羊毛フェルトの ドライヤーボール

マザーアースニューズ エネルギー 食

アップサイクルの天然ウールを使って洗濯物を

コロコロと転がそう。

文:スーザン・ベルバーグ(Susan Verberg

 

翻訳:向井 真珠

 

 

 

 乾燥したばかりのすごく柔らかくてふわふわした感触は好きだが、化学薬品を含んだドライヤーシート(乾燥機用柔軟剤シート)や衣類用スプレーのり、液体柔軟剤を使うのをためらっているなら、フェルト化したウールのドライヤーボールが環境にやさしい代替品です。粗悪な化学物質よりも、服にも(あなたにも)優しいですし、仕上がりもより良いです。天然ウールのドライヤーボールは、ドライヤーシートのように機能し、乾燥機内の空気をより長く湿気のある状態に保つことで、静電気、しわ、糸くずを減らすのに役立ちます。洗濯物の水分の一部を吸収し、均等に空中に戻してくれます。直観に反しているようですが、乾燥機内の湿気に長時間さらされることで、静電気の付着が指数関数的に減るのです。それで衣類がより少ないしわでより早く乾くというわけです。読者のみなさんも気に入ってくれるかと思います。このフェルト化したボールをしっかりきつく作れば、5 年間は持ちます。

 

 ウールドライヤーボールはどの洗濯乾燥機でも使えます。PVC プラスチックドライヤーボールやテニスボールと同じくらい長持ちし、加熱しても有害なプラスチックやゴムの化学物質を出しません。市販の柔軟剤とは違って、ウールドライヤーボールはタオルや布おむつの吸収性に影響を与えません。このぎっしり中身の詰まったウールボールを 46 個ほど入れると、転がりながら熱風をより効率的に循環させて、衣類がくっつかないようにし、乾燥時間を短縮します。これにより、衣服の摩耗も減らせます。節約にもなり、環境にも優しいのです! 

 

 

 天然のドライヤーボールが最適な機能を発揮するためには、100% ウールで作らなくてはなりません。デザイナーウールである必要はありません。かわいいウールのロービング(加工されているが、紡績されていないもの)や機能的なウールの芯、紡績や織りの残り物を再利用したり、古着のウールのセーターをアップサイクルしたり、編み物の残り物で捨てられないウールの小玉を活用したり。ウールであれば、何でも使えます。再生可能な資源であるウールは、合成化学物質を含まず、アレルギー反応を起こしにくく、市販の柔軟剤やドライヤーシートに代わる完璧な天然素材です。ウールドライヤーボールは敏感肌やアレルギーのある人たちや、布おむつを化学物質を使用せずに柔らかく保つために特に役立ちます。

 

  このドライヤーボールは、繊維をウェットフェルト化して作ります。「ウェットフェルト化」とは、熱、水分、振動により繊維をマット状にするプロセスのことです。ウェットフェルト化できるのは特定の種類の繊維のみです。フリースのほとんどの種類(羊、アルパカ、ラクダを含む)、モヘア(ヤギ由来)、アンゴラ(ウサギ由来)。これらの繊維がウェットフェルト化できるのは、繊維が小さなウロコ状の鱗片(スケール)で覆われているからです。水分と熱が繊維のウロコを開き、振動することで繊維同士がくっついてフェルトになります。一つ注意点があります。「スーパーウォッシュ」という洗濯機で洗えるタイプのウールは、フェルトにならないよう特別に処理されています。植物繊維や合成繊維にはこのようなウロコがないため、ウェットフェルト化できません。現代の技術であるニードルによるフェルト化は、水を使わずに繊維をかみ合わせるため、シャフトに沿って小さな歯がついた針を使用します。フェルティングニードルを使って、ウールドライヤーボールに素敵な装飾を付けることもできますが、一般的なものをつくるにはニードルによるフェルト化は必要ありません。

 

 ドライヤーボールの 3 つの違った作り方をご紹介しますので、あなたの材料に最も適したやり方を選んでください。最も簡単に作れるのはヤーン(編み糸)・ドライヤーボールです(下)。きっちりと紡績された糸や、ウーステッド・ウールやフィッシャーマンズ・ウールのような多くの撚りがある糸でもできるのですが、軽く紡いだ単糸ほど簡単にフェルト化しません。または、地元の古着屋の 100  ウールのセーターをほどいて、本格的に倹約するのもいいでしょう。もう一度言いますが、アクリルその他のフェルト化できない繊維が少しでも混ざっているものは避けてください。ドライヤーボールを洗ってフェルト化する際に私は、古いナイロンストッキングにドライヤーボールを入れます。ストッキング自体はフェルト化しませんし、ボールをそれぞれ離し、形を保ってくれるからです。

 

 未洗浄もしくは軽く加工されたフリースをお持ちの方は、フリースとロービングのドライヤーボール(写真)の方が費用対効果が高いと感じるかもしれません。ヤーン・コア・ドライヤーボールは最初の 2 手法を組み合わせたものです。あらゆる形のウールの残り物を使うので、さっと作れて、安いです。

 

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