にどんどん加えられるようになります。

 菜園で堆肥化する材料は、炭素を供給するもの(「ブラウン系」と呼ばれる)と窒素を供給するもの(「グリーン系」と呼ばれる)の2つに分類できます(左記の「一般的な堆肥の成分」を参照)。山を作る際には、炭素成分と窒素成分が半々になるようにしましょう。

 堆肥化の方法には、主に好気性(酸素を含む)と嫌気性(酸素を含まない)の2種類があります。どちらも正しく行えば、栄養価の高い堆肥を菜園に供給することができます。好気性の堆肥は、雨、空気、熱、微生物や動物の活動などの要素がある林床で行われるものだと考えてください。一方、嫌気性コンポストは、沼地や堆積物の層で起こるもので、腐敗した物質が水や地表面の下に閉じ込められ、空気や酸素が不足している状態です。

 また、堆肥を「高温」「低温」と呼ぶこともあります。どちらも好気性の堆肥を指します。加熱しない好気性コンポストは受動的なもので、容器や地面に置かれた材料の山をそのままにしておくと、栄養価の高い堆肥に成熟します。このプロセスには1年から2年かかります。高温好気性コンポストは積極的なプロセスで、適切な管理によって堆肥の山を加熱することで作用を促進します。これは、定期的に堆肥の山を撹拌して空気を入れたり、特定の材料を適切な比率で使用することで実現できます。私が設計したDIYダイヤモンド・コンポスト区切り(52ページ参照)は、高温好気法を採用しています。あなたの作業は、主にバクテリアや菌類などの微生物が、落ち葉や切りくず、刈り草などを実際に堆肥化するのを助けることです。微生物が主に求めるものは、水、酸素、熱です。水分は窒素を多く含む原料や天候から得られ、酸素は炭素を加えたり、堆肥の山を切り返したりすることで増やすことができます。

 熱は、微生物自身の作用による自然な副産物で、2段階のプロセスで生成されます。まず、2~3日続くメソフィリック(中温)段階では、温度が約44℃の閾値まで上昇し、この時点でサーモフィリック(高温)段階が始まり、高温堆肥化が始まります(45~65℃)。ほとんどの病原菌や種子を死滅させるためには、この重要な段階を最大2週間、堆肥の山を切り返したり空気を入れたりして長引かせる必要があります。何もしないでいると、コンポストは冷えていき、微生物は中温段階に戻って堆肥をさらに熟成させ、物質を分解していきます。有機物が一貫して暗褐色になった時点で、堆肥が完成したと考えられます。高温好気性コンポストシステムを使用した場合、5~8週間ほどで完成します。

 私はこれまでにさまざまな堆肥の山や仕組みを作ってきました。正しく管理すれば、すぐに菜園の活力源となります。

 

資材

• 25cm幅の板を6m

• かど金物、長さ100mm以上(x12個)

 

DIY ダイヤモンド・コンポスト区切り

 私は、野ざらしの大掛かりな堆積方式に代わる小規模な仕組みとして、この4つ区切りを考案しました。シンプルな設計とコンパクトな積み上げにより、材料の撹拌が容易になり、高温堆肥に必要な温度を達成できます。高さ1.2m、75cm四方のコンパクトな設置面積なので、とても小さな菜園にも対応できます。また、移動の際には簡単に分解して組み立てることができます。経済的な取り組みにするためには、写真にある私が作ったもののように、再生処理場や足場業者から再生足場板を調達することをお勧めします。以下の説明は、25cm幅の材木を対象としていますが、手持ちの材料に応じてサイズを大きくしたり小さくしたりすることも可能です。。。

 

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