再生可能エネルギーで生きる:風力と太陽光

農村夫婦のスーパープレー:家庭用太陽光発電と送電網につないだ風力発電装置を導入して自営農園にクリーンで手ごろなエネルギーを供給することに成功

 

 

著者の2人は、風力タービンと太陽光パネルの発電にきりかえる前に、自営農園のエネルギー効率をできるかぎり上げた。Photo by John Ivanko

文:ジョン・D・イバンコとリサ・キビリスト (John D. Ivanko and Lisa Kivirist)

 

著者の2人は、風力タービンと太陽光パネルの発電にきりかえる前に、自営農園のエネルギー効率をできるかぎり上げた。Photo by John Ivanko

 

 20年以上前にウィスコンシン州南西部にある2ヘクタールの自営農園に引越してきてから、自給自足を最大にすることや、エネルギー利用を最小にすること、化石燃料とその燃焼によるループからぬけることを目標にしつづけています。引越してすぐに気がついたこと。それは、風力発電装置や太陽光発電装置などの再生可能エネルギーシステムにすぐに手をつけるより、先に住環境をととのえるほうが、エネルギー使用と消費の点ではるかに費用がかからないということでした。

 住環境をととのえる仕上げに、電球をエネルギー効率の良いものに交換し、新しい窓ガラスや隙間埋め材や断熱材をもちいて176㎡の母屋の気密性をできるかぎり上げました。自営農園を購入してから2、3年の間に、家庭での温水使用にみあう太陽熱システムの利用もはじめました。主な熱源として使用したのは、ロピ・エンデバー (Lopi Endeavor) 薪ストーブ。洗濯物をつり干しにしたり、エアコンを使う代わりに扇風機をまわしたりして、生活スタイルもみなおしました。食べものを育てたり、キッチンで料理をしたり、収穫物をビン詰めや冷凍にして保存することも学習。再生可能エネルギーの導入は、私たちが食べものを栽培してから消費するまでの流れ、地域の生態系システム、また、生計という点で家計のやりくりの方法にも馴染みました。1つのことはすべてにつながっているのです。

 1年当たり12,000kWhから9,000kWhまでと、5年ほどの間に電気使用を徐々にカット。自分たちの電気使用が再生可能エネルギーシステムの導入に以前よりも適した状態になっていると気づいて、自営農園で発電する方法はないかと検討しはじめました。

 私たちの家はオール電化。家では私たち2人とも、ライター、作家、B&Bの「イン・セレンディピティ (Inn Serendipity) 」のオーナー兼経営者として仕事をしています。その上、ジョンは写真家です。引越してきた時、自営農園はすでに送電網とつながれていました。ですから、送電網をそのまま利用して余剰電力をためるのが最も経済的だったのです。オフグリッドのバックアップシステムで生じるバッテリーの維持管理や廃棄の手間をはぶくこともできました。再生可能エネルギーシステムの導入は、家電製品の作動具合や、使える家電製品の範囲に影響しませんでした。ちなみに、私たちが家で使用している電気製品はすべてエネルギースター [EPAによる、省エネ・環境保護のための認証プログラム] 認証製品です。

 手ごろなエネルギーを自分たちで発電するスキルを習得するのに中心的な役割をはたしたのは、ミッドウェスト再生可能エネルギー組合 (Midwest Renewable Energy Association:MREA) と、マザーアースニューズの記事から学んだ情報。一方で、同じように重要だったのは、新しい再生可能エネルギーシステムを導入する時に申請可能だった奨励金でした。国と州の両方です。

 

家庭用太陽光発電

 2002年には、送電網につながった太陽光発電を追加しました。京セラKC-120パネルを4枚と、アドバンストエレクトロニクス (Advanced Electronics) GC-1000 のインバーターを組みあわせた480ワットの太陽光発電装置です。私たちの夏の電気使用の2パーセントにみあうデザインでした。夏は、農園もB&Bも1年の中でもっとも忙しい時期。このシステムは1年で500kWhを発電すると見込んでいました。取り付けについてはMREAの取り付けワークショップの一環で節約できて、システムの値段は全部で5,527ドル。州からの補助金合計3,536ドルを引いて、正味の出資は1,991ドルだけになりました。

 私たちは会社を立ち上げることを決心。社名はJDIエンタープライゼス (JDI Enterprises Inc.) で、機材は私たち個人ではなく、会社で購入することにしました。著書「ECOpreneuring(仮題:エコ起業)」にも書きましたが、起業することで、課税後の個人所得ではなく、会社の課税前の収益から経費として落とすことができました。また、法人にすることで正味の機材費用を減価償却費として控除することができ、政府の再生可能エネルギー発電を対象とする税額控除 (Renewable Electricity Production Tax Credit) の申請もできました。

 この家庭用太陽光発電装置は、敷地内にある道具小屋の南に面した壁に片持ち梁を取り付けて、その上に設置しました。畑の中に設置すれば、ラックの取り付けや溝堀りにさらに1,000ドル以上かかりましたが、その分を節約できました。お金をあまりかけず簡単に、インバーターを既存の農園設備につなぐことができたのです。オフグリッドのバッテリーシステムの導入で生じる費用や維持管理の手間をはぶくことができました。

 

家庭用風力発電装置

 家庭用太陽光発電装置を取り付けて1年もたたないうちに、好運が重なって、バーギー・ウィンドパワー社 (Bergey Windpower) の10kW風力発電装置の導入を実現することができました。フォーカス・オン・エナジー (Focus on Energy:エネルギー効率を上げる情報・財政・技術支援などの公的プログラム) の州のインセンティブ補助金を確保できただけでなく、小規模風力発電のエキスパートでMREAの前委員長であるミック・サグリロ氏 (Mick Sagrillo) が、取り付けワークショップの開催を了承してくれて、人件費にかかる数千ドルも節約できました。

 

 それにくわえて、再生可能エネルギー会社のレイクミシガン・ウィンド&サン (Lake Michigan Wind & Sun) の仲間たちが、格子造りを張り綱で支えた (guyed-lattice) 37m弱の中古のタービンタワーと中古のバーギー 社製 Excel S [タービン発電機] を入手して、組みたて直してくれたのです。これでまた、数千ドルが浮きました。タービン発電機の組みたて直しでは、タービンの要所となる部品を新しいものに交換する必要があったのです。組みたて直してもらったタービンを、バーギー社の GridTek 10パワー・プロセッサー・インバーターと組みあわせて、送電網につなぐことができました。このシステムで発電される電気を蓄電できるバッテリー群は、さらに10,000ドルかそれ以上かかったでしょう。私たちの手の届かない金額でした。

 この風力発電装置も太陽光発電装置と同じように、私たちの家族経営の会社を介して購入。この風力発電装置は、母屋からおよそ90mほど離れた畑の中に設置しました。三層交流発電をするので、太陽光発電装置と異なり、送電ロスは比較的少なくてすみます。太陽光発電装置は直流を発電するのです。風力発電のインバーターは、できるだけ太陽光パネルの近くに取り付けました。道具小屋の南向きの壁には、片持ち梁りの上に太陽光発電装置が置かれていますが、それとは反対側の壁です。

 バーギー風力発電装置の2003年における総合価格は31,075ドル。州のインセンティブ補助金が15,595ドル、現物支給の補助は8,390ドル分ありましたので、その分支払わずにすみました。はじめの丸1年に発電したのは、7,033kWh。もっとも、余剰電気が出るようになったのは、2年後にブレードを新しいものに交換したあと。この原稿を書いている時点で、私たちの風力タービンは127,425kWh/年以上の再生可能エネルギーを発電しています。

 私たちが地元の電気サービス事業体とむすんでいるネットメータリング契約では、余剰電力の買取が明記されています。必要な電気を発電できない時に支払う電気料金と同じレートです。これが送電網とつながったシステムのすごいところ。バッテリーの維持管理や交換の心配をしなくてすみ、自分たちの発電システムが必要十分な電気を発電できない時の心配もしなくてすむのです。私たちは送電網をたのもしい蓄電池の代わりとして利用。電気代請求書の買取分が100ドル以上にたまれば、電気サービス事業体がいつでも小切手を振り出してくれます。普通はビジネスの経費となるものを、収入源になるようにしてきたのです。自分たちの食べものを栽培することで食費を徐々に減らしてきたのと同じようなことです。

 送電網につながったシステムの唯一の弱点は、送電網が動かなくなった時は、自分たちの再生可能エネルギー発電システムも動かなくなること(風があろうが日がさしていようが関係ありません)。というのも、インバーターは、電気が送電網から流れてくる時だけ作動するからです。

 

ハイブリッドの再生可能エネルギーシステムを選ぶ

 日が照ってもいつも風がふくとは限らず、同じ季節でも風のふき方や太陽光の増え方が同じになるとはかぎりません。その点、私たちの場所は、風力および太陽光発電装置、両方の設置に最適です。というのも、南にむかって開けており、木はほとんどなく、比較的高く隆起した場所にあるのです。地域の他の風力タービンのオーナーから発電情報もあつめました。投資した分にみあうだけの風の速さや風力の安定があるかについて確認したかったからです。自分たちの土地は、風力タービンのタワーの「倒壊ライン (fall line) 」(ほとんど起こりませんが、嵐で倒される場合です)がちょうど敷地内におさまる広さでした。道路にもかかりませんし、隣の人の土地にもかかりませんでした。この立地条件のおかげで、地役権や例外的許可を確保する手間がはぶけました。

 風力と太陽光発電のハイブリッドシステムを選んだので、1年365日、自分たちの場所でいくらかの電気を発電できるようになっていました。このハイブリッドシステムは、私たちがカーボンネガティブで生活する力の鍵になっています。ご承知のように、夏は太陽光発電のピーク。風は、9月から5月が最も強くて安定しています。私たちの場所では、平均して9から12マイル毎時。16年以上発電をつづけてきましたが、イン・セレンディピティのウェブサイトInn Serendipity’s websiteのデータを見ると、太陽光発電装置による発電は1年で約800kWh/年、風力タービンによる発電は約10,000kWh/年になります。私たちが送電網におくる正味の再生可能エネルギーは、年間で2,000から3,000kWh/年になります。電力会社から送られてくる信用小切手にして、年間約300ドルになるのです。

 風力発電装置を導入した時、それと同等の太陽光発電装置は驚くほどの高値でした。私たちの限りある資金では、2003年の時点で風力タービンが唯一の選択肢だったのです。それ以降、太陽光発電モジュールの価格は急降下しています。。。(つづきは定期購読にてどうぞ

 

ジョン・D・イバンコ (John D. Ivanko) とリサ・キビリスト (Lisa Kivirist) は、ウィスコンシン州の農村で、風力と太陽光ですべての電力をまかなうB&B「イン・セレンディピティ (Inn Serendipity) 」を運営。最新共著に「Homemade for Sale: How to Set Up and Market a Food Business from Your Home Kitchen(仮題:売れるホームメード:自宅キッチン初のフードビジネスーどうやってはじめる&どうやって売る)」がある。購入はマザーアースニューズストアまで。

 

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Living with Renewable Energy Systems: Wind and Solar

June/July 2018

By John D. Ivanko and Lisa Kivirist