あなたも計画できる パーマカルチャー菜園

マザーアースニューズ 自然 自給 DIY 農

移植ごてを手にする前に、自分の資源、ニーズ、要望な どをマッピングする時間を取り、パーマカルチャー菜園 の成功に役立てよう。

文:ロブ・エイビス(Rob Avis)、ミッシェル・エイビス(Michelle Avis)、 タコタ・コーエン(Takota Coen)

翻訳:沓名 輝政

 

  パーマカルチャーを実践するのは大変なことですが、それは情報やツール、テクニック、スキル、処方箋などが不足 しているからではありません。むしろ、パーマカルチャーの敷地を設計し、開発し、管理するために明確に定めたプロセスがないことが、多くの人の妨げになっているのです。ありがたいことに、自分が持っているもの、欲しいも の、正しいものをまとめたベン図[円などを重ねて集合間の関係を示す図]を作れば、パーマカルチャーの敷地を作る際に検 討すべき選択肢の数を大幅に減らすことができます。  有難いことに、パーマカルチャーには、この消去法を助けてくれるツールやアイデアがほとんど含まれているのです。これらのツールやアイデアを、これまでとは違った方法で整理し、適用するだけです。特に、パーマカルチャー・ デザインの真髄であるニーズ(必要要素)とイールド(収穫物)の分析は、デザインの中の要素を選び、それが何を必 要とし、何を生み出すかをリストアップするものですが、システムの中心的な要素である自分自身については、ほと んど完了していません。この方法を自分自身に適用すると、ベン図の最初の 2 つのセット、つまり「自分が持ってい るもの」と「自分が欲しいもの」を解決するのに役立ちます。最後の「何が正しいか」については、パーマカルチャー の 3 つの倫理観である「地球への配慮」「人々への配慮」「未来への配慮」が参考になります。これらのパーマカル チャーの既存の概念を拡張することで、自分のベン図を完成させ、何をすべきかわからないという苦悩を克服できる でしょう。

 

自分には何があるのか?

 土地の設計・開発はもちろんのこと、小さなプロジェクトであっても、何を すべきかを決める前に、自分が持っている資源を総合的に把握しておくことが 大切です。

 まず思い浮かぶのは、資金と物質の 2 つです。しかし、銀行口座にあるお金 やガレージにある工具や消耗品以外にも、実は多くの資源があります。どうす ればいいのかを知る前に、自分が持っている、あるいは利用できる資源の中で、自分の助けになるもの、あるいは妨げになるものを、全体的に棚卸しする必要があります。

 パーマカルチャーの専門家であるイーサン・ローランド(Ethan Roland)とグレゴリー・ランドゥア(Gregory Landua)が開発した「8 つの資本(Eight Forms of Capital)」は、資源の 定義を拡大するための全体的なフレームワークです。このフ レームワークでは、一般的な金融資源・物的資源に加えて、生 命・社会・精神的・経験・知的・文化資源が含まれています。 次ページの「個人資源」の表では、これらの資源について説明し、それぞれについて、共通の通貨、幸福度を高める という究極の目標に役立つかどうか、そして既存の目録を示しています。

 個人資源の棚卸しとは、この 8 つのカテゴリーの中で、自分の目標を達成するために利用したり、活用したりでき るものをすべてリストアップし、さらにその中にあるマイナスの資源や負債をリストアップすることです。例えば、銀 行にお金を借りている(金融資源の負債)、友人に借りがある(社会資源の負債)などです。  私がこのワークを初めて行ったとき、3 つの大きな気づきがあったことを覚えています。最初の気づきは、自分がい かに「豊か」であるかということでした。以前は、所得税申告書だけで誰かが私の豊かさを測ったとしたら、貧困ラ インのすぐ上で暮らしているように見えたことでしょう。今、私が所有している、あるいは利用できる他の貴重な資 源を総合的に伝える枠組みがあれば、その人は私の豊かさに気づくことでしょう。そして何よりも、この富は非課税 で、不換紙幣[金貨との交換を保証しない紙幣]システムの変動の影響を受けません。

 私の 2 つ目の気づきは、自分の望む目的地が明確になったことと、そこに到達するための手段として新たに発見し た資源があることでした。詰め込まれたガレージと充実した銀行口座を持ったまま死ぬことには魅力を感じませんで したが、生命・社会・精神的・経験・知的・文化資源に投資することで、強い動機付けが得られるようになりました。  3 つ目の気づきは、自分が何をすべきかを考えることが、複雑ではないように思えてきたことです。水が大地を低い 場所に向かって確実に流れていくのと同じように、私の決断は、幸福の定義を拡大した新しい焦点に直感的に引き寄 せられるようでした。  個人資源目録を作成することで、ベン図に「何を持っているか」と「何を求めているか」の円を描き、自分の人生 にある無限の選択肢をすべて制約することができました。そうすることで、何をすべきか悩んでいたことが解消され ていきました。  自分の資源リストを作成する際には、閲覧や更新が容易なフォーマットを選ぶとよいでしょう。デジタルのエクセ ル表や、8 種類の個人資源にタブを付けた 3 リングバインダーなどが良いでしょう。また、白紙の状態から作成するの ではなく、「既存の目録」の欄を見て、既存のリストや明細書のコピーを適切なタブの下にファイルしておけばよいの です。例えば、最新の財務諸表や銀行の概要を「財務資源」のタブに、大切な人や社会的なつながりのリストを「社 会資源」のタブに保存するなどです。既存のリストは不完全だと思えることでしょうから、ブレインストーミングをし て、パーマカルチャープロジェクトに関連する全体像を把握することも必要でしょう。。。

 

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