国中で育つ病院菜園

ペンシルベニア州のセント・ルークス (St. Luke’s) 大学病院がロデール研究所 (Rodale Institute) と共同で構内で有機栽培農園を始めた。Photo by St. Luke's University Health Network

心身ともに健康であるためには、健康的な食事が必要不可欠であると常々考えられてきたものの、歴史的に見ると、多くの病院が食事のもつ治癒力を見落としてきました。しかし、いくつかの地域では変化が起き始めています。ペンシルベニアでは4年前、セント・ルークス (St. Luke’s) 大学病院がロデール研究所 (Rodale Institute) と共同で、イーストン (Easton) にある病院の大学構内で有機栽培農園を始めました。最初のシーズン以来、4.65 ha の土地で果物と野菜を100品種育てるまでに拡大しています。

 今日、セント・ルークスは、すべての新米ママのお宅に有機農産物の籠詰めを届けています。農産物の恩恵を受けるのは新米ママだけではありません。病院が運営する6つの大学構内食堂で調理され、患者に提供されています。また、近くの農産物販売所にも卸されています。

 病院の農園運営は、有機で地場産の農産物を一般の人々にも届くようにする大きな運動の一端を担っています。近くの農園から優先して調達する病院もあれば、利用していない土地をコミュニティー菜園に転用している病院もあります。病院側は、患者にも訪問者にも簡単に有機農産物が手に届くようにすることで、より健康的な人生へ向けての変革が起こることを期待しています。病院が運営する農園の多くは従業員や患者の食料を充分賄うまでには至っていませんが、新鮮な農産物を少量でも提供することは、野菜の豊富な食事がいかに健康的(かつ美味しい)かの啓発になります。

 農園から病院へ(farm-to-hospital)運動は広がりを増していますが、その過程でいくつかの課題も出てきています。一つには、医療従事者が必ずしも野菜の育て方を知っているわけではないことがあげられます。すなわち、多くの病院では常勤の農業従事者や農園の管理者を雇わなければならず、費用が嵩みます。病院の運営する農園が損益分岐点に達するには3年から5年かかりますが、この時間が短縮されれば食費の削減になります。それにもかかわらず、この運動に参加している病院は、その価値があると考えています。この運動は広がり続けており、みなさんの家の近くの病院でも農園で採れたばかりの野菜が使われた食事ができる日はそう遠くないかも知れません。

 

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Hospital Farms Growing Across the Country

By Lydia Noyes|  August/September 2018