変化に適応する

マザーアースニューズ 自然 農

マザーからのニュース。編集長ハンクが、遺伝的に多様な動植物をその土地にあわせて育てる体験について語る。

 数年前、特に湿度の高かった春と夏に、バジルの大部分をベト病でダメにしてしまったことを書いたことがあります。私たちは多くの違うタイプのバジルをたくさんの違った種子供給業者から調達することに決めて、その年にベト病にやられずに栽培した数少ない植物の種子と混合しました。翌年、私たちは混合した種子を植え床に蒔きましたが、その植え床からベト病に抵抗力のある生き残りの種子を選ぶことにしたのです。この年は興味深い年で、ベト病の発生がほとんどなく、料理用、乾燥用、冷凍用のバジルがたくさん収穫できました。

 ジョアンナのバジルの採種方法は、単に、花が熟して乾燥し、種が鞘から散らばる前に切るというだけのものでした。彼女は完全に乾燥した茎を束ねて、大きな紙袋に入れて冬の間保管しました。その紙袋は薪ストーブからそんなに離れていないリビングルームにあったため、十分に乾燥した状態を保っていました。

 翌年の春、菜園の表面に 15cm ほど羊の敷床堆肥を敷き詰めた後、ジョアンナは乾燥した茎の束を取り、今作ったばかりの堆肥の上に据えて、種を軽く押さえて土に埋めました。この作業が効果的になるのかどうか、私たちのどちらにもわかりませんでしたが、使えるように思えました。何より子ヤギの哺乳瓶の世話やその他の畜産の仕事に追われ時間もなかったのです。そのシーズンはバジルの区画を放置していましたが、タイミングよくたくさんの雨が降りました。

 初夏には、バジルの区画は大きく成長し、多くは前年に植えたものと部分的にしか似ていませんでした。緑のスイートバジル、シャキシャキとしたタイのバジル、紫色の葉や葉脈のバジルなどがありました。この区画は遺伝的に多様で、全ての種類と想像しうる遺伝子の交配種が生育と風味の両方に表れていました。そして、どの植物もベト病やその他の病害にはかかりにくかったのです。

 いくつか先の季節に話を進めて、今年の春、深刻なベト病に見舞われました。バラ(野生のバラでさえ)と背の高いオイランソウ(学名:Phlox paniculata)は 6 月中旬までに葉をほとんどはぎとられてしまったのです!しかし、バジルは無傷でした。そしてシーズン中ずっとそうでした。私たちは今年、バジルが昆虫の捕食に非常に強いことにも気が付きました。保存しておいた種から育った植物の能力が高まるのはよくあることでしたが、害虫抵抗力がこれほど劇的に向上したのは初めてです。

 私たちのバジルの実験は、環境ストレス因子に対する迅速な適応性の変化を実証しましたが、最初の年に混合品種の区画を自由に交配させていなかったら、バジルがベト病抵抗性を獲得するのにもっと時間がかかっていたと思います。今では、ベト病抵抗性のバジルの集団ができていて、遺伝的多様性が充分なため、葉や色、風味の特徴が異なるものを、望むようにまた選ぶことができるようになりました。もしみなさんが、遺伝子的に多様な植物や動物の集団を、あなたの栽培条件にうまく適応させるために、創造的な方法で選抜を行ったことがあるならば、ぜひその話を聞きたいです。HWill@MotherEarthNews.com までメールを送ってください。もし十分な回答が得られれば、今後の号やウェブサイトに掲載できるかもしれません。

 それでは、12月にお会いしましょう。

—  ハンク

翻訳:向井 真珠 

 

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