成長周期のガーデニング

マザーアースニューズ ガーテーニング

切り花から食用の茎や葉まで、植物の別々の成長周期の中で収穫して、菜園の収量を最大化しよう。

文:ウィリアム・ラベル (William Rubel)

翻訳:河内 篤、沓名 輝政

 

 

春、私の野菜庭園は色取り取りになります。鮮やかな黄色い菜の花や成熟したフェンネルの花は、とう立ちしたコラードの花の黄色と対照を成しています。ソラマメの上には、白と深紫の花、深い青色のルリヂサの星の形をした花、愛らしい薄い青色でレース状のヒナギクの形をしたチコリの花が咲いています。

 植物の茎が上に伸びることを「とう立ち」と言います。ほとんどの菜園家は、とう立ちは植物の最期と認識しますが、成長周期ガーデニングを行なう者にとっては、ちょうど始まったとすることが多いのです。

 成長周期ガーデニングの背景にある最も重要な概念は、植物を収穫する時点は、その一生におけるほんの一段階であると言うことであり、その段階は、良い食べ物や、花その他の価値を生産するだけではないのです。

 野菜の花を育てるのは、成長周期ガーデニングにスムーズに移行する最も簡単な方法でしょう。たとえ何でもとう立ちの状態にすると考えるとワクワクするとしても、少量の植物を花になるまで取っておくことで、自分自身が楽になります。ミツバチ、マルハナバチ、その他の授粉者が庭にやってきたら、あなたの心が安らぐこと間違い無しです。そして、農家市場で売れば、野菜の花は売り物として収穫する価値があることが分かることでしょう。

 私は野菜の花が好きですが、現在のお気に入りはコリアンダーの花です。もしコリアンダーが葉っぱだけの小さな植物であることしか知らなければ、その植物が小さな白い花々から成る 1.8 メートルの高さの繁みに変わることを認識することも無いでしょう。花は地面から始まり、羽毛の様な茎の房に囲まれた散形花序に成長します。花はサラダに素敵な風味を添えます。

 昨年私はたくさんの黄タマネギを植え、数十の花を咲かせました。その花は、ほどよい間隔で列をなす長い茎の上に伸びていて、それぞれの茎に長持ちする白い星のボール状にのっています。タマネギの花をパラパラとサラダに振りかけると、意外なタマネギの風味で嬉しくなりますよ。

 私の菜園は野生の草花がなじんでいるので、見事なノゲシ属(学名:Sonchus oleraceus)もいくつか生えています。あなたはこの植物を駐車場の雑草と考えるかもしれませんが、美しいです。小さなタンポポのような花と光沢のある先のとがった葉があり、その葉は茎を面白い形で包みます。葉をサラダにいくらか加えるのは、野生を招くことになり、いつでも大歓迎。

 野菜の花のつぼみは、ほぼ例外なく、食べられて美味しいです。考えると、アーティチョークやブロッコリーがそうですよね。そして、レタスなど、とう立ちした茎は、それ自体で柔らかい野菜になり、風味豊かな髄を持つことがあります。ブロッコリーのような私達がよく食べる芽は、穏やかな味が故に選ばれたアブラナ属の品種からのものです。成長周期ガーデニングに挑戦すると、より強い風味とより豊かな個性の世界へ足を踏入れることになります。何かを試して、あなたの好みよりも強い場合は、風味を弱めるために薄い塩水でさっと茹でてみてください。

 成長周期ガーデニングを始めるのに簡単な野菜がいくつかあります。手始めにいくつか試すか、全てやって見ましょう。いずれにせよ、成長周期ガーデニングはあなたの収穫を最大化するための素晴らしい方法です。

 

アーティチョークとカルドン

 成長周期ガーデニングをする菜園家にとって、カルドンの花の茎は家庭菜園の栄光です。多分岐茎は 2 メートル近く立ち上がります。蜂や蝶に愛されて、青い花は午後遅くに輝いています。アーティチョークとカルドンの花は両方ともキッチン用に摘むか、長くもつ花屋の作物として栽培できます。私は茎をそのまま干からびさせて、翌年その根元にエンドウ豆を植えます。

 アーティチョークやカルドンの十分に活用されていない食用部分は花茎です。まだ硬くなる前の、収穫したアーティチョークのすぐ下の茎、またはカルダンの花は、柔らかくておいしいです。成熟したアーティチョークの茎を半分に分割します。やや燻製風味の髄は、生でも湯がいてもよく、バターを添えてお召し上がりください。一般的なカルドンの下ごしらえは、軽く茹でた茎の中央の葉脈でグラタンを作ることです。(収穫する数週間前に藁や新聞で茎を包みます。)

中央のアーティチョークの芽を収穫した後、植物はわき芽として多数の小さな芽をつけます。これらの小さな芽は繊細です。丈が 5 センチ強になる前に収穫します。下ごしらえとして、薄めの緑の葉が出るように外側の葉を取り除き、芽の上 3 分の 1 を切り取り、縦に薄くスライスし、パリッとするまで熱いオリーブオイルで炒めます。提供する前に塩をかけます。

 

ソラマメ

ソラマメにスペースを空けると、分岐(そう、たくさん茎を出すこと)します。成長周期の菜園家にとって、ソラマメがその優しいわき芽を出すことを意味し  —  エンドウ豆の茎や葉より深く風味があり、より豊富です。ソラマメの植え床からは、何キロもの茎や葉が採れます。

 ソラマメのさやは本当に若い頃には丸ごと食用になります。豆が成熟の途中にあるとき、調理できます。さやと全部です。成熟したら、豆はさやから取り除くのが一番です。ソラマメは乾燥させて、エンドウ豆その他の豆のように、スープや他の料理に使用するために、水分を加えて戻すことができます。花が咲いた後、地面から10センチ弱のところで切り詰めるべきです。2 度目の収穫となる芽を出し直すことがよくあるのです。

 

ビートとスイスチャード

 食料品店で購入したビートを植えると、すぐに葉を生やし始めます。この葉を、切って食べて何度でも生えるサラダとして収穫できます。あなたの地域の気候によっては、ビートは数年間採れ続けられるかもしれません。ビートとスイスチャード(ビートと植物分類が近い)は、とう立ちすると、柔らかい総状花序となります。私の経験では、植物をあるがままにさせて何が起こるのかを見ることは、幸せな驚きをもたらすことが多いです。とう立ちしたビートの茎をそのまま越冬させると、次の春にはサラダへの劇的な添え物になる食用の葉が小花状に並ぶでしょう。

 私はビートの芽を収穫しますが、スイスチャードよりも生産的であることがわかりました。スイスチャードの花のつぼみを見つけるまでは、私はスイスチャードをそれほど食べる人ではありませんでした。今では、私は、とう立ちすると主茎から放射状に広がる穂状花序のためにスイスチャードを育てる傾向があります。とう立ちするスイスチャードは、大抵のアブラナ科植物よりも庭のスペースをとりません。植物は 1.5 メートル強成長することがあり、支柱仕立てが必要かもしれません。

 

 食用の花芽を持つ何十もの茎が生えます。芽が混み合い、少し黄色が出始めたら収穫する。どんな調理方法でもおいしいですが、私は軽く塩を振った水で湯がいてから、香りの良いオリーブオイルでドレッシングすることをお勧めします。私はまた、トマトソースでよく調理します。葉の厚い葉脈は葉から分離でき、同様に調理できます。

 

記事全文はバックナンバーでどうぞ。

 

楽しい暮らしをつくる

マザーアースニューズ の購読はこちら

 

Life Cycle Gardening: Maximize Your Harvest

April/May 2019