自然保護区売却、話せるキノコ、水質浄化法

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ワシントン州、自然保護区の売却を決定

 ワシントン州天然資源局(DNR)は、カーボンオフセットとして販売する1万エーカーの森林を確保しています。つまり、その土地に何もしたくない人たちに売却されることになるのです。あるがままにする人たちにです。

 

 ワシントン州選出の上院議員ケヴィン・ヴァン・デ・ウェジ(Kevin Van De Wege)は、シアトル・タイムズ紙に掲載された論説[社外委員による署名入り寄稿文]で、DNRは州有林の伐採権売却で得られる資金に依存するコミュニティに対する受託者責任に反する行為を行っていると主張しています。しかし、この決定を下した公有地の長官ヒラリー・フランツ(Hilary Franz)は、このカーボンオフセットの売却が「数千万ドル」を生み出すと信じています(AP通信の報道による)。もしフランツの言うとおりなら、カーボンオフセット市場によって、一部の森林は伐採よりも未伐採の方が価値が高くなり始めているようです。

 しかし、炭素排出量という点では、オフセットが有効であるかどうかはわかりません。ヴァン・デ・ウェジは、オフセットに対する最も一般的な批判と同じように、オフセットは「産業汚染者が汚染を続けることを許す」ものだと主張しています。

 

話せるキノコ?(1993年のアメリカ映画ベイビー・トークの犬のように)

 動物の言葉を研究する偉大な歴史があります。1970年代には、カール・フォン・フリッシュ(Karl von Frisch)が、ミツバチのお尻のリズムを研究し、その「ワグルダンス」から正確な言語を解読してノーベル賞を受賞しました。今回、アンドリュー・アダマツキー(Andrew Adamatzky)は、キノコにも言語があることを発見したと、Royal Society Open Science 誌[英国王立協会のオープンアクセス誌]に発表しました。

 アダマツキーは、棒やバケツなど、ある種の菌類が繁殖している物体に電極を差し込んで実験を行いました。何時間もかけて、言葉のような電気信号のスパイクを測定したのです。

 この研究は、森林における菌類の役割についての理解を深めるものです。単に分解過程だけでなく、昆虫や病気などの脅威に樹木が適応するためにコミュニケーションを促進する共生関係での役割も解明しています。もし、キノコが耳を傾け対応していて、森で木が倒れたら、それを聞いている人がいるかもしれないのです。

 

水質浄化法の脆弱性を指摘する新報告書

 水質浄化法の施行50周年を迎え、環境保護庁の元弁護士たちが立ち上げた非営利団体が、アメリカの水路汚染に警鐘を鳴らしています。Environmental Integrity Project が発表した厳しい報告書によると、テストされた全米の川や小川のうち、約半数が「不衛生」、つまりその川で泳いだり魚を食べたりしたら病気になる可能性があることがわかりました。

 水質浄化法では、各州は6年から10年ごとに水路について報告することが義務づけられていますが、資金不足と州ごとの基準の不統一により、すべての水路が検査されているわけではありません。最新の報告書では、国内の河川の27%しか検査されていないのです。

 この報告書では、水質浄化法の重要な弱点として、流出水、つまり「非点源」汚染に対する強制力の欠如が指摘されています。つまり、この法律は、工場が汚染物質を排出することに関しては有効ですが、ミシシッピ川河口のデッドゾーンの原因となる肥料の流出や、ワシントン州のサケの遡上を停止させている道路の流出などについては、何も対処できないのです。

 水質浄化法の報告書全文は、www.EnvironmentalIntegrity.org で「The Clean Water Act at 50」を検索してください。 

 

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