枯れ木の珍味

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キノコの美味しい魅力に触れて、キノコ狩りを楽しもう。

文:ブルース・イングラム(Bruce Ingram)レシピ:エレイン・イングラム(Elaine Ingram)

翻訳校正:沓名 輝政

 

「止めて、車を止めて!」と私は叫びました。友人のジェイミー・ゴールドとバージニア州の山奥で釣りをした帰りです。

 「どうしたの、何かぶつかった?」とジェイミーが聞いてきました。彼がブレーキを踏んだので、私は車から飛び出しました。

  「あの木に森の鶏がいるんだ」と私。

  「鶏が森の中で何をしてるんだ?」

 友人の戸惑いは理解できます。しかし、もしあなたが食用キノコのファンなら、私や妻エレインを含め、多くの人が最も美味しいと考える野生のキノコを目の当たりにした私の喜びを理解していただけるでしょう。チキン・オブ・ザ・ウッズ(アイカワタケ属)は多孔菌類に分類され、枯死した木や枯れゆく木、地下の木、特にホワイトオークやレッドオーク、トネリコ、カエデなどの広葉樹の表面に生えることが多いようです。また、多孔菌類ではありませんが、他の食用植物も同じように(つまり、枯死した木や枯れゆく木を分解してエネルギーを得る)腐生性があり、私たちのような採集者向けの食べ物となるのです。ここでは、7つの食用キノコについて詳しく説明します。

アイカワタケ[学名:Laetiporus sulphureus]

 チキン・オブ・ザ・ウッズ(アイカワタケ)は、味が素晴らしいだけでなく、鮮やかな黄橙色、扇形の外観、波打つ縁など、目を見張るほど美しいキノコです。幅が30cmになることもありますが、私とエレインが見つけたものは、ほとんどが18~20cmの大きさでした。

 先ほどの逸話はメモリアルデーの週末にあった話で、私がチキンを見つけた中では最も早い時期でした。採集者は夏の間に最も遭遇しやすいのですが、私は11月の早い時期に遭遇したことがあります。本種は、鶏肉に似た味がして、炒めても「肉厚」な感じが残ります。(人によっては、腫れ物の原因となるので、最初は少しずつ摂取しましょう)。カナダからフロリダ、中西部、ワシントン州からカリフォルニアまで、広範囲に生息しています。

ハナビラタケ[学名:Sparassis spp.]

 木の根元などに、カリフラワーのような大きさ、形、色のきのこを発見したら、それはハナビラタケです。アメリカには、その名の通り東部に生えるイースタン・カリフラワー[学名:S. spathulata)と、ロッキー山脈以西に生えるルーティング・カリフラワー[学名:S. radicata)の2種が存在します。この白いキノコはシロソウメンタケ科に属し、平らな葉のような「枝」を持ち、近くで見るとカリフラワーという名前の野菜の丸い裂け目とは全く違います。ハナビラタケは重さ数キロになることもあり、1つ見つけると何度も食べたくなります。

 私は、7月から9月にかけてイースタン・カリフラワーを見つけました。ルーティング・カリフラワーのシーズンは9月から11月です。前者はオークを中心とした広葉樹林で、後者は針葉樹林でよく育つ傾向があります。カリフラワーは、肉厚でしっかりとした食感があるので、我が家ではスープや卵料理に入れるのが特に好きです。

カンゾウタケ[学名:Fistulina hepatica]

 オーク材などの広葉樹の側面に、赤身肉を扇状に押し付けたような幅15~25cmのキノコがあったら、それはカンゾウタケと思われます。野生のキノコのほとんどは、胃腸に負担をかけないように調理してから食べるべきですが、ここに紹介した中でこのキノコだけは調理せずに食べることができますし、面白いことに、生のビフテキを絞ると赤い液体が出ます。とはいえ、生のままでは酸味が強いので、私たちは必ず炒めてから食べるようにしています。

 調理すると、レモン風味だと言えますが、魚料理やハンバーガーのトッピング、卵料理などにもおすすめです。 また、グレービーソースにも使用しました。 カンゾウタケは北米全域に生息していますが、アメリカではロッキー山脈の東側に多く生息しているようです。。。

 

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