サステナブルな育苗:マザーが実証

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採種とソイルブロックの使用でコストとプラスチック使用量の削減をしよう。

文:クリスティーン・ストーナー(Christine Stoner) 

翻訳校正:沓名 輝政

 

 趣味の園芸を深めていくうちに、晩冬に育苗して栽培時期が来たらスタートダッシュをきるという実験をしています。この方法はお金の節約にもなりますし、特に凍てつくような寒さで冬眠しているときに、室内の育成ライトの下で苗が出てくるのを見るのは非常に満足のいくものです。一旦栽培の仕組みを構築すれば、種や土を購入するコストと、温室栽培の苗を購入して移植するコストを比較すると、大きな節約になります。さらに良いことに、収穫時に採種することを実践すれば、無限のサイクルにできるのです。

 マザーアースニューズストアの数ある書籍で、種子の保存について説明しています。「Gardening」タブをクリックし「Seeds & Seed Starting」を選択するだけです。私がお勧めするのは、ジム・ウラガー(Jim Ulager)著「Beginning Seed Saving for the Home Gardener(家庭菜園のための採種)」です。著者は、植生と有性生殖の原理、簡単な同系交配植物、難しい植物、なぜ採種することが家庭菜園に適しているのかなど、さまざまな種子の保存に関する話題を取り上げています。このトピックを読んで、商業的な種子産業から自分を解放することをお勧めします。あっという間に、自分の好きなものを集めた、充実した種子銀行(シードバンク)ができあがります。

 私はこれまで、育苗用のプラスチックのポット(リサイクル不可のものが多い)に興味が湧いたことがありません。このペラペラの小さな容器は、1シーズンしか使えないし、保管場所にも困ります。私は過去に、新聞紙で折り紙の容器を作り、プラスチック製のセルトレイを廃止したことがあります。しかし、これは手間がかかる上に、苗が根詰まりを起こしてしまいました。どんな容器でも育苗に使うと、根が障壁で巻いてしまうのです。根詰まりした苗は、屋外に移植したときに馴染むのに時間がかかり、硬化させるときにショックを受けることが多いのです。

 容器を使わないことで、根詰まりの苗を防げます。ソイルブロックは、古くからさまざまな文化圏で行われてきた方法です。移植の際に苗の根をほぐす必要がありません。移植は苗の根を傷めることが多く、苗の生育に影響を与えるのです。ソイルブロックでは、ブロック表面で根の「大気との境目の剪定」がされ、コンテナ苗よりも3日ほど早く新しい環境へ伸びていきます。

 ソイルブロッカーを使ってみて、私はもう、割れやすくリサイクル不可能な容器を重ねて山積みしていくことには戻れないと思います。このエコで丈夫な道具は、ガーデニング初心者でも簡単に使えるし、成形した土のブロックを1つずつ作れるので、ゴミも少なく、菜園をスタートダッシュできます。さらに、発芽率が高いので、苗がより元気に育ちます。

 ソイルブロッカーは、育苗園や家庭での使用に最適です。ソイルブロッカーのセットには、自家製のソイルブロックを作るために必要なものがすべて含まれています。「ミニ4ソイルブロッカー(Mini 4 Soil Blocker)」「マイクロ20ソイルブロッカー(Micro 20 Soil Blocker)」「ミニ4ソイルブロッカー用キュービックインサート(Cubic Inserts)」が届きます。これらはすべて www.MotherEarthNews.com/Store のサイトで個別に購入することも可能です。

 マイクロ20ソイルブロッカーは、3/4インチ(19mm)の立方体で栄養価の高く湿り気のある土壌を作ることができます。質量が少ないので、発芽時のスペースが少なくて済み、限られた育苗マットのスペースを有効活用できます。このサイズは、トマト、セロリ、ナス、トウガラシ、トマティーヨ、グラウンドチェリーなど、高温で育つ作物に最適です。オレガノ、タイム、パセリ、バジル、ラベンダー、ヒソップなど、小さくて発芽が遅い種も、マイクロキューブなら短時間で発芽し、上手に育てられます。3/4インチブロックから植物が顔を出したら、ミニ4で作った2インチ(50mm)ブロックに移植してください。キュービックインサートで、3/4インチブロックが2インチブロックに入れ子になるのに最適なくぼみができます。2インチの土は、百日草やレタスなど、発芽に時間がかからない大きな種を植えるのに適しています。

 ソイルブロッカーの他に、専用の育苗土を入れた桶、ブロックを置くための底板、地域に合ったオーガニックの種、そして使用のたびに道具を洗うための水入れが必要です。ソイルブロックの形状を維持するために、ピートモスまたはココナッツコイアを半分ずつ混ぜたものが最適です。ピートモスやココナッツコイアは繊維状なので、材料と結合し、水分を保持するのに役立ちます。マザーアースニューズストアの「Soil Blockers」のページには、実演ビデオと、育苗を成功させるためのソイルブロックのレシピが掲載されています。

 大きめの桶に、8カップのふるいにかけたココナッツコイアまたはピートモス、2カップのふるいにかけたコンポスト、1/4カップの細かいバーミキュライト、1/8カップの生砂[石英を主成分とする、川砂および海岸砂の総称]を入れて混ぜ合わせます。ソイルブロックの培地には、庭土、粗砂、パーライト、石灰、血粉、コロイド状のリン酸塩、堆肥などのバリエーションがあります。ソイルブロックのレシピを調べ、すでに手元にあるものをもとに、自分に合ったものを選びましょう。乾燥した混合物を組み合わせたら、もう一度ふるいにかけて、ブロックの形成を妨げる大きな塊やごみを取り除くとよいでしょう。あなたの現在の種子に十分な量だけを分離し、3対1の比で、乾燥培養土とぬるま湯を混ぜ合わせます。過度の水気や乾燥は禁物ですが、セルトレイに使用する土よりも湿り気があり、ファッジ[やわらかいキャラメル]や練り混ぜ済みのコンクリートのような固さであるべきです。経験を積めば、優れた土壌バランスを作る方法に慣れるでしょう。湿らせすぎの場合に備えて、乾いたソイルブロックの育苗培土を近くに置いておくとよいでしょう。

 ソイルブロックを作るには、湿らせた育苗培土に道具を押し付け、必要に応じてねじりながら形を整えます。出来上がった立方体は、密度が高く、気泡のないものでなければならないので、必要に応じて手で詰めます。詰め込みすぎると、ブロックが外れにくくなることがあります。詰め終わったら、ソイルブロッカーの縁を削って、滑らかで平らな底面を作ります。バネ式の取っ手をトレイの上に押し付けると、ブロックが外れます。もし、崩れるようであれば、育苗培土の粘度を調整するか、よりしっかりと詰め、納得のいく結果が得られるまでやり直します。このとき、中身が詰まっていてブロックの角が尖っているものが最適です。。。

 

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