小さなビジネスをはじめる  6 つのステップ 

マザーアースニューズ 農 ビジネス 社会

副業を安定した収入源にして、本格的に仕事をすることで得られる利益をつかみとろう。

 文: モーガン・ハウク (Morgan Houk)

翻訳:浅野 綾子

 自営農や休日にパン作りをしていて、私よりも熱心に活動していた人たちが起業家になり、初めからビジネスを成功させた人たちを知っています。しかし迷うことなくこうしてプロになった人たちに、いつアマチュアからプロに転換したのかを聞いてもわかりやすい答えが返ってくることはほとんどありません。

 そうであればアマチュアからプロにいつ飛び込んだのか、どのようにしたらわかるのでしょうか。新しいビジネスを成功させるには、どのような経営管理上のタスクを済ませる必要があるのでしょうか。あなたのビジネスが非公式経済から公式経済へと活動の場を移す準備ができたことを示す、目を光らせておくべきサインがあります。公式経済の場へ飛び込む準備ができたと心に決めたなら、簡単な 2 つ 3 つの手順をすませて目指すべき方向にむけてスタートできます。

ビジネスが公式経済にとびこむ準備ができたサイン

 内輪で楽しんでいた趣味を合法的な小規模ビジネスに転換すべき理由はたくさんあります。以下にご紹介するのはわずかばかりの例です。食品と農業ビジネスの経理担当業 (bookkeeper) として、私が自分の仕事の道筋で経験してきたものが元になっています(私の実経験のいくつかは非公式な食品購入経済ですが、これは法に反します。ほとんどすべての食品、特にパイやピクルスの瓶詰めのような加工品は、州や連邦当局の規制を受けます。でも実際には仲間内での食品購入は頻繁に行われています)。

 <卵起業家> あなたの家の私道をつきあたった所にある卵の冷蔵保存庫。だれもがお気に入りの場所です。あなたのニワトリを皆知っていますし、あなたとおしゃべりするのも楽しみにしています。でもこうした新鮮卵の売り買いは法律違反。裏庭のニワトリの群れが産む卵が、近所の人たちの好意以上のお金になるようになったら、おそらくそれが、花開きはじめたあなたのビジネスを本格的にするタイミングです。

 <サワードウパン販売> あなたはすばらしく美味しいサワードウパンを、1 本あたり 2、3 ドルで親しい友人たちに販売しています。あなたは大のパン作り愛好家。あなたの友人たちもあなたの手作りパンを喜んで食べ、当然のように材料費分の支払いもしてくれます。あなたはソーシャルメディアに焼き立てパンの販売の投稿をしはじめます。この時点から、あなたの売り先は親しい間柄にない人たちになります。この段階になると、あなたやあなたの未来の顧客になる人たちに関わる、まったく新たなレベルのリスクを負うことになります。副業を法律の手続きにのせる時期です。

 <ファーマーズマーケットへの出店>  あなたはイチゴを近隣のあちらこちらで売って、ちょっとしたお金を稼いでいます。一方で菜園の採れたて野菜も同じように売りはじめたいと考えています。この野菜の販売はあなたの副業の幅を広げることになり、正式な仕事として考えはじめる時期に間違いありません(この例のモデルになっている女性は、私たちの地域のファーマーズマーケットへの出店を私に相談しに来た女性です。ファーマーズマーケットへの出店は、助言者になってくれるプロの農家と出会い、本格的に仕事をはじめる良い方法です)。

正式に仕事をはじめるステップ

 1. 公認会計士に依頼:公認会計士の価値を低くみてはいけません。私が自信を持って言えるのは、良い公認会計士は、専門知識に支払う以上の価値をあなたのビジネスにもたらしてくれます。公認会計士はビジネスの成功には欠かせません。他のアドバイザーや専門家と同じことです。たとえばトラクター整備士がいなかったら、私は決して農家にはならなかったと思います。 

 税の支払い期限が来る春になる前に、相当な余裕をもって公認会計士との関係を築きはじめましょう。自分のビジネスの財務状況を的確に把握して、税の支払い義務も理解しているのであれば、営業年度末から 2、3 ヶ月以上前に公認会計士と会う必要はないかもしれません。しかし、あなたが新しくビジネスをはじめた他のほとんどの経営者と同じような状況であれば多くの助言が必要になるので、ビジネスの登記をする前からでも関係を築くことを考えるべきです。

 税務申告の手助け以外にも、公認会計士にはさまざまな事業体についての課税知識もあり、ほとんどすべての中小企業ローンや助成金の申請に必要な財務諸表の作成もできます。あなたが従業員を雇用する予定であれば、多くの公認会計士は給料一覧表つき従業員名簿まで作成してくれるでしょう。

 地域の経営者の人たちに、快く仕事を依頼できているおすすめの公認会計士がいるか聞いてみましょう。地域の商工会議所や、米国中小企業庁 (SBA) の事務所に問い合わせることもできます。両方ともすばらしい情報源です。

 見込みのある公認会計士に会う際は、自分の新しいビジネスについての質問に答えられるよう準備をしておくとともに、公認会計士に聞きたい質問も用意しておきましょう。たとえば、どのくらいの頻度で面談してくれるか、料金はどれくらいか、会計ソフトのセットアップに協力してくれるかどうかなどです。

 2. 商業登記:各州で商業登記の手順は若干異なります。ほとんどの州でオンラインでの書類提出や支払い用のフォームを用意しています。米国中小企業庁の事務所や商工会議所の担当者が、あなたの州での登記に必要な手順を終えられるように支援してくれます。

 登記をする際には、事業体を選ぶ必要があります。個人事業主、有限責任会社、株式会社など、多くの事業体の種類からひとつ選択して登記できます。これらの選択肢はすべて、経営者としてどのように報酬を得られるのか、ビジネス上の税と個人の税をどのように申告するのか、ビジネスの判断に誰が責任を負うのかなど、あなたのビジネスに異なる影響があります。あなたの公認会計士は事業体えらびのプロセスにおいて頼もしい相談役になります。ファーム・コモンズ (Farm Commons)  は、商業登記の際に頼りになるもう 1 つの相談場所です。ファーム・コモンズは非営利団体で、法律上のトピックを扱う(特に農家や食品ビジネス向けに設定された)無料のオンラインセミナーや個別指導など、オンラインサービスを提供しています。そのウェブサイト (www.FarmCommons.com) では、あなたの小規模ビジネスに最適な事業体えらびに役立つ、便利なフローチャートが見られます。

 

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