私の小さな無料シードライブラリーの旅

マザーアースニューズ 自然 自給 DIY

コミュニティ、学習、エンパワーメントへの夢が、ご近所の種子と食の拠点を通じて現実のものとして芽吹く。

文と写真:マナー・アリカ・アラッタ(Manar Arica Alattar)

翻訳校正:沓名 輝政

 

 私が小さな無料のシードライブラリー(種子図書館)を始めたのは、食料システムの非効率性、食料不安、そしてCOVID-19の大流行が人々の資源獲得能力に及ぼす影響に気づいたからだ、と言っておきましょう。私は大学で食料システムと社会正義について講義しています。ただこれは正しいのですが、真実のすべてではありません。本当のところは、私は小さな無料の図書館を持ちたいといつも思ってきました。人々が本やアイデアを交換し、リラックスし、コミュニティを築くための場所です。私自身、読書家として、また幼い子どもたちのために本を探す母親として、特にパンデミックの時には、多くの小さな無料の図書館を楽しみ、そこから恩恵を受けてきました。

 2019年、私たち家族が永遠の住まいに落ち着いたとき、私はこの新しい場所に無料の図書館を作るチャンスだと興奮しました。自宅の外に、人々が本を読みながら座って休めるパークレット[公園のように転用される路上パーキングスペース]を想像したりもしました。

 引っ越してから数週間後、隣人に会いました。たぶん2回目くらいでした。芝生の上で、彼女はご主人と一緒に、小さな無料の図書館を作っていたのです。鳥かご風の、オイルステインの木製図書館で、かわいらしく、シンプルでした。私は笑顔で彼女を祝福しながらも、内心がっかりする思いでした。2つ目の図書館を並べたら意味がないのではと、とっさに思いました。

 出鼻をくじかれる失望の後、私は決意を取り戻しました。自分の図書館でなく、彼女の図書館であったとしても、それはそれでいいのだ。共有すべき本があり、それを共有できる図書館がある。なんと素晴らしい幸せだろう。数週間、私は一度に数冊の本を持ち込んで、自分でも図書館を楽しみました。しかし、私はまだ自分のものが欲しかったのです。

 夢が一つ消えていく中で、別の夢の種が蒔かれたのです。以前にも種子図書館のことを考えたことがありましたが、その考えは捨てていました。細かい専門的なことが心配で、うまくいく自信がなかったのです。しかし今なお、自分ならではの共有の仕組みが必要だと思うようになり、以前から考えていたアイデアを発芽させる条件が整ったのです。最初は心の奥底に眠っていたアイデアが、徐々に表に出てきたのです。

 それから数週間、さまざまなアイデアを試し、ついにすべてが揃ったのです。今、私は小さな無料図書館と小さな種子図書館に囲まれて住んでいて、とても幸運に恵まれています。この経験は、大小さまざまな失望やトラブルが、私たちをより強く、より健康に、より自信を持ち、よりつながり、より有能に成長させてくれる種なのかもしれない、ということを教えてくれる素晴らしいものでした。以下に私の旅を簡単にまとめました。どうぞお楽しみください。

 

種を蒔くためのリソースを探す

 種子は小さくても、私たちの健康やコミュニティ、さらには政治や社会のシステムにとって非常に重要なものです。あなたは、その重要性に驚くかもしれません。ダフネ・ミラー(Daphne Miller)著『Farmacology』で、私たちの健康にとっての土と種子の重要性について読んでみてください。マーク・シャピロ(Mark Schapiro)著『Seeds of Resistance』では、化学・製薬会社による種子の品種の激減(しかし私たちのほとんどは知らない)、市場および政治的独占について学びます。また、ポップコーンを持って座り、2016年のドキュメンタリー映画『Seed: The Untold Story』で、種子の多様性を守るためのシードキーパー(種の守り人)たちの旅をご覧ください。

 

種を発芽させる

 前述したように、以前から種子図書館を考えていたのですが、詳細な計画に不安を感じていました。果たしてうまくいくのだろうか?人々のためになるのだろうか?本の図書館のように維持できるだろうか?種子は風雨にさらされるとダメになるのだろうか?しかし、私は、人々が自分自身の食べ物について学び、育てられるようなチャレンジに勝るものはない、と考えました。

 種子図書館の構想は、食料システムの講義で経験したことから更に膨らんでいきました。パンデミックに見舞われ、バーチャルな環境になったとき、それまで必須だったコミュニティ・サービス・プロジェクトを破棄して、代えなければなりませんでした。最終的に、学生が種子から食べ物を育て、調理してレシピビデオを作り、共有するという代替プロジェクトに落ち着きました。この新しいプロジェクトには、多くの好意的な意見が寄せられました。最も多かった意見は、パンデミック以前は食べ物を育てたり調理したりすることはほとんどなかったが、この大変な時期にこうしたスキルを身につけ、食べ物を共有することで安心感を得たというものでした。

 このプロジェクトの成功に思いを馳せつつ、この小さな無料の種子図書館で、あのような共有とスキルアップを自分のコミュニティで再現できないかと考えました。。。

 

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