ハイウェイ脇で多年草小麦栽培

多年草の小麦品種の栽培で、ハイウェイ脇や過疎地の農地利用と炭素隔離促進の可能性

 

ハイウェイ横の未使用地で少なくとも多年草作物の栽培ができるかもしれない。Photo by Flickr/Matt Lavin

 

翻訳:浅野綾子

 

ジョージア州交通局の実験プロジェクトが、農業とハイウェイはそれほど関係ないという既成概念を変えようと奮闘しています。同交通局は、ランド・インスティテュート (The Land Institute)やザ・レイ (The Ray) とチームを組んでハイウェイの道路用地沿いで多年草小麦の栽培地を広げているのです。

 このプロジェクトは、レイ・C・アンダーソン・メモリアルハイウェイ (Ray C. Anderson Memorial Highwa) 沿いで実施。地元では「ザ・レイ」として知られている29kmにわたる道路は、持続可能な交通という点ですでに最先端を走っています。このハイウェイ沿いにはソーラーカーの充電施設、ポリネーターガーデン [授粉昆虫が好む植物を主に栽培する植物園]、雨水を溜めるバイオスウェイル(生物低湿地)があります。とは言え、この多年草小麦を栽培するプロジェクトで、ザ・レイは持続可能性の新たな段階へ足を踏み入れています。多年草小麦栽培について、現代農業が環境にもたらした影響を改善する実効性のある手段であるとの見方が強まっているのです。この実験プロジェクトが成功すれば、将来、多くのハイウェイ沿いにある未使用地の管理方法が変わるかもしれません。

 このプロジェクトの鍵となるのは、カーンザ (Kernza) 品種の種子を栽培することです。アメリカ南東部やハイウェイ沿いにおけるカーンザ栽培は、このプロジェクトが初めてです。伝統品種と異なり、3mの深さに張りめぐらされるカーンザの根。この根は、土を豊かにするのに役立ち、干ばつに耐え、さらには炭素も隔離します。また、使い捨て紙製品を持続可能な方法で製造できる原料としての可能性も秘めています。何もなければ使われることのない土地で小麦を生産することは、樹木の保護にも役立つかもしれません。

 

ザ・レイは、このプログラムを成功させて、他のハイウェイにもこの取り組みを広げたいと希望しています。また、環境面における持続可能性の確保に尽力しており、開墾作業は1度に片方のサイドのみとしています。カーンザとその他の多年草作物についての詳細はこちらでThe Land Institute.


 

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Growing Perennial Wheat on Highway Shoulders

By Lydia Noyes