多用途な豚さん耕運機

マザーアースニューズ  家

移動式のピッグトラクターを作り、用途に応じて部 品交換をして、鶏小屋や園芸用のトンネルなどにで きる。

 

 

文: ホーマー・ウォルデン(Homer Walden)

翻訳: 津田 嘉江

 

 ペンシルバニア州ヨークの近郊に 12 エーカー(48 千平米)の土地を購入し た時、そこにはビニールハウスの支柱がありました。私はその辺りを歩いてみ て、1 エーカー(4 千平米)の野菜畑にぴったりの場所だと判断しました。ただ 問題は、私たちがそこを耕すトラクターを持っていなかったことでした。私た ちは以前の家を売って得た財産を、農場を買うのに費やしていました。住宅ロー ンがないのは良いことでしたが、菜園の植え床を耕す手段がありませんでし

た。

 思いもよらない解決策が 4 匹の子ブタの形でやって来ました。子ブタが到着 した時、私は彼らを給水槽のあるチキントラクター(移動式鶏小屋)に入れま した。翌日、エサをやろうと歩いていくと、子ブタがチキントラクターの下に生えている草を(草も根もすべて)食べており、全 体を完璧な長方形に掘り起こしているのを見つけました。彼らがひたすら土の中をゴソゴソし続けている間、私は完全に見とれて いました。私は小屋を少し前方に引っ張ることにしました。すると子ブタは新しい場所ですぐさま働いてくれました。私は子ブタ が化石燃料を一滴も使わずに菜園の土を耕してくれると気づきました。しかも、彼らに与えるべき飼料は、近所の食料品店とレス トランから出る野菜くずだけで済みます。このようにして、私はトラクターを必要とせずに 30,000 ドル(3 百万円)を節約しまし た。 数日後、ブタたちはチキントラクターを解体し始めました。それで私は「豚さん耕運機」を作りました。何種類か試作し、最終 的に圧力処理された木材のフレームと溶接金網で作ったケージ、加えて小屋を簡単に動かせるよう車輪をつけたものを製作しまし た。次に、車輪を前方に移動し、給水槽を追加して、10 数羽の七面鳥を飼育できることに気づきました。これは安くて早い修正 です。小屋でブロイラーを飼育するため、端と側面を覆う家禽ネットを追加し、さらに巣箱と止まり木をいくつか小屋スペースに 追加しました。最後に天井全体を防水シートで覆い、通気のために端は開けておきました。そして保温ランプを足し、豚さん耕運 機をひな用の小屋としても使いました。また使い勝手の良い犬小屋にもなり、昨年は透明なビニールで覆って、早くて簡単な園芸 用のトンネルにしました。

 

工具・材料

 この手順により、内寸 48 インチ(1.2m)幅で 12 フィート(3.7m)長、 10 フィート(3m)長のワイヤーケージのついた小屋 ができます。この設計案は様々な長さに簡単に変更できます。金網を切断する時は、取り扱えるように常に硬い部分が端に残るよ う気を付けてください。


 

  • 12 フィート(3.7m)長の圧力処理された 2 x 6 材、フレームの側面用(2 本) 
  • 48 インチ(1.2m)長の圧力処理された 2 x 6 材、フレーム の前面と背面用(2 本)
  • 48 インチ(1.2m)長の圧力処理された 2 x 10 材、後方の 棚用
  • 2 x 6 ジョイストハンガー(4個)
  • 5 x 16 フィート(1.5 x 4.9m)の溶接金網(2 枚)
  • 1/4 インチ(6mm)のケーブルクランプ
  • 31/2 インチ(89mm)の補強金具
  • 6 インチ(152mm)の PVC キャップ(2 個)
  • 4 フィート(1.2m)長で 6 インチ(152mm)幅の塩ビパイ ムの側面用(2 本)
  • 1/2 インチ(13mm)の 14NPT パイプタップ
  • ブタ用乳首給水器
  • 1/2 インチ(13mm)の PVC のスリップとねじの継手
  • 1 インチ(25mm)のゴム栓
  • 4 インチ(102mm)のバンジーコード(2 本)
  • 塩ビ(PVC)用のプライマー(下塗り剤)と接着剤
  • 11/4 インチ(32mm)の屋外用デッキネジ
  • 3 インチ(76mm)の屋外用デッキネジ
作ってみよう

 左右のフレーム用 2 x 6 材の前方下側を、斜めに切ります。前後左右 のフレーム材を長方形に組みますが、前後の木材を左右から挟んで前後 の端から内側 30cm に配置します。2 x 6 ジョイストハンガーと 11/4 (32mm)インチのネジを使ってフレーム材の内側の角で連結します。

3 インチ(76mm)のネジで 2 x 10 の棚をフレームの後ろに付けます。

 2 枚の家畜用金網をそれぞれ 10 フィート(3m)の長さにカットしま す。次に、10フィート(3m)の金網をそれぞれ長手方向に 2 つに切り分けます。上部は 32 インチ(812mm)幅、側面は 24 (610mm)イン チ幅です。これらをクランプで固定し、ケージの上部と側面を形成しま

す。残りの金網から、ケージの両端用に 4 × 4 フィート(1.2 x 1.2m)の金網を 2 枚カットします。両端に四角いまま取り付ける か、ケージの側面に合わせて上部をカットします(カットした場合は、各パネルの上部の縁に沿って 1/4 インチ(6mm)のロッド を溶接し、鋭い縁を無くす必要があります)。スチール製のケーブルクランプを使用して、金網の部品を取り付けます。

 金網をフレームに取り付け、フレームの両端が 30cm 突き出るように中央に配置します(私は、万力と 長さ 1/2 インチ (13mm)、長さ 1/4 インチ(6mm)の 2 × 2 スチール製ブロックを使って成形した 31/2 インチ(89mm)長の補強金具で作った留 め具を使って、金網をフレームに取り付けました)。

 給水器を作るには、プライマーと接着剤を使って、塩ビパイプの両端に PVC(塩ビ)キャップを取り付けます。パイプの底から 50mm 上がったところに 5/8 インチ(16mm)の穴を開け、パイプタップでネジを切ります。その穴に乳首給水器をねじ込みます。 塩ビパイプを円周方向に 90 度回転させて、底から 50mm 上がったところにもう 1 つ 5/8 インチ(16mm)の穴を開けます。パイ プタップでネジを切り、プライマーと接着剤を使って水漏れを防ぎながら、1/2 インチ(13mm)の PVC 継手をねじ込みます。ゴ ム栓で穴を塞ぎます。こうすることで、乳首を必要としない動物にも給水器を使うことができます。上部の PVC キャップに、5/8 インチ(16mm)の穴を開け、パイプタップでネジを切ります。その穴に 1/2 インチ(13mm)の PVC 継手をねじ込み、プライ マーと接着剤で固定します(この上部の穴は給水器を水で満たすのに使います)。給水器はバンジーコードで小屋に取り付けま す。

 鶏などの家畜に給水器を使用する場合は、塩ビパイプの下の奥の棚に水皿をセットします。パイプに水を入れたら、下の穴の栓 を素早く抜いて、上のキャップの穴を塞ぎます。これで真空状態になり、水がゆっくりと出てくるようになります。

 小屋の移動や昇降を行う最も簡単な方法は、溶接されたホイールジャッキを取り付けることです(自作の方法については、拙著 『The Low Tech Farmer』をご参照ください。多用途な豚さん耕運機のための部材を、その他の金物と一緒に、私のウェプページ www.LowTechFarmer.com から注文できます)。また、フロントパネルにドアを付ければ、家畜が出入りしやすくなります。捕食 を防ぐために、私はフレームの上端に 2 インチ(50mm)の絶縁体を使って電気柵を設置しています。。。

 

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