家畜の貢献

家畜は、農家の手を煩わせず、肥沃で機能的な農場を生み出して維持するという重要な役目を果たす。

 

文:ジョエル・サラティン

翻訳:三栗 祐己

 

長年の生態学の研究の中で、科学者は、動物間の複雑な関係を掘り下げて、動物が成し遂げられる役立つ仕事を次々に発見しています。バイソンの草刈りから、ビーバーの池づくりまで、動物の貢献は水を守り、土を作ってきました。我々の近所を通る数百万のバイソンの群れは、近代文明とは相容れません。州間高速道路に沿った巨大なビーバーの池による被害は深刻です。幸運にも、家畜は人間と一緒に文明を築きながら、これらの歴史的役割を担ってきました。それでは、ファームにおける動物の役割や、家畜の生産性について見ていきましょう。

 

まずはニワトリから見ていきましょう。

 究極の消毒剤の役割を果たす、気高いニワトリは、ファームと病原体の間に立ちます。雌鶏は、ダニ、ウジ虫、ナメクジ、昆虫などを食べます。ポリフェース・ファーム(Polyface Farm)では、エッグモバイル(Eggmobiles(移動可能な雌鶏の家))は毎朝、新しく食べられた牧草地の上に、800羽分の肥料を施します。

 ニワトリは、牛の糞につく虫を食べるだけではなく、その後もっと勢力を広げていきます。すなわち、牧草地から新しく出てきたバッタ、コオロギなど、その他の大量の昆虫も食べてしまいます。牛が昆虫の隠れ家を刈り取った時、ニワトリがその虫を収穫し、それを新鮮な卵に変えるのです。この仕事はヤギ小屋や、牛の搾乳場所の周りでも行われます。ニワトリほどに、農場をきれいにして殺菌できるような活動的で忠実な動物はいません。

 パトロールするニワトリが何羽かいる農家は、ニワトリのいない農家よりもハエがはるかに少ないです。ニワトリにとって、ウジはアイスクリームよりもごちそうです。悪臭を放つ、汚らしいキッチン生ごみを捨てると、ニワトリは、子供がマカロニチーズを狙うがごとく、必死にその生ごみに飛びつきます。ニワトリなしに、機能的なファームを作るなんて、想像できません。もし、ニワトリのやる仕事を誰かにお金を出してお願いしようとしたら、ひと月で破産してしまうでしょう。彼らは一日中働いてくれます、文句も言わず、そして日没とともに寝るのです。―愛さずにはいられませんよね。

 もちろん、ほかの鳥も同様に達人です。ホロホロチョウは、昆虫を食べるだけではありません。彼らは、独特の耳障りな笑い声で、侵入者に忠告します。多くの人は、農家のセキュリティとして犬よりもホロホロチョウの方が優れているとい考えています。忘れてはならないのが、アヒルが畑で、すばらしい虫取りをすることです。ニワトリとは違い、アヒルは野菜だけを残す傾向にあります。さらに、彼らはマルチをひっかきません。彼らはただ散策するだけで満足します。スカッシュ・ビートル(squash beetles)、コロラドポテト・ビートル(Colorado potato beetles)などの害虫を探しながら、決まった場所をあちこちヨタヨタと歩きまわります。

 

次に豚を見てみましょう

 2頭の豚は、2、30羽のニワトリと同じ量を食べます。乳製品廃棄物や、果樹園のごみなど、庭のごみがたくさんあるなら、2棟の豚がそこをきちんときれいに保ちながら、同時にベーコンやラードを育ててくれます。これ以上言うことがあるでしょうか?

 現代の機械化と安い燃料による安い飼料を導入する以前は、豚を育てる効率的な方法は、スキムミルクを与えることでした。アメリカ人が無脂肪ダイエットをしなくなる以前は、クリームは栄養価の高い食品の基本でした。乳牛は、セルロースを牛乳に変える、すなわち、クリームとスキムミルクを分離することができます。当時は、スキムミルクは人間が食べるのに十分な栄養価があるとは考えられていませんでした。そのスキムミルクを豚に与え、ベーコン、ハム、ソーセージ、ラードを得ました。錬金術のお話です。

 もちろん、ほとんどどんなものでも食べることに加え、それぞれの豚が、畑を鼻で耕します。持ち運び可能な檻(私たちはこれを、「テンダーロイン・タクシー」と呼んでいます)にいる2頭の豚は、草地を畑に変えてくれます。以前、2頭の豚を入れた、1.8m × 2.4mの豚小屋を冬のニワトリの一画に置いておきました。豚小屋の4つの角はすべて蝶番で可動式になっていて、一人で引きずって、平行四辺形のような形となって移動できます。最初は片側、次に反対側、そして最初の片側へ戻ります。大体3回で、小屋は完全に移動します。豚はニワトリよりも深く掘り、ニワトリの区画を掘って地表に覆われたままとせず、新鮮に保ちます。ときどき、豚はニワトリのためにミミズをごちそうしてあげたりもするのです。

 牛の足下の区画に空気を入れるためにも、私たちは豚を使っています。私たちはこれを、「ピゲレータ(pigaerators)」と呼んでいます。豚なしで、これを実現するには、膨大な石油、機械、操作時間が必要で、軽視できません。豚は、よろこんでこれをやります。機械を操作したり、修理したり、オイル交換したりする必要がありません。豚は、時を経て価値の下がっていく機械とは違い、すべての仕事をしてくれる間、ずっと価値があります。キイチゴの土地の周りに電気柵を作る場合、そのとげのある土地で豚に餌をあげれば、扱いにくいイバラを一掃して、土地をすばらしい牧草地にしてくれます。人が機械でこれをやろうとすると、粗雑で非効率かと思われます。テクノロジーは、豚に太刀打ちできないのです。

 

ヒツジやヤギはどうでしょう。

 私たちは、ヒツジやヤギを、生きた草刈り機として、農場や周辺の草刈りに使います。電気柵とともに、思いつく限りの配置にして、彼らを色々なところへ移動させることができます。彼らは届くところは何でも食べ、すばらしく栄養価の高い糞を残します。それは、ミミズにとって最高のごちそうです。ヤギは、アザミのとげをすべて剥ぎ取ります。彼らは喜んで野ばらを進み、それらをすっかり枯らしてしまいます。

 最近では、火災の発生しやすい場所では、火事の危険がある、回転する刃に石がぶつかって火花を発生させるエンジン草刈り機を使う代わりに、草刈りのためにヒツジやヤギにお金を出す経営者もいます。ヒツジやヤギによる火災防止は乾燥した都会のエリアで人気が出ていて、現代の農家にとって全く新しい起業のチャンスになっています。

 このように家畜が雑草や種、茂みを楽しむそのやり方は、奇跡的に見えます。家畜の熱狂的で小さな口は、ごちそうを小さく一口包み込み、上品なのに貪欲に食べながら、絡まった植物を減らしてスペースを作ります。私はこの行動に見とれてしまいます。観察する時間がない場合は、この記事を書いたりマザーアースニュースのようないい雑誌を読んだりしている間に、こういう仕事が行われていると分かっています。

 牛は最も気難しいので、牛を最後までとっておきました。牛は、ニワトリのように引っかきませんし、豚のように穴を掘りませんが、バイオマスの山をおいしい栄養に変えてくれます。肉と牛乳に、です。牛が摂取したものの80パーセントを排泄することが、牛のメリットの秘密なのです。牛の本能に見合う放牧と捕食のダンスステップで管理すれば、牛ほど排泄の多い動物はいません。ここポリフェイス(Polyface)では、このような古代の放牧のハイテクな適応のことを、草食さんのお日様変換木質化炭素の隔離と土壌の肥沃化と呼んでいます。クスッと笑ってしまう人もいそうですが、その現象は実際には、深遠なる生態学のひな型であり、長年試され淘汰されていません。牛は、歴史的な生態学の競争を勝ち抜いてきた競争馬のようなものです。。。(つづきは定期購読にてどうぞ 

 

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The Benefits of Livestock Productivity

By Joel Salatin|  June/July 2018