水耕栽培:有機かそうでないか

農家が農産物に付ける値段のこととなると、ラベルの合法性によって多くの違いが生まれます。

文:リディア・ノイズ

翻訳:堀水 理佳代

 

「有機野菜認証」が実際に何を定義するのかについて多くの事が問われています。そのため、この定義は何十年に渡って議論されてきました。 最近、有機認証を受けるにあったて、野菜やその他の食料が土壌で生育している必要性について、議論が白熱しています。

 議論の中心は、水耕栽培された植物(植物が栄養豊富な水で育てられたもの)が有機と考えられるかという事です。支持者は、水耕栽培システムで使用される水溶液は、合成肥料または農薬なしで、植物が育つのに全て必要なものを提供するので、有機栽培の定義に合法的に合致していると主張しています。彼らはさらに、水耕栽培ははるかに少ない水で作物を栽培するため、従来の有機農法よりも環境に良い、と争っています。

 土を支持している多くの有機農家は同意していません。 彼らは、有機栽培の背後にある元の考え方は土壌の健康を養うことであり、土壌での栽培は有機認証に不可欠であると指摘しています。彼らは、自然に農場の土壌を改善、改良することは、健康的な食料をはるかに超えた生態学的利益をもたすと、主張します。

 現在、有機農家は彼らの信念を裏付ける法的文書を持っています。1990年の「有機食品生産法」には、「有機的農耕の計画においては、主に、適切な耕作、作物の回転、および肥料による土壌の有機成分の管理を通じ、土壌の肥沃度を高めるための準備が含まれていなければならない。」

 2010年には、全米有機基準委員会 (National Organic Standards Board) が米国農務省 (USDA) に、水耕栽培システムは土壌を使用しないため、有機認証に不適格であるとみなす事を推奨しました。 この記事の執筆時点では、USDAはこれらの推奨についてまだ取り組んでいません、つまり、多くの水耕栽培農家は、今までも、そして今後も、有機農家であり続けるのです。

 しかし、2016年11月、有機産業政策グループ (Cornucopia Institute) は、水耕栽培農場が続けて有機認証を受けている事に関して、USDAを法的に訴えました。 訴えが通った場合、米国は、水耕栽培で育った農産物への有機認証を禁止している、イングランド、オランダ、メキシコを含む24の国々に加盟する事となります。

 有機農家は、より安価な栽培方法や、一年を通しての収穫が水耕栽培者にとって可能であることが、近い未来土壌栽培の有機農産物の価格を大幅に下げ、推定430億ドルの市場シェアを奪うと懸念しています。それらの恐怖に基づいて反対しているかどうかはまだ分かりませんが、水耕栽培システムがいつも安い農産物を生産すると考えられる理由はほとんどありません。 水耕栽培に必要な広範な設備は高額な価格で販売されており、現在、水耕栽培と有機農産物の価格の差はほとんどありません。

 

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By Lydia Noyes

June/July 2017