ポケットやポーチを縫い合わせたらお気に入りのベルトにつけて、よく使う工具を身につけよう。
文:デニス・ビスウェル (Dennis Biswell)
翻訳: 浅野 綾子
以前の号で、「鹿の獣皮のなめし方(October/November 2016)」や、「自分のモカシンの作り方(how to craft moccasins out of that tanned animal skin: February/March 2017)」の記事を書きました。今号では、家でなめした革使いをさらにすすめて、作業ベルトにつけるポーチを作ります。
ホームセンターで買う作業ベルトは、重くてかさばり、扱いにくいもの。というのも、市販の作業ベルトは、あらゆる工具や作業に使える必要があるからです。工具差しやポケット、ポーチもついて、重くてかさばります。はしごの上や屋根の上で作業する時は、できる限り身軽にしたい。それに、空きの工具差しが何かにひっかかってしまったら大変です。
カスタムポーチ作りを学べば、自分の家や自営農園まわりのあらゆる作業に使う工具を入れるポーチを縫い合わせることができます。はじめるにあたって、自分にぴったりのベルトを選び、どのポケットをつけるか考えましょう。ベルトに通して使ういろいろなポーチを作ることができれば、作業ごとに必要なポーチを選べます。よく使う工具にぴったりの作業ベルトを作ることもできますよ。
この工具入れで使うのは牛革と鹿革の両方。重さのある牛革は裏地に最適です。鹿革は、ポケットやポーチ、ケース部分に適しています。牛革と鹿革が写真で見分けやすいように、違いのわかりやすい黒の牛革ときつね色の鹿革を使いました。
仕上げに必要な道具
このカスタム作業ベルトに必要なものは、牛革(クラフトショップで売っている端切れ袋の革でもOK)、約半分の長さの鹿革、合成シニュー、レザークラフト用手縫い針(中)2本、クリップ、万能ナイフ、ペンまたはマーカー、定規、金づち、千枚通しまたはレザーパンチ、みつろうです。あれば望ましいものは、ステッチングポニー、ステッチスペーサー、ヘビーデューティー糸、ライターまたはマッチ、強力瞬間接着剤、菱目打ちです。
この工具入れでは、縫い方はサドルステッチになります。サドルステッチは革の縫い目に合わせて縫うだけで、革と革の合わせ目をかがりません。傷をつけたり切ってしまった時にかがり縫いやブランケットステッチがほどけてしまう場合でも、サドルステッチならほどけずにすむのです。家でなめした貴重な革を縫う前に、端切れなどで縫う練習を必ずしておきましょう。サドルステッチで縫う時は、革と革をクリップや手で押さえることもできますが、ステッチングポニーを使えば作業がずっと楽になります。1つ作るのも楽しい日曜大工になりますよ。息子と私は、ワンバイシックス(19mm x 140mm)の廃材と木ねじ、木工用ボンド、革、長ボルト、ワッシャー、蝶ナットを使って手作りしました。アームと台板はそれぞれ40cm。
縫う間、テーブルや作業台に固定して立てるのにちょうど良い高さです。台板を長くすれば、イスや地面に座りながら縫いたい時に、腿の下に台板を置いて固定できます。アームの間にいらない革を何枚か貼りつけておけば、縫う間、ポケットやポーチに傷がつかないようにできます。準備ができたら、革をポニーにはさんでどんどん縫うだけ。革と革を合わせてしっかり押さえる手間がかからないんです。
必要なものをあつめたら、縫いはじめよう!
革を縫う基本ステップ
1.縫い目の印をつける
縫い目は、革の端から3mmのところにきます。針を通す穴は6mm間隔にします。千枚通しか1穴のパンチを使うなら、定規を使って革端にそって縫い目の印をつけましょう。ステッチスペーサーがあれば、縫い目にそって穴をあけて印をつけていきます
2.針を通す穴をあける
決めた場所に革と革を合わせてクリップでとめます。千枚通しか穴あけパンチで、針を通す穴を重ねた革全部に開けます。
3.針を準備する
縫い目の長さを測って4倍します。4倍した長さにそろえてシニュー、または糸の巻きをほどきます。シニューまたは糸の両端に針を通します。シニューまたは糸をみつろうの塊の上で引き動かし、みつろうを塗ります。
シニューを1番目の穴に通して、両方の端の長さが同じになるまで引っぱります。左側の針を2番目の穴に通します。右側の針を2番目の穴に通し、両方の縫い目が革にきれいに沿うまで引っぱり、縫い目を仕上げます。
4.縫う
きれいなサドルステッチにするには、縫い目をそろえなければなりません。2本の針は相対する方向から同じ穴に通す必要があります。私はいつも左側の針から先にさして、右側の針をあとから通します。はじめに穴に通したシニューは、縫い目をそろえるために、もう一方の針を反対側から通す時は常に手前に引きます。このテクニックを使えば、もう一方の針を通す時に、はじめに通したシニューまたは糸が絡まないようにすることもできます。縫いすすめるにつれてリズムがつかめますから、すぐにきれいな縫い目がつくれるようになりますよ。
縫いはじめに、最初の穴に針を1本通します。革の両側のシニューを同じ長さになるまで引っぱります。それから、左側の針を2番目の穴に通し、穴からシニューを数センチ引きだします。次に、右側の針を、反対側から穴のもう半分に差し込みます。最後に、縫い目が革目にきれいにそうように、両側のシニューをしっかり引っぱります。3番目の穴でも同じことを繰り返します。はじめは左側の針を通し、次は右側、最後にしっかり引き締めます。縫い目にそって縫いすすめましょう。
5.縫い目を仕上げる
次の2つの方法のどちらかで仕上げます。ポケットやポーチを頻繁に使うなら、次の方法で仕上げましょう。最後の縫い目まで縫い終えたら、逆方向に縫います。4番目の穴まできたら、左側の針を2枚の革のうち、左側の革の穴にだけ通します。右側の革の穴まで通さずに、針を斜めにして2枚の革の間から外に押し出します。右側の針も右側の革にだけ通し、針を斜めにして2枚の革の間から引き出します。それぞれのシニューをしっかりと引っぱり、針をはずしてこま結びにします。端をはさみで切り、結び目を2枚の革の間に押し入れます。さらに念入りにするには、革と革の間に結び目を押し入れる前に、結び目を火であぶるか、強力瞬間接着剤を1滴たらしておきます。。。
たのしい暮らしをつくるマザーアースニューズ
By Dennis Biswell
June/July 2018
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