冬にあなたを悩ませる咳に、ハーブの治癒薬を育てよう。
文:マリア・ノエル・グローブス (Maria Noël Groves)
翻訳:松並 敦子
喘息、胸部鬱血、慢性気管支炎やアレルギーなどの慢性呼吸器疾患に悩んでいる方には、裏庭でも栽培できるモウズイカ(学名:Verbascum thapsus)、ニガハッカ(学名:Marrubium vulgare)、ブラックチェリー(学名:Prunus serotina)、ウスベニタチアオイ(学名:Althaea officinalis)、オオバコ(学名:Plantago major)といった肺の強壮効果のあるハーブが安心をもたらしてくれます。これらのハーブには咳を取り除いたり、肺の炎症を抑えたり、気道を広げたりする作用など、呼吸機能を向上させる様々な作用があります。ですから、各ハーブの効能をよく考え、ご自身に最適のものを選んでください。その他、肺に効果のあるハーブとしてオオグルマ(学名:Inula helenium)、タイム(タチジャコウソウ。学名:Thymus vulgaris)、セイヨウハッカ(ペパーミント。学名:Mentha x piperita)、カワミドリ(学名:Agastache rugosa)、モナルダ(学名:Monarda spp.)、ネバリノギク(学名:Symphyotrichum novae-angliae)が挙げられます。
深刻な感染症、呼吸困難、胸の上に象が座っているかのような圧力を感じるなどの呼吸症状がある場合は、直ちに医師の診断が必要なことを忘れないでください。ハーブは確かに併用服用が可能ですが、急性の喘息発作や肺炎には投薬治療がベストです。
モウズイカ。 柔らかくてフランネルのようなモウズイカの葉のおかげで、その鎮静作用が表現されています。モウズイカは狭窄した気道を開き、肺を潤し、炎症や傷みを和らげて落ち着かせてくれます。単独で使えますが、肺に効果のあるほとんど全ての植物とブレンドすることで、さらに有効なハーブになります。この魅力的な二年草の種を庭全体に蒔きましょう。採集時期は葉っぱが青々している時ならいつでも構いませんが、花が咲く前が良いでしょう。モウズイカの葉を処方する時は、葉の毛を布やコーヒーフィルターで濾してください。効果的な利用法はシロップ、お茶、チンキです。
ニガハッカ。 このしわしわの銀色のハーブは脂っぽい触感をしており、味は非常に苦いです。ニガハッカにはアロマのような味も香りもありませんが、エッセンシャルオイルが豊富に含まれています。ニガハッカは粘液を薄めて動かしてくれるので、昔から湿った咳の薬とされ、粘液をどんどん出すようにしてくれます。アレルギーや鼻汁が喉の方に流れ落ちるなど、多量の粘液が充満する症状を伴う場合は、何か呼吸器系に問題があると考えてください。お茶として飲むには苦すぎますが、生のニガハッカをチンキにすれば優れものです。ニガハッカはラベンダー(学名:Lavandula angustifolia)やタイムのように乾燥した日当たりの良い地中海ハーブのような環境で良く育ちます。効果的な利用法はカプセル、咳止めドロップ、ハチミツ漬け、シロップ漬け、チンキです。
ブラックチェリー。 この一般的な野生の木(ある意味でブラックチェリーと類似品種とされているチョークチェリー、学名 Prunus virginiana も含む)の皮は、昔から喉の乾燥や傷み、痙攣性の咳に優れた効果があると高い評判が あります。そのため、市販の咳止めドロップやシロップの多くがチェリー風味(現在は人工的であるが)をしているのです。例えば薪の炎の煙や慢性喘息によって肺が乾燥したり、炎症を起こしたり、苦しい時にはいつでもチェリーの樹皮に頼ると良いでしょう。チェリーの樹皮は調合段階でほとんど熱にさらすことなく乾燥させたものを使うと安全で、最も効果が出ます。効果的な利用法はハチミツ漬け、シロップ漬け、お茶、チンキです。
ウスベニタチアオイ。 腸の傷みを和らげる性質で有名なぬるぬるしたウスベニタチアオイには、呼吸器を鎮静する作用もあります。より強力なハーブと一緒に処方することで、ウスベニタチアオイは乾燥や炎症、傷みの緩和をサポートします。ウスベニタチアオイのシロップを咳止めのエリキシル剤のベースと考えて、ニガハッカ、モウズイカ、ブラックチェリーの樹皮のチンキと混ぜ合わせてください。嬉しいおまけとして、この花の咲く背の高いハーブは、庭に繊細な美しさを添えてくれます。効果的な利用法は煎じ液、薬用キャンディー、シロップ、お茶です。
オオバコ。 この腸の鎮静効果があるハーブは、気道にも良く作用してくれます。ウスベニタチアオイほどぬるぬるしていませんが、オオバコも炎症を起こしている組織を癒し、粘膜をやさしく整えてくれます。ウスベニタチアオイと同じく、オオバコも肺を治療する主要なハーブではありませんが、他のハーブとブレンドすることでサポート的な役割を果たします。効果的な利用法は煎じ液、シロップ漬け、お茶です。
肺の鎮静効果があるお茶
このブレンドは慢性呼吸器疾患でも、喉のズキズキとした痛みでも、一時的な肺の傷みでも、その原因に関わらず傷みを起こしている肺と呼吸組織の通りを改善して鎮静する助けをしてくれます。(症状によっては、医師の診察と診断が必要になる場合があります。このブレンドは特に抗菌剤というわけではありません)
フェンネルシード(ウイキョウ 。学名:Foeniculum vulgare)とペパーミントの両方が粘液を分解して痙攣の緩和を助けてくれます。どちらでも好きなフレーバーを選べばよいのですが、フェンネルシードの方が作用が穏やかだということを覚えておいてください。ここで紹介するレシピに好みで追加できるのはイラクサの葉(学名:Urtica dioica)、ブラックチェリーの樹皮、イエルバサンタ(学名:Eriodictyon californicum)、タイム、アキノキリンソウ(学名:Solidago spp.)、スペインカンゾウ(学名:Glycyrrhiza glabra)、トケイソウ(学名:Passiflora incarnata)です。出来上がり分量:1 回分。
- モウズイカの葉・・・小さじ 1
- ウスベニタチアオイの葉または根・・・小さじ 1
- フェンネルシードかペパーミント・・・小さじ 1
- オオバコの葉・・・小さじ 1(好みで)
作り方: ハーブを 16~32 オンス (470~950ml) のお湯に 15 分間浸ける。バラバラ状になったハーブを使う場合は、モウズイカの毛をきれいに取り除くために、目の細かい布かコーヒーフィルターで、飲む前にお茶を濾す。必要に応じて、1 日にコップに 1~3 杯飲む。
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