手編みの収穫バスケット

マザーアースニューズ クラフト 編みかご

今夏はヤナギの枝を集めて、美しく機能的なバスケットに変えよう。

文と写真:「リトル」ジョン・ホルツワート (“Little” John Holzwart)

翻訳:松並 敦子

 

生まれてからずっとウィスコンシンで暮らしている私は、四季それぞれを満喫しています。自然の恵みを頂いている者として、私は季節ごとに収穫するものを見つけています。柳を集めて、バスケットを編むことが、長年にわたって私の春の活動になっています。たいていは 3 月か 4 月の、雪解けしたけれど、まだツボミは開いていない季節になると、私は外に繰り出します。私は葉のついていない枝(後で葉を落とす必要がない)が好きなので、定期的に柳が刈り込まれた道路や水路に沿った場所に探しに行きます。そうした場所で、バスケットを編むのに必要な長くてまっすぐな枝を見つけてくるのです。

 どんな柳でも良いバスケットが編めるわけではありません。柳の中でも、シダレヤナギの種類はバスケットを編むにはもろすぎます。バスケットを編むのに適した柳の種類については、後に示した「バスケット編み用の柳を選ぶ」のコーナーを参考にしてください。ちょっと色のアクセントを加えるのに、他の種類の枝も使えます。例えば、赤いハナミズキ (学名: Cornus sericea)の枝は、この記事の写真からもお分かりのように、柳のバスケットに素敵な味を加えてくれます。

 バスケットの作り手の中には、自分で柳を栽培する人もいます。自分で栽培することを考えている方は、鹿に食べられないように、囲いをしっかりしてください。私は柳の栽培現場をいくつか見に行ったことがありますが、とても美しいです。しかし、バスケット編みに適した枝を作り出すためには、萌芽更新したり、枝を刈り込まなければなりません。萌芽更新とはドーム型の切り株が作れるように、柳を地面に向かって枝を切り戻すことです。刈り込みとは、主な幹の成長を胸の高さ程度に留めるように剪定することです。刈り込まれた木は棒付きキャンディーのように見えます。いずれにしても、若枝がどんどん出てくるようにするには、柳は毎年剪定して手入れする必要があるのです。

 私は生の柳の枝を使ってバスケットを編むのが好きですが、枝を一度乾燥させ、それから再び柔らかくするために水に浸ける方法を好む作り手が多いようです。これをするには、使用する枝を全てどっぷりと水に浸けられる大きな容器(私は持ってません)が必要です。枝を水に浸けるのに浴槽を使ったため、枝から出たタンニンで浴槽にシミを付けてしまった人の話も聞いたことがあります。

 生の枝を使う場合の主な心配事は、枝が乾いたときに縮むことです。私のバスケットも縮みますが、できるだけ固くしっかり編んでおけば、多少縮んでも大丈夫なことが分かりました。

 こうしたことを念頭に置いて、さあ、柳を探しに行きましょう!

 私は柳が自生している場所に行って採集するので、長くてまっすぐな枝を集めるだけでなく、枝分かれがないかどうかも確かめています。これを確認しておくと、編むのがずっと楽になります。時には、バスケットに合う赤いハナミズキの枝を見つけることもあるので、そうした枝も切ってきます。枝を採りに行くときは、採った枝を束にして結んでおくために、より糸を少し持っていきます。そうすれば、柳を採っている横に、採った枝の束を積み重ねておけます。

 私は数日間かけてバスケットを編むことが多いので、家に戻ったら、枝をみずみずしく保てるように、元の辺りを水に浸けておきます。ざっくり束にまとめただけでも、このバスケットを編むための自然素材の美しさは、はっきり分かりますね。

 

 

バスケット編み用の柳を選ぶ

バスケットを編むのに適した柳の種類: 

  • S. alba var. sericea は緑色で柔らかい若枝を持つ低木。
  • S. alba var. vitellina(ヤナギ科ゴールデンウィロー)は強くて柔軟な小枝と卵の黄身の色を呈する冬幹を持つ大型の栽培種。
  • S. fragilis ‘Belgium Red’ (クラックウィローまたはポッキリヤナギ)は冬に紅色を呈する幹を持つ大型の木。
  • S. interior は赤茶色の細い新芽を持つ小さな低木。
  • S. koriyanagi ‘Rubikins’(コリヤナギ)は長くて細くて柔軟な小枝で、目の細かいバスケットを編むのに最適。
  • S. miyabeana(エゾノカワヤナギ)は新芽の頃は薄い茶色、成熟するとグレーを呈する若枝を持つ大型な低木。
  • S. pentandra(ベイウィロー)は光沢のある赤茶色をした枝を毎年出す。
  • S. petiolaris(メドーウィロー)は紫っぽい色をした素敵な若枝を持つ大型の低木。
  • S. purpurea(パープルウィローまたはセイヨウコリヤナギ)には、緑から茶色や紫がかった色まで幅広い色を呈する利用価値のある亜種がある。
  • S. rigida ‘American McKay’ は深みのある赤茶色の新芽を出す。
  • S. x rubens ‘Hutchinsons Yellow’ は濃い黄色をした新芽を出す大型の低木。
  • S. x smithiana は茶色の一年生枝を出す生命力の強い低木。
  • S. triandra ‘Black Maul’(アーモンドウィロー)はバスケット編みに幅広く使われるが、えび茶色から黒までの深くて濃い色合いを呈する枝を出す。
  • S. triandra ‘Noir de Villane’(ブラックウィロー) はほぼ黒に近い深い色の枝を出す人気の柳の栽培品種。
  • S. viminalis(タイリクキヌヤナギ)は濃い黄色から赤みを帯びた茶色を呈する新芽を出す。

 

 

柳のバスケットを編む

材料と道具

  • 柳の枝
  • 小型剪定ばさみ
  • 頑丈なはさみ
  • ナイフ

 ここで紹介するのは、「ステーク&ストランド [(stake-and-strand) たて芯に編み芯を巻き付ける素編み]」スタイルと呼ばれるバスケットです。まず初めに、約 3040cm の長さの太い柳の枝を 6 本選んでください。これらがバスケットの底になるのですが、ちょうど車輪のスポークのようなものだと考えてください。ですから、編み上がったバスケットが不安定にならないように、この 6 本の枝の太さがほぼ同じ(鉛筆程度の太さ)かどうか確かめてください。

 6 本の中でも太い方の 3 本の枝の中心部を見つけて、ナイフで切れ目を入れます。

 次に、その切れ目に細い方の枝 3 本を押し込んで、「X」字型にします。バスケットの底が傾いてしまわないように、スポークにした枝の末端と先端が交互になるようにします。

 一番長くて細い柳の枝を 2 本取り出します。細い先端を約 2.56cm ほど、隙間に通します。この新しい枝をウィーバー(編み枝)と呼びますが、バスケットを編み進めていくうちに、固定されていきます。

 さあ、編み始めましょう。最初の 3 本のスポークの周りに、2 本のウィーバーを 1 本は上、1 本は下にくるように通して、それからひねり、次の 3 本のスポークも同じようにします。これからはリズムに乗ってバスケットを編み上げる作業に入るので、巻いたり絡ませたりするこの作業には注意を払いましょう。ウィーバーは上に行って下に行って、また戻るといった具合に位置が変わりますが、まるでスポークの周りでダンスをしているような感じになります。

 この作業を 2 回り行ったら、次は、今までのように 3 本のスポークをひとまとめにして編むのではなく、スポークを 1 1 本分けて編み込んでいきます。ウィーバーが太い場合は、編む前に少し折り曲げたり、よく擦ったりして、ちゃんと曲がるようにしてください。バスケットが乾いても、形がちゃんと維持できるように、しっかり硬く編むことを忘れないでください。ウィーバーはできるだけ下の方に押し込みながら、編んでいきます。

 バスケットの底になる部分が大きくなるにつれて、ウィーバーが短くなっていくので、新しいウィーバーを継がなければなりません。新しいウィーバーは、短くなったウィーバーにそって並べて加えるだけで大丈夫ですが、枝の末端は末端と、先端は先端と合わせて編み続けます。ウィーバーを 1 本継ぎ足したら、次に新たな枝を継ぎ足すまで、スポークをいくつか編み進めていって、継ぎ目がずれるようにします。突き出した枝先は、底が完成してからカットして整えます。

 底が好みの大きさになるまで編み続けますが、今作っているのは洗濯籠ではなく、収穫物を入れるバスケットだということを忘れないでください! 底の直径が必要な大きさ(私の場合は約 23cm)になったら、このステーク&ストランドスタイルのバスケットの側面のスポークにあたる「ステーク(支柱)」を準備します。ほぼ同じサイズの枝が 24 本必要です。24 本取り出して、端をナイフなどで削って尖らせます。

 次に、用意したステークをバスケットの底のスポークの両側に押し込みます。この作業工程に入ると、編みかけのバスケットで散らかすくらい十分に広いスペースが必要になってきます。この工程の間だけですが、編みかけのバスケットがまるで太陽に向けた飾り気のないオマージュのように見えます。

 お分かりだと思いますが、これからバスケットを編み立てる作業に入ります。鋭いナイフを手に持って、刃をバスケットの底とは反対方向に向けて、ちょうど底とぴったりくる所に 1 本の新しいステークの先端を押し込み、やさしくひねります。押し込むのと同時に、ステークを持ち上げて、まっすぐ立たせるようにします。底を編んで残ったスポークの端は飛ばして、底の周囲全体にステークを押し込んでは曲げて立ち上げる作業を続けます。ステークの端は、バスケットの側面が十分編み上がって固定するようになるまで、より糸で結んでまとめておきます。この段階では、まるで中世の時代に、鶏を市場まで運ぶのに使っていた籠のように思えるかもしれませんが、美しいバスケットになっていきますから、私を信じて作業を続けましょう。

 さあ、バスケットの側面を編み始めましょう。底を編んだことを覚えていますか? 側面も似たような感じで編んでいきます。また 2 本のウィーバーを使いますが、各ステークの周りにきっちり編み込みます。ステークの間を編むときは、ステークとステークの間隔が均等になるようにしてください。

 この作業をバスケットの周囲をぐるりと一回りすると、1 段編んだと言いますが、数段編んだら、底のスポークの端を削り取ります。こうすると、その後の作業がやり易くなります。

 さらに数段編んだら、アクセントとして赤いハナミズキの枝を織り込んでもよいでしょう。私は新しい色の柳を加えたりして、楽しんでいます。

 側面が好みの高さに達したら、縁を仕上げます。ステークの端を持って、次のステークの上や周りに丁寧に曲げていきます。最後のステークまできたら、最初のステークの下に押し込んで、縁が続くようにします。それから、ステークの端を少しカットして整えて、作業しやすいようにします。

 縁の仕上げとして、カットして整えたステークを内側に織り込みます(私は 2 つ飛ばしで織り込むやり方が好きです)。ステークはカットする前に、ひとつひとつをしっかり引っ張っておきます。短く切りすぎてしまうとうまくいかないので、気を付けましょう。

 さあ、これで柳のバスケットが完成です! 簡単でしたね。さて、初めて作ったバスケットを何に使いましょうか? このスタイルのバスケットをいくつか編んだら、ハンドル付きのもの、底に台を付けたものなどを試しに作ってみてはいかがでしょうか。私にとってバスケット編みは生活の一部になっていますが、こうして私がバスケット編み紹介したことがきっかけとなり、皆さんの生活の一部になってくれると嬉しいです。

 

 

「リトル」ジョン・ホルツワート (“Little” John Holzwart) は、手工芸家、自然採取家であり、現代のルネサンス的万能な教養人。www.PlantBasedServices.com

 

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