家庭で肉を塩漬けする(家庭でソーセージ作り)

メレディス・リー (Meredith Leigh) の著書「Pure Charcuterie (仮題:これぞ!シャリュキュトリ) 」には、ホームメードの肉の塩漬けで作る、とびきり上等な毎日のおかず情報がたくさん。

 

ホームメードのシャルキュトリ(肉の塩漬け)の盛り合わせ。大皿で。Photo by Getty Images/olgakr

 

 

文:メレディス・リー (Meredith Leigh)

翻訳:浅野 綾子

 

 

肉の塩漬けを家庭で手作りすることが流行していますが、素晴らしいことです。今の時代、シャルキュトリはグルメとして考えられており、文化的にも家庭の食事作りの場面でも、1番美味しい肉の塩漬けが封じ込められてしまっています。本当は、プロでなくても肉の塩漬けが作れるのです。

 美味しいシャルキュトリ作りは、上等な肉と脂が、腕利きの肉屋から料理上手の手にわたってはじめてできるもの。家畜は、健やかに育ち、しかるべき作法でと蓄されていなければなりません。このような上等な肉と脂を見つける確実な方法は、農家と直接知り合いになることです。健康的な赤身で、色は深みのある赤、引き締まって、なおかつ弾力性のある肉質の肉を見つけましょう。脂はクリーミーで白色、少なくともある程度はしっかりついていることが必要です。シャルキュトリ作りを続ければ、触感や香りや色味で、質のよい肉と脂をほぼ瞬時に見分けることができるようになります。

 ひき肉は表皮に近い部分なのでバクテリアの活動が活発になりやすく、シャルキュトリ作りでは安全性と衛生面への配慮が非常に重要です。作業場、手、使用器具をできる限り清潔に保ちましょう。また、すべてをできるだけ冷たい状態にしておくことも大切です。作業の途中で休憩をはさみ、肉を冷蔵庫で冷やし、肉の温度を常に4℃前後に保つようにしても良いでしょう。

 加工できたら、肉の塩漬けを冷暗所で保管しましょう。肉の塩漬けの表面を脂でしっかりと覆うこともできます。この場合は、まずラードを溶かします。それから、しなやかさが残る程度に、白くなるまで冷やします。冷やしたラードに米粉を混ぜて、やわらかなアイシング状のかたさにしましょう。長く保存したい塩漬け肉の表面に、この米粉を混ぜた脂をのばします。

 

モルタデッラ(ソーセージ)の作り方

 モルタデッラ(ソーセージ)はボローニャ(ソーセージ)にとてもよく似ていますが、本来のボローニャにはホールスパイスは入っていません。ボローニャを作りたければ、気にせずレシピからホールスパイスを除いてください。そうすれば、がっかりせずにすみますよ。そうは言っても、ボローニャのバリエーションは多いもの。ですから、肉を粗挽きにしたり、スパイスミックスを微調整して変化を加えてもボローニャは作れます。

 ソーセージを極上の食感にするには、モルタデッラの場合、ソーセージ作りの「5:4:3 の割合」と呼ばれる比率で作ることが必要と一般的に言われています。これは、重さを基準にして、赤身が5に対して、脂を4、液体の材料を3の割合にすることを意味します。以下のレシピでは、塩やスパイスの割合も大きいですが、この割合が活きています。それ以外の点では、とても大きいソーセージを作ると思ってください。全体の液体材料の中に、氷が入っていることに気づかれるでしょう。これは、伝統的なモルタデッラのレシピにしたいためと、加工中は食感を保つため可能な限り冷やした状態に保つ必要があるからです。液体材料として、凍らせたスープストックを入れることもできます。

 脱脂粉乳が材料に入っているのを、不思議に思う方もいらっしゃるかもしれません。これは、つなぎの役割をします。

 最後に、ピンクソルト (pink salt) とも呼ばれるキュアリングソルトNo.1 (curing salt No. 1) が材料に入っているのをお気づきになるでしょう。多くの方がモルタデッラにキュアリングソルトを加えますが、このレシピでは主に赤の色合いを出すためなので、お好みで加えてください。

分量:腸詰めおよそ2㎏

 

1~3cmのさいの目に切った背脂 110g:(伝統的ボローニャがお好みなら省いてください)

コラーゲンケーシングかプラスチックケーシング(洗ったもの) 直径10~13cm、長さ50cm

豚の背脂 750g

豚赤身切り落とし 950g

砕いた氷 570g

塩 45g

甘藷糖 20g

挽きたてのナツメグ 15g

シナモン粉末 7g

カイエンペッパー 7g

コリアンダー粉末 7g

キュアリングソルトNo.1 6g

脱脂粉乳 55g

にんにく 15g

ブラックペッパーホール 40g (伝統的なボローニャにしたければ省いてください)

 

作り方:肉ひき器の可動部品と使うボウルを冷凍庫に入れます。

 その間に、さいの目に切った110gの背脂を10~12秒湯通しして、別にしておきましょう。

 ケーシングは、肉を詰める時まで室温の水に浸しておきます。

 肉挽き器を組み立て、ブラックペッパーホールと湯通しした背脂以外の材料を、粗挽きプレートを使って挽きます。2回挽きましょう。プレートを細挽きプレートに替える間、挽き合わせた材料を冷やします。プレートを細挽きプレートに替えたら、粗挽きプレートで2回挽いたように、冷やしておいた材料を2回挽きます。肉挽き器のパーツを洗う間も、挽き合わせた材料を冷やしましょう。

 ヘラ型のアタッチメントを装着したスタンドミキサーに、肉を挽き合わせたものと湯通しした背脂とブラックペッパーホールを入れます。よく混ざるまで低~中スピードで運転します。ソーセージスタッファーを組み立てて、大きな鍋に多めの塩をつまんで2、3回入れてお湯を沸かします。その間、混ぜ合わせた材料は冷やしておきましょう。鍋はコンロにかけて、お湯の温度が80℃くらいになるよう熱します。

 混ぜ合わせたモルタデッラの材料を、スタッファーのじょうご型容器に入れます。スタッファーに装着できる1番大きなノズルを使い、ケーシングをノズルにできるだけ深くはかせます。クランクを動かして混ぜ合わせた材料をケーシングに詰めていきます。詰める時は、万遍なくきっちりと詰めましょう。材料を全部詰め終わったら、料理用のタコ糸で端を縛ります。

 慎重にモルタデッラをスタッファーから下ろして、熱した湯に入れます。ゆでる間(45分から1時間以上)、お湯は沸騰する寸前の状態に保つよう注意します。赤外線温度計を使う場合以外は、でき上がりの確信がもてるまで、モルタデッラの温度のチェックはしないようにしましょう。昔ながらの肉用温度計を挿して穴が開くと、ケーシングの中に水が入り、食感が大分損なわれてしまうかもしれません。

 モルタデッラの内部の温度が63℃になったら、ゆで鍋から取り出して、氷を張った容器か、できる限り冷やした水を張ったおけの中に入れます。氷か水の中で冷ましたら、完全に冷えるまで冷蔵庫の中に入れます。

 食べる時は、ケーシングをむいて、できるだけ薄くスライスしましょう。

 

レシピ:

うざぎの肉を使ったアンデューイソーセージのレシピ

しっかり働いた後のお昼にパテのレシピ

 

メレディス・リーは、農家、肉屋、シェフ、教師、非営利団体理事で、著述家。すべての活動は持続可能な食べ物の追求が目的。「The Ethical Meat Handbook」の著者。最新著書「Pure Charcuterie」は、マザーのオンラインストアで入手可。

 

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Curing Meat at Home

By Meredith Leigh