コーン栽培変種のハンクの考え

私はトウモロコシ農家の一族の出身です。現代の商業的意味合いのトウモロコシではなく、もっと規模の小さい、地域に適応した、文化的な意味合いでのトウモロコシです。私は数 10 年、曾祖父や祖父や父が研究のためと売り物の品種開発をするために育てた、自然受粉のトウモロコシを育てていました。このトウモロコシの祖先も自分のトウモロコシ栽培区画で育てていました。品種改良してこの祖先をつくりだした先住民の人たちが、寛大にも私の一族にゆずってくれたものです。私がトウモロコシを育てていたのは、それが私を養い、私の下地をつくり、私と先祖をつなげてくれていたからです。

 

 2015 年、私はトウモロコシを育てるのをやめました。大切な人が亡くなったからです。その女性は家で亡くなりました。私と彼女の家族が傍らにいました。その年は自分のトウモロコシの区画から足が遠のき、続く 4 年間、私はトウモロコシを育てませんでした。私が保存していたトウモロコシの種は駄目になりました。

 自分の机には、2015 年に友人が送ってくれたトウモロコシの穂の一部が置いてあります。これは特別な穂で、自分が持つべきかさえわからないようなものです。この穂のここまでの道のりには、ニューメキシコ州北部の先住民文化が深くしみこんでいます。これは白い粉がとれる穂で、粒の多くがついていません。5 粒のラベンダー色の粒と藤紫色の粒が 1 つ、ついてもいます。手に持たないといけないような気がほとんど毎日のようにして、手に持つとこの粒を植えてみたいという気になります。それでマザーアースニューズのマークがついたコップに戻すのです。普段はここがこの穂の指定席です。

 昨年の 9 月の終わり、ジョアンナがじゃがいもの残りを収穫していた時、その草だらけになった区画の中に成長したトウモロコシの茎 4 本を見つけました。そこに固くなった美しい 4 本の粒がついていました。心のもやもやをはらす行動で、その年の春、ゾウムシに食べられたトウモロコシの粒をこのじゃがいもの区画に無造作に播いていたのです。この固くなった穂は全部、「カールズ・グラスジェム (Carl’s Glass Gems) [アメリカの先住民カール・バーンズ氏が品種改良したトウモロコシ。https://bit.ly/31Lw3JK]」でした。友人が送ってくれたもので、友人はこのトウモロコシの粒をカール・バーンズ氏から苦労して手に入れました。呆然としました。押し込めていた感情がこみ上げてきました。その時、今年自分がこの「カールズ・グラスジェム」と先ほどの特別なニューメキシコ州の粒を植えることになるだろうと確かに感じました。

 かつて育てたようなやり方でトウモロコシを育てるつもりはありません。今愛する人たちや、かつて愛した人たちとのつながりを感じるための「一族」のトウモロコシは、私にはもう必要ありません。でも、この 2 つのトウモロコシが自分をどこに連れていってくれるのか興味があります。このトウモロコシの旅をはじめるのを今か今かと待っているところです。

 一家に伝わる品種を庭で育てたり畑で栽培したりすることで自分のルーツにつながっている、という方がいらしたら、ぜひそのお話を聞かせてくれませんか。他にも育てるという得難い経験が自分の人生に深く影響をもたらしているという方がいらしたら、ぜひそのお話しもお聞きしたいです。紙面を通して他の人たちと共有したいという知恵をお持ちの方は、ぜひ HWill@MotherEarthNews.com までお寄せください。

 4 月にまたお目にかかりましょう。

—  ハンク

 

翻訳:浅野 綾子

 

たのしい暮らしをつくるマザーアースニューズ

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