オクラを年中愉しむ

マザーアースニューズ 料理 レシピ

ネバネバ野菜の熱烈なファンに、ビン詰めオクラの漬け物で年中いつでも夏の味わいを。

 

 

 

 

: クリス・スミス(Chris Smith)

 

写真: ピーター・テイラー(Peter Taylor)

 

翻訳:藤井 さわ

 

 

 

 食料の缶詰めは、工業的食品システムの典型と一般的には捉えられているので、オクラのビン詰めも推奨されないものかも知れません。そうだとすれば、残念です。なぜなら、地元で採れた有機オクラの 12 月のビン詰めの方が、ホンジュラスからトラック輸送や空輸された生鮮オクラよりも、はるかに望ましいからです。自家栽培の野菜をビン詰めにしない手はありません。しっかりした食料品質基準に従えば、ビン詰めは食料を安全に保存する方法です。

 

 

 

アルカリ性野菜のビン詰めをつくる

 

 家庭でのビン詰めづくりには、湯煎式ビン詰めと圧力式ビン詰めの 2 つの方法があります。保存する食料の酸性度によっていずれの方法にするかが決まります。湯煎式ビン詰めの場合、瓶内部の温度が沸騰温度である 100 にまでしか上がらないため、ボツリヌス菌を確実に死滅させることができません。ボツリヌス菌は酸性環境では産生されないため、酸性度の高い食料にのみ湯煎式ビン詰めをお勧めします。

 

 圧力ビン詰め機は、オクラのようなアルカリ性食材のビン詰めづくりに必要な道具です。圧力ビン詰め機は、熱湯の湯気を封じ込めるために蓋でしっかり密閉するため、圧力が上がり、お湯の沸点も上がります。圧力ビン詰め機の中の食材は 121(華氏 250 度)になるため、ボツリヌス菌を死滅させることができます。圧力式ビン詰めをつくる際は、ガイドラインに記載されている通りの圧力と時間にしましょう。食料を安全に保存するのに良いことが証明された方法なのです。

 

 圧力式ビン詰めは、保存食づくり初心者にとっては少々敷居が高いかも知れません。私自身、大量のオクラを育てはじめるまでは、圧力ビン詰め機を使ったことがありませんでした。友人から圧力ビン詰め機を借りてみたところ、湯煎式ビン詰めと同様に簡単な作業で、所要時間に合わせて適切な圧力をかけるという一手間が増えるだけでした。さやを丸ごと、あるいは刻んで、数分間茹でて所定の温度にまで温めます。9 パイント (4.25L) の瓶いっぱいにビン詰めをつくるには、7 ポンド (3.18kg) のオクラが必要です。私はオクラの茹で汁で瓶を満たしますが、粘りを減らすために、新たに沸かしたお湯を推奨している出典もあります。なお、私は瓶上部に 3cm 弱の空間を残し、1 クォート (0.95L) に対して塩小さじ 1 を入れるというオプションは省いています。

 

 

 

 

 

酸っぱい成功体験

 

 「漬け物料理が復活している」とヴィヴィアン・ハワード (Vivian Howard) シェフは「Deep Run Roots (深く繋がったルーツ)」に記しています。来客の際に、発酵した夏野菜をたっぷりお皿に盛って出すことのできる、スロークッカーについて言及していたのです。彼女の漬け物料理のレシピには、丸ごとオクラ、芯付きとうもろこし約 5cm、唐辛子、にんにく、塩とコショウが入っていて、とても美味しいです。多くの人が漬け物と発酵を別ものとして捉えている中、ハワード氏は、発酵させた野菜料理を「漬け物料理」と表現していますが、これは全くもって正しい表現です。今日、「ピクルス」と呼ばれるものは、一般的に酢酸(酢)に漬けたものを指し、乳酸菌に漬ける昔ながらの食料保存方法は、通常「発酵」と言います。発酵は、すべての野菜にもともと付着している天然の乳酸菌を培養させるのですが、酢漬けによるピクルスは、酢酸を加えて無菌環境を作ります。いずれもオクラを保存する大変にすばらしい方法です。

 

 オクラの漬け物が話題になると、みなさんはご自身のお婆さんのレシピを共有したくなるようです。私の経験では、棚にあるスパイスを何でもいいから入れれば、味わい深いオクラのピクルスになります。ただ、最良の結果をもたらすのに欠かせない材料が 1 つだけあります。ターメリックです。お店で買った最も美味しいピクルスの原料ラベルにも、美味しいピクルスのレシピにも、ターメリックが含まれていることにある時気が付きました。ショーン・ブロック (Sean Brock) シェフは、大切なコツとして、オクラのさやにやさしく切り込みを入れることを上げています。そうすることで、粘りが流れ出て失うことなく、酸味のある旨味をさやに含ませることができます。

 

 私が酢漬けにするのが好きな理由の 1 つに、ピクルスを湯煎にかけて瓶に蓋をし、涼しく暗いところに長期間保管することができ、冷蔵庫に入れる必要もないことがあります。自家製ピクルスの推奨保存期間は 12 年ですが、黙示録の終末も乗り越える可能性があり、何十年にも渡って保存できるのではないかと私は思っています。いつも長いと言えない期間で食べ切ってしまうので、我が家の自家製ピクルスがどれほど持つかは未だ試せていません。夏の味覚と言えば、まずオクラの漬け物です。ターメリックを加えると、漬けているさやに黄金の光沢がつき、深い味わいとなり、夏の日照りを蘇らせてくれます。

 

 サンドール・キャッツ (Sandor Katz) は、すばらしい著書「The Art of Fermentation(発酵の技術)」の中で、オクラについて次のように言及しています。「オクラが好きなのであれば、試しに発酵させてみてください。私はいつもオクラを丸ごと使い、細かく刻んだ野菜に混ぜ合わせています。そうすると、オクラの粘りをほぼそのまま閉じ込めることができ、(私のように)粘り好きも愉しめますし、そうでない人は避けられます。他の野菜に合わせてオクラを細かく刻むと、料理全体にオクラの粘りが広がります(美味しいですよ)」 

 

 発酵はその人の試し方次第のため、自家製発酵をあれこれ試してみることをお勧めします。千切りキャベツのような野菜は塩を振りさえすれば、野菜の水分で発酵させることができますが、オクラをさや丸ごと発酵させるには、はじめに塩水に浸けなければなりません。発酵の進み具合は、気温と塩の分量によります(塩が多いほどにゆっくりと発酵し、気温が上がるほど早く発酵します)。発酵できているかどうかの判断はその人次第です。長く発酵させればさせるほど、さやは柔らかく崩れやすくなりますし、酸味は強まり、味も深まります。。。

 

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