発酵ステーション

マザーアースニューズ 自然 自給 農 食

 農産物の寿命を延ばし、新しい食感と味を取り入れよう。

文:ハンク・ウィル(Hank Will)

翻訳:金広 まさみ

 

 多くの人々が収穫物を保存するために、ビン詰め、冷凍、ドライフード作りに目を向けています。これらの方法は、効果的、安全で比較的簡単です。しかし他にも発酵があり、野菜、果物、乳製品に使えます。よく知られる発酵方法ではたいていアルコールができますが、さらに多くの場合は、乳酸や酢酸のような美味しい有機的な風味化合物(香り)を産み出すことで食物の保存に役立てるために微生物を使います。もしあなたがザワークラウトやヨーグルトを楽しんだことがあるなら、乳酸の酸っぱい楽しみを知っていますよね。酢が好きなら酢酸の風味を知っていますね。発酵微生物は有機酸を産み出すことで保存するだけでなく、植物や牛乳の栄養素のいくらかを消費するという彼らの活動が、栄養素を容易に利用できるようにし、微生物叢が食物を十分に消化するのをより容易にします。

 ザワークラウトは多分、乳酸発酵の最も有名な例です。作る過程は、大きな陶製容器、大きな木製の麺棒と石の重しを想像させるかもしれません。ザワークラウトは、発酵過程を分析して、もっと理解する良い例になります。何よりもまず清潔が大事ですが、無菌状態ではありません。陶製容器は洗ってよくすすぎ、どの抗菌性残留物も取り除くよう注意を払います。木製や陶磁器の内蓋も同様に扱います。キャベツは入念に流水で洗い、傷んだ葉は取り除き、残りは千切りにし、陶製容器に塩と層になるように整然と詰めます。千切りキャベツを無造作に詰めると、傷がつくおかげでキャベツの水分が次第に無くなり、塩水ができます。塩辛い塩水は、この工程の成功に必須です。さて、キャベツを部分的に消化して乳酸を作る微生物は、どこから来るのでしょう?他の細菌や菌類(有益なものや、成長を許すと一回分をダメにする病原となり得るもの)と一緒に、もともとキャベツの上にいます。そう、塩辛い環境で、望ましくない微生物が抑えられ、乳酸菌が繁茂できるのです。とはいえ、警告があります。乳酸菌は、非常に少なくなった酸素状態での代謝の最終産物として乳酸を作るにすぎません。肺が酸素を供給できる以上に、激しく早く動かした時の筋肉に似ています。これが千切りキャベツを詰めて、円板状の重しで覆うもう一つの理由です。液体が引き出され塩水ができるので、千切りされた葉は浸かった状態になります。塩水中の酸素はすぐに使い果たされ、乳酸菌は酸素を使わない代謝に入り、酸を作ります。濃度が十分に高くなり、乳酸菌が活動中止状態になるまで酸の生産は続きます。

 

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