自営農園の防災対策:最新の非常用製品で備えあれ

マザーアースニューズ 防災対策 非常用製品

最良を望むことはできるが、このような耐久性のあるオフグリッドな革新的な製品でどんな危機的最悪の事態にも備えよう。

 

暴風雨から電力網の故障に至るまで、そして納屋などの離れ家の倒壊から洪水に至るまで、いつあなたの自営農場が緊急事態に襲われるかはわかりません。特定の危機に対処する方法を検討するのか、あるいは単に自宅の自立力を高める目的なのかに関わらず、水、避難所、食料、電力、通信、移動手段を説明することは重要です。

 ネバダ州ラスベガスで開催された2018年の Consumer Electronics Show(CES: 消費者電子機器展)は、あらゆる予期せぬ災害に対応するための、幅広い種類の革新的な最新技術が集まっていました。ここに紹介するのは、CESで見た、あるいは私の家族の太陽光発電の自営農場で試してみた、もっとも独創的で印象的な防災用品技術の中のいくつかです。これらの製品は、家族の安全、水、栄養補給、そして緊急時の連絡手段の確保の助けとなります。

 災害が自分の家を襲うという可能性は低いと思えるかもしれません。とはいえ、いつでもどこでも、問題は発生する可能性があります。この記事を書いている間にも、私の自営農場を闇に突き落とす8時間の停電(少なくとも、Cat S41スマートフォンとビッグフット (Bigfoot) の充電器を手に取るまで)を経験しました。本当の災害では、このような防災技術があなたの家族を安全に保つための鍵となるかもしれません。

 

ポータブルバッテリー

ビッグフット・ソーラーパワー・バンク (Bigfoot Solar Power Bank)

ToughTested 社にて $129.99

 

大きなポータブルバッテリーを持つことを気にしない人、もしくは予備の電気を手元に確保しておく必要のある人にとって、Tough Tested 社の新しいビッグフットソーラーバッテリーは、窮地から救ってくれるかもしれません。ビッグフットの 400mAh の太陽光発電は、大容量 24,000mAh の内蔵バッテリーを充電し、そのバッテリーは USB および USB-C ポートを通して、モバイル機器から小さなノートパソコンまで、あらゆる機器を充電することができます。屋外や厳しい災害環境に対応するように設計された、1.8㎏ のビッグフットは複数のモードのある LED 懐中電灯機能を内蔵していて、耐衝撃性があり、IP67 レベルの防水性能を備えている。つまり、90センチの深さで30分間の水没に耐えられるのです。

 LED 懐中電灯機能には、通常の電灯モード、点滅モードに加えて、3回ずつの短い点滅、長い点滅を繰り返してSOSを示す、第3のモードもあります。これは、非常時に助けを求める信号を発するための素晴らしい工夫です。

 

極薄ソーラーパネル

ヨーク・ソーラーペーパー (YOLK Solar Paper)

YOLK 社にて、パネルあたり $60

 

通信機器のほとんどは、電気に依存していて、緊急事態にはそれが生命線になりますから、バッテリ寿命は停電時の最優先事項になります。小型バッテリーを購入することができますが、それに蓄えられた電気もいずれは使い果たしてしまうでしょう。YOLK 社の新しいソーラーパネルは、小型で紙の薄さのソーラーパネルのモジュール式アレイです。これはマグネットで連結し、オフグリッド環境において、モバイル機器の充電、接続を保つために持ち運べる完全な対応手段となります。

 ソーラーペーパーは、コンパクトなアレイに何枚のパネルを接続しているかによって、5~15ワットの出力が可能です。YOLK 社によれば、パネル2枚5ワット出力の基本ユニットは、晴れた日であれば約2時間半でスマートフォンを満充電にできます。

 パネル2枚が接続されたアレイは、折り畳み時にわずか9×19×1センチという、超軽量で理想的な非常用充電ステーションです。薄いデザインと便利な接続箇所により、山登り、キャンプ、緊急時に避難所まで歩く時などに、バックパックにアレイを容易に吊り下げて充電できます。

 

ゼロマスウォーター・ソースハイドロパネル (Zero Mass Water SOURCE Hydropanel)

Zero Mass Water 社にて、パネル2枚のアレイ(送料と設置費用含まず)$4,000

 

もしあなたが自営農場で暮らしているのであれば、自分の食べ物を育てているでしょうが、それならどうして自分で水を得ないのでしょうか。停電の時は、井戸から水をポンプでくみ上げたり、蛇口から水を流すことができなくなります。ところが、Zero Mass Water 社は、簡単で持続可能でしかも安全な方法で、空気から水を作り出す方法を開発したのです。使い方が簡単なSOURCE Hydropanelは、独自の蒸気収集パネルを使用して、空気中の蒸気からきれいな水を取り出します。持続可能なSOURCEは、内蔵ソーラーパネルから電源を得ていて集められた水を小さなチューブを通して排出するので、自営農場の電力や井戸からは独立させることができます。

 「SOURCEは内蔵のソーラーパネルを使用して、空気から水蒸気を集めるプロセスに電力を供給し、その水蒸気を特殊素材に引き込み、安全な飲料水に変換します。」ゼロマスウォーターのマーケティング・コミュニケーションを担当するケイトリン・フィッツジェラルドは言います。「水は屋根や庭に置いたSOURCEからキッチンへ、もしくはウォーターサーバーを置きたいと思うどんな場所へも小さな3/8インチのチューブを通して送られます。」

 Zero Mass Water社が見積もるところでは、晴れた日に、標準的な2枚のSOURCEパネルで、気候に応じて8~20本の標準16.9オンス(約500ミリリットル)ボトルに相当する水を作り出すとのこと。各SOURCEパネルには、8ガロン(約30リットル)のタンクが内蔵されていて、曇りの日にも生産を継続するための内蔵バッテリーが付いています。

 

ソーラーオーブン

ゴーサンスポーツ・ソーラーオーブン (GoSun Sport Solar Oven)

GoSun Sport 社にて $249

 

 ソーラーオーブンの多くが「持ち運び可能」として売られていますが、たいてい、持って運ぶには角張り過ぎているし大き過ぎるものです。そんな一般的なソーラーオーブンと一線を画するのが、新しく出たゴーサン・スポーツ。最高に便利なソーラーオーブンです。キャンプをする時、あるいは、停電などの非常事態で、お好みのちょっとした食べ物を焼いたり、ローストしたり、蒸したりするのに最適な造りになっています。

 このオーブンがコンパクトで軽いのは、そのユニークな形によるものです。大半のソーラーオーブンが箱型であるのと対照的に、ゴーサン・スポーツは、ハマグリの貝殻のように両側に開く2枚の太陽反射鏡が付いていて、その中央に調理チューブがあるのが特徴です。チューブ内部の調理するスペースは長さが約61センチ、直径が約5.3センチ。野菜料理でも肉料理でも、小さなマフィンやロールパンでも、太陽熱だけで調理して、おいしい食事の支度をするのに申し分のないサイズです。

 使用時最大温度は摂氏288度。晴天下では20分ほどで食事の準備ができると同社は推定しています。調理が済んだら、反射鏡を閉じ合わせます。3.4キログラムほどのスマートな手荷物となるので持ち運ぶのに便利です。

 

ほぼ破壊不可能なスマホ

キャット・ラグド・スマートフォン (Cat Rugged Smartphones)

Cat Phones  にて$329.99 より

 

自営農場でもしものことが起こったら、通信手段はなんとしても確保しなくてはなりません。現代の通信において最も重要なツールはスマートフォンでしょう。けれども、大半のスマホは何日も充電せずに使えるようには作られていませんし、荒っぽい扱いや悪天候に対応するようにも作られていません。

 フォークリフト、掘削機、トラックの製造会社としてキャタピラ(通称「キャット」)のことをおそらくご存知かもしれませんが、堅牢な製品デザインを得意とする同社が最近、携帯電話業界にその技術力を持って参入しました。厳しい環境でも破損の心配をほとんどすることなくスマホを使いたいと思うユーザーに向けて、同社は最高級の耐久性能を持つスマホ(アンドロイド搭載)のラインアップを提供しています。

 私はこの数ヶ月間、キャットの中級品質のS41モデルを日常用の携帯電話として使っていますが、感心しきりです。最近のスマホの外装は金属やガラスさえ素材にしているものが多いですが、そういったものと異なり、S41はコーニング製のゴリラガラス5を使用する超絶的に耐久性のあるディスプレイを装備し、衝撃と落下に対する、軍用並みの保護構造を持つテクスチャード加工ゴムでできた外装を備えています。手に持った時、非常にすべりにくいため、どんな過酷な環境や緊急事態にあってもスマホを操作しやすいのです。また、充電器やヘッドフォン、それにSIMカードやSDカード、これらの差し込み口をきっちりふさぐゴムシールがあるので、水や粉塵などの微粒子が入らないようにし、コネクタをクリーンに保てます。さらに、摂氏マイナス10度から摂氏55度の気温で問題なく操作できます。このモデルの外装は、防塵防水等級IP68で作られています。これは、真水に落とした場合、198センチの深さまでのところに最長1時間沈んでいても故障しないレベルだということです。

 キャットのS41モデルは標準的な中級スマートフォンの仕様となっており、OS は Android 7.0 Nougat を搭載、記憶容量は38ギガバイトです。卓越しているのはバッテリーが5000ミリアンペア時もあることで、連続通話時間は最長38時間、待ち受け時間は最長44日です。バッテリーの容量があまりに大きいため、キャットは、S41の充電ポートを通して同モデルから他の小型電子機器を再充電できるような仕様にしたほどです。抜群のバッテリー寿命とアンドロイド搭載スマホの標準仕様全部に加えて、同社の最新モデル、キャットS61はIP69で、さらに高い防水性能があるほか、フリアー(FLIR)製の赤外線カメラが内蔵されており、高レベルの室内空気汚染を警告する室内空気質センサーも装備されています。

 

ハイテクな家

グリーン・ビルダー・メディア・フレックス・ハウス (Green Builder Media Flex House)

グリーン・ビルダー・メディア(Green Builder Media)にて

 

 グリーン・ビルダー・メディアのフレックス・ハウスが見せてくれるのは、持続可能性を追求してハイテクが相乗効果をあげるように組み合わせた家の可能性であり、エネルギーを節約し、排水を減らし、家族の健康維持に役立ち、非常時に住人が身の安全を守る助けとなるものです。必要とするエネルギーを自給し、最新の節水技術を使って排水をできるだけ減らしながら、「土地で採れたもので暮らしたい」という、廃れることのない人の思いを現代的なハイテクを使って実現しようとしているのがフレックス・ハウスです。

 2018年のコンシューマ・エレクトロニクス展(CES)では、同社はフレックス・ハウスの実物大の見本を展示していました。私がCESに行ったとき、中を見学し、その約70平方メートルの家の中に詰め込まれた、いろいろな持続可能性テクノロジーを目にする機会を得ました。どの部屋も考え抜かれた設計で作られていて、環境意識の高いハイテクで満ちていました。同社によるとフレックス・ハウスはまもなく商業ベースで販売されるようになる予定で、価格は8万5000ドルから10万ドルの間になると見積もっているとのことです。

 最高経営責任者のセーラ・ガタマンはこう言っています。「フレックス・ハウスは蓄電できる最先端の太陽光発電システムで電力の自給自足を実現します。この家が備えている各装置に必要な電力をすべて自給できます。小規模配電網として機能することもできるので、外の配電網につながることも、独立することもできるのです」

 フレックス・ハウスにはネクサス・イーウォーター社(Nexus eWater)製のハイテク雑排水システムが設置されています。また、屋外でも節水は優先して行われます。ラチオ社(Rachio)のハイテク灌漑システムは地元の気象観測所から得たデータを使って植物が水を必要とする時のみ水を与える水やりスケジュールを作ります。

 慎ましいサイズであるフレックス・ハウスは、夫婦、あるいは、少人数の家族が住むのに適しています。そして、住む人が経費を支払える範囲で快適に暮らすために必要とする分だけ資源を使えるように設計されています。「当社の考える『ちょうどいいサイズ』の暮らしというのは、面積のことだけではありません」とガタマンは言っています。「進化するライフスタイルに家を適応させるような、融通自在な暮らしということでもあります。そして、天然資源を必要な分だけ、消費するということも意味します。多すぎず、少なすぎず、ちょうどよくです。」

 

 

ガイド付き室内菜園

SmallGarden 2

ēdn にて $199

 

 CES 2018では、農場の新鮮食材を都会の家庭に届ける室内菜園システムが、大いに関心を集め、多くの企業がそのハイテクな手法を明らかにしていました。 私は、OPCOM Farm と ēdn が、人々が自分の食べ物を育てる能力を高めるスマートな室内菜園を提供することをどのように目指しているのかを知る機会を得ました。 大暴風雨やその他の自然災害が発生した場合は、スタンドアローンのスマート菜園ユニットで、あなたは外に一歩も出ることなく新鮮な食材を得られます。

 ēdn の SmallGarden 2 はハイテクな道具箱のように見え、花やハーブから葉物野菜まであらゆるものを育てることができます。植物の成長を助けるためにフルスペクトル LED ライトで日光を模しています。さらに、数週間もつ内蔵の貯水槽を使用して、SmallGarden 2 は手作業で監視する必要なしで、植物に最適なレベルで自動的に水を撒きます。 ユーザーのためのモバイルアプリは、SmallGarden 2 の一連のセンサーを利用して、植物の状態、段階、推定収穫日を計算することで庭の成長を案内し、プロセスのあらゆるステップを簡素化します。

 

室内ハイドロポニック菜園

OPCOM Farm にて $179

 

OPCOM Farm の室内水耕菜園には、太陽光のスペクトルを模した照明が装備されています。靴箱サイズから冷蔵庫サイズまでさまざまなモデルを利用できるので、あなたのスペースと食物需要に見合うように室内菜園の単位を選ぶことができます。「人々が単純に作物をつまんでシステム内に植えられるようにしてるんです。」と同社のセールスディレクターを務めるレイ・シーは述べています。「私たちの価格は200ドルから150,000ドルの量産容器にまで及んでいるので、個人から学校、プロの栽培者まで、水耕栽培をしたいすべての人のために幅広い製品を取り揃えています。」 水耕栽培では、通常では居心地の悪い地域で植物を成長させることができ  —  これは緊急事態における大きな利点です。

 

100% 電気スクーター

フォード OjO Commuter Scooter(通勤スクーター)

OjO Electric にて $2,199.99

 

100% 電気スクーターのブームは CES 2018 でも続いていた。最新のものには、フォードと提携している製造業者 OjO による通勤スクーターと CES Innovation Awards 受賞の Relync による R1 がありました。万が一あなたの車が故障して、家に立ち往生する状態になった場合、このような電動スクーターがあなたに安全をもたらしてくれます。

 OjO 通勤スクーターはまもなく米国全土の特定のフォードディーラーで販売されます。 これまでのOjO の電動スクーターをベースにした、内蔵セキュリティシステム、ワイヤレススピーカー、タッチスクリーンディスプレイなどの最新技術を搭載しています。 充電 1 回あたり 40 km の走行距離と 32 km/h の最高速度で、通勤スクーターは緊急の場合に電気だけを使用して機動性を維持するのに最適な方法です。

 

100% 電気スクーター

Relync R1

Relync にて約 $3,000

 

Relyncは、その非常に便利な R1 折りたたみ電動スクーターで、電気による機動性を再考することを目指しています。この機動性のあるスクーターは信じられないほど小さくて持ち運び可能で  —  折り畳み時に、幅 49cm、長さ 58cm、高さ 27cm です。 R1 はスピードのためには設計されていませんが、最高速度 13km/h で最大走行距離 29km。しかし、そのコンパクトなデザインのおかげで、R1 は緊急時に病院や避難所に行くようなピンチに便利です。

 

たのしい暮らしをつくるマザーアースニューズ

購読登録はこちらからどうぞ

 

Homestead Emergency Products

December 2018/January 2019

Written by Liam Kivirist and photos by John D. Ivanko Photography