秋のまぐさと穀粒飼料の時期を伸ばす 

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ベイル放牧、備蓄、間作は、家畜への給餌資源を改善することができる。

文:オスカー・H・ウィルIII世(Oscar H. Will III)

翻訳校正:沓名 輝政

 

 放牧地や牧草地の管理は、ジェット機を超音速で飛ばすのと同じくらい大変な作業だ。そしてどちらの場合も、今いる場所ではなく、数秒後、数日後、数ヵ月後にいる場所に集中することが重要。注意深く先見の明を持ち、計画を立てることで、秋は、水分や自由に使える植物の配列にもよるが、より生産性の高い放牧期間の1つになる。

 場所によっては、暖地型と冷涼地型の多年草が健全に分布しているのが一般的で、生育期の全期間を通じて良質な飼料を生産し、冬期を通じて飼料としての可能性がある。また、暖地型が優勢な地域もあれば、冷涼地型が優勢な地域もある。このような場合でも、放牧日数を最大化する戦略は可能。注意深く管理することで、通年放牧が可能な地域もある。放牧日数を1週間短縮するだけでも、ビジネスの収益を大幅に増やすことができる。効果的に管理すれば、その過程で土壌や生産性も向上する。以下は、家畜密度、放牧期間、パドックローテーションがプログラムに不可欠である管理集約型放牧の基本原則を理解し、採用していることを前提にしている(https://SustainAgGA.CAES.UGA.eduで「management-intensive grazing(管理集約型放牧)」を検索)。

 

ベイル放牧

 牧草が生い茂る時期には、乾燥した干し草として俵状にし、俵を作った場所に置くだけで、その恵みの一部を保存して後で利用することができる。例えば、暖かい時期に牛たちが牧草地を半分しか利用しなかった場合、飼料価値があるうちに残りをベイルにする。そのベイルを畑に残しておけば、涼しい季節の牧草地が十分に成長する前の秋口に、一時的な電気柵を使ってベイルを配給できる。作った場所で干し草を食べた家畜は余分な栄養分を牧草地に戻せる。冷涼な季節の牧草が多い地域で、牧草が「夏枯れ」する時期に、春の余剰飼料を使い、牛の群れにベイル放牧を供給するためにこの方法を使う。また、積雪量や牛が適切な防風設備にアクセスできるかにもよるが、冬に干し草を給餌する際にもこの戦略を用いることができる。

 

備蓄

 余分な牧草を刈り取って俵型にするのではなく、早めに放牧したパドックで背丈を伸ばし、休眠させて、「立ち干し草(standing hay)」として牧草地に与えることもできる。この場合も、収穫は家畜にやらせる。しかし、最大限に利用するためには、家畜が踏み荒らしたり、そのほとんどを無駄にしたりしないように、家畜が備蓄地に立ち入るのを制限することだ。そのためには、家畜の前に一時的な電気柵を設置し、適切な間隔で新鮮な飼料にアクセスできるようにする。備蓄飼料は、生長中の植物性飼料よりも栄養価が低いため、タンパク質源で補う必要があるかもしれない。冷涼な季節の牧草地は、暖かな季節の牧草地よりも備蓄されている方が飼料価値が高くなる傾向があるので、放牧の年間計画を立てる際にはその点に注意すること。秋の牧草地の生育がやや遅い場合は、備蓄しておいた飼料を短冊状に与えておくと、生育にさらに時間をかけることができる。備蓄牧草が余っている場合は、できるだけ冬の間に立ち干し草として与えよう。

 

間作

 牧草地を秋まで延長するもう1つの戦略は、特に十分な水分がある地域では、休眠牧草地に一年生飼料作物を植えること。例えば、8月(北半球)に夏の休眠牧草地にアブラナ科の作物を播種すると、4~6週間で文字通り大量の栄養と飼料を得ることができ、秋の放牧を冬まで延長することができる。間引き牧草は、牧草地の種類にもよるが、ほぼどの季節にも効果がある。暖地型牧草地では、秋に小粒穀物を播種し、春先の放牧に利用することができる。他の多年草(クローバーやアルファルファなど)を牧草地に加えたい場合は、同時に課題リストに加える。

 

一年生飼料

 信じられないかもしれないが、メヒシバ属、ソルガム、トウモロコシなどの一年草は、混植や立木栽培が可能だ。管理次第では、夏から秋にかけて大量の高品質飼料を供給できる。給餌は、多年生牧草地と同じように、これらのパドックをローテーションしながら行うのが最も効果的。注意深く管理すれば、再成長させて、牛にパドックを複数回通過させることもできる。また、晩秋や冬の放牧用にこれらの作物を備蓄しておくこともできる。ただし、穀物作物の場合、アシドーシス[血液の酸塩基平衡が酸性に傾く病態]を避けるため、家畜が穀物を多く含む食事に慣れるまでは、利用を制限する必要がある。同様に、ソルガムやスーダングラスの中には、生育段階によっては有毒なものもあるため、これらの作物についてもよく調べ、注意すること。。。

 

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