種袋とちょっとしたノウハウがあれば、無害で堆肥化可能な
ヘチマスポンジを簡単に育てられる。
文:ハンナ・キンケイド(Hannah Kincaid)
翻訳:沓名 輝政
ヘチマスポンジ(学名 Luffa aegyptiaca、異名 L. cylindrica)は、健康食品店で角質除去用品として売られており、石鹸やシャンプーなどの入浴用品の隣に陳列されているので、ご存知の方も多いでしょう。ヘチマは海綿だと思われがちですが、実は裏庭で育てて家庭で加工できる瓜なのです。
ウリ科の一年草で亜熱帯性のつる植物であるヘチマは、大きな葉とバターのような黄色の花をつけ、60cm ほどの巨大なキュウリのような実をつけます。キュウリとズッキーニを掛け合わせたような味の若い実を食用にするには、5cm ほどの長さのうちに収穫し、炒め物やチャツネ、スープなどに利用する。熟成させてつるを乾燥させると、果実はかなり大きくなり、食用の果肉は茶色い皮とガラガラと鳴る種を持つ繊維質の織物のような骨格に変化します。この質感のある骨格がスポンジとして使われるものです。
洗顔クロスの代わりにヘチマのスポンジを使うこともできますし、食器をこすったり、表面を磨いたり、車を掃除したり、手作りの石鹸に角質を落とす層を加えたり、孫の手を手作りしたり、塗りたての壁に粗い模様をつけたりするのにも使えます。ガーデニングでは、ヘチマ繊維を水に入れて植物の根が張るよう支えたり、鉢植えの土に混ぜてピートモスのサステナブルな代用品にしたりすることもできます。このように、ヘチマには楽しくてクリエイティブな使い方がたくさんあります。また、なんとも収量の多い植物ですので、プレゼント用のスポンジもたくさん残せることでしょう。
ヘチマの育て方
ヘチマはつるで成熟させて乾燥させるので、長い栽培期間(連続して 200 日以上霜が降りない日)が必要です。ゾーン 8 以北の菜園家は、春の平均的な終霜日の 6~8 週間前に室内でヘチマの種を蒔くことで、この条件を満たすことができます(春の平均的な最終霜がいつなのかわからない場合は、Farmer’s Almanac の「frost date calculator」[初霜と終 霜予想を示す農事暦サイト]を使用してください)。ヘチマの種の発芽率を上げるには、サンドペーパーで種に傷をつけて種のコーティングを弱める(これを「スカリフィケーション(傷つけ処理)」と呼びます)か、植える前に 48 時間ほど種を水に浸しておくと良いでしょう。1 つのプランターに 2~3 個の種を、約 1~7cm の深さに植えます。芽が出るのが遅いので、水はけのよい培養土で水気を保って、日当たりのよい場所で根気よく育ててください。
種子が発芽したら、1 つのプランターに 1 つの苗となるように間引きます。苗が根詰まりしないように、大きめのプランターに移植します。ヘチマが本葉を出し始めると、キュウリの苗によく似ていることに気づくでしょう。他のウリ科植物と混同する恐れがあるので、苗にはしっかりとラベルを貼っておきましょう。
ヘチマは全く耐霜性がないので、苗を菜園に移植するのは、霜が確実に終わるのを待ってからにしましょう。移植する前に、1 週間ほどかけてゆっくりと苗を寒さに慣れさせます。そのためには、苗を外に出して日陰に置き、毎日数時間、徐々に時間を増やしていきます。苗は日陰に置かないと、繊細な葉が日に焼ける恐れがあります。苗の根元が折れてしまうような強い風から守り、微風で茎がしなるような囲いのある場所を選んでください。
霜の心配がなくなったら、丈夫になったヘチマの苗を日当たりのよい水はけのよい場所に移植します。苗(暖かい地域の菜園家は種)は 1.2~1.6m 間隔で植え付け、週に 30~50mm の水を与えるようにします。私は、ヘチマの苗に何層かダンボールを敷き、その上に 50~80mm の藁を敷いてマルチにしています。これは、つるの間の草取りを容易にし、苗の保湿を助けるためです。
ヘチマのつるは 6m 以上にもなるので、苗をトレリスや頑丈なフェンスに沿って植えて、つるを抑えるようにします。私のゾーン 6a の菜園では、最近、高さ 90cm のワイヤーフェンスの横でヘチマを育てました。そこは高さ 1.5m のフェンスの近くで、フェンスの反対側には、高さ 2m のウスベニタチアオイが生えていました。夏が終わる前に、ヘチマは両方のフェンスを乗り越え、巨大なウスベニタチアオイの上につるを伸ばし、ウスベニタチアオイの高い茎の間に実を落としました。
棚はヘチマを栽培する際に特に重要で、果実がまっすぐになり、皮が剥きやすくなり、より魅力的で均一なスポンジを作れるからです。ヘチマのつると花はとてもきれいですが、かなりのスペースを必要とするので、美しいつるを育てるトレリスは、家の片側に沿わせるか、ポーチの近くにして日陰を作らせるとよいでしょう。
丈夫なスポンジを作るために、ヘチマの最初の花を取り除くことを勧めている資料もありますが、私はこの手順を踏んだことがなく、いつも満足のいく収穫ができています。年々、どれが一番自分に合うのか試してみてはいかがでしょうか。。。
* 和訳全文は1年おきに発行される和訳電子版のバックナンバーでお楽しみください
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