電気柵

マザーアースニューズ 電気柵 農

この柵は明らかにブラス面がマイナス面を上回っている。

文:デール・ストリックラー (Dale Strickler)

翻訳:長谷川 伸

 

よくできた電気柵は、家畜の囲い込みシステムとして効果的で比較的メンテナンスが楽です。私は、有刺鉄線のような他の柵に反対するものではありません。私が反対するのは、それらの柵にお金を使うことです。もしすでに鉄条網の柵を所有しているのであれば、それでいいでしょう。もし、あなたが柵を持っていなくて、柵を設置する必要があるのなら、電気柵を正しい方法でつくることが抜群に経済的な方法です。

 不幸なことに、私がつくった最初の常設の電気柵は、効果的でもなく、メンテナンスも楽ではありませんでした。というのは、うまく作れなかったからです。逃げ出した家畜と格闘し、常に修理に追われ、怒った隣人からの苦情に悩まされていました(牛がとうもろこし畑を歩くのは、たとえ大親友だとしても忍耐力を試すことになるから、私は良き隣人に恵まれていて幸運でした)。

 電気柵をつくるにあたってありとあらゆる誤りを私は経験していました。建設にもう少し時間を費やし、適切な資材にもう少しお金を費やし、経験者からのアドバイスを聞くことにもっと時間を費やせば、膨大な時間、お金、嘆きを抑えられたたはずでした。主たる間違いは以下の通り。金属製の中間の支柱と直径 1.6mm (AWG 14) のワイヤーの使用。生きた樹木に直接ワイヤーの取付け。電圧側 (hot) ワイヤーと接地側 (ground) ワイヤーを逆に使用。そして、トゲのない鉄線の代りに有刺鉄線を使用。なぜそれらすべてが悪い選択だったのかを説明するので、私の間違いから学んでください。そして、その過程で学んだより効果的な方法を採用してください。

 

導線

 ワイヤーまたはケーブル(コード/ロープ)は電気を通すため「導線」と呼ばれています。ここから説明を始めましょう。

 私がつくった最初の柵は、直径 1.6mm (AWG 14) のワイヤーと有刺鉄線を使いました。いずれも電気柵としては誤った選択でした。このサイズでは常設するには弱すぎて、容易に捻れたり、切れたりします。いったん切れ始めると、繰りかえし切れてしまいます。私の柵は毎回鹿があたったり、牛が擦ったり、風が吹いたりしたりする度に、柵が壊れたのではないかとみています。

 一方で有刺鉄線は、極めて頑丈ですが、電気を流すのは家畜やペットを捕らえて殺してしまうので危険です。なぜなら、皮膚は有効な絶縁体ですが、有刺鉄線のトゲは容易にその皮膚を突き破って高電圧の電気を送り、動物を危険にさらすからです。私の柵ではトゲのない電圧側ワイヤーがしょっちゅう、有刺鉄線(接地側)に巻きついてしまっていたので、ショートばかりしていました。

 このような設置の失敗の代わりに、私が進める導線の材料は以下の通りです。

 直径 1.9mm (AWG 12.5 ) の高張力鋼線。これは直径 1.6mm (AWG 14) の柔らかいワイヤーよりもはるかに強度があってねじれにくい。曲げにくく加工しにくいので、ほどく時には巻き取り器(リール)という道具を使わなければなりません。取り外しも再利用は難しい素材です。

 直径 1.3mm (AWG 16) の航空機ケーブル。これは直径 1.9mm (AWG 12.5) の高張力鋼線ほどの強度はないが、柔らかくて作業がしやすい。一般的には入手できませんが、入手できるのなら、優れた柵の材料になります。なぜなら、柔軟性と揚げ降ろしが楽だからです。一時的な柵や二重柵の内側の柵に用いる私が最も好む素材です。

 トゲのない二重撚り線。これは本質的にはトゲのない有刺鉄線です。動物がこの線を押すことがわかっている場合など、直径 1.9mm (AWG 12.5) の高張力鋼線よりもいくらか強度が必要な箇所のためのものです。

 

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