再生の菜園

店で買った農産物や野菜くずを再生し、何度も収穫できる。

写真・文:ウィリアム・ルーベル (William Rubel)

翻訳:大本 清子

 

台所から出た野菜くずを再生するというと、単なる話題作りかと思われるかもしれませんが、台所を種と野菜のカタログだと思って見れば見るほど、菜園は種類を増していくことが分かりました。

 例えば、私の菜園の多くの野菜の収穫期は、今までのやり方で(種袋の種や育苗ポットの苗で)栽培していた時と比べて長くなりました。私の菜園は、ほとんど何もないところから何かを生み出すことを基本にしている「再生の菜園」だと思います。

 赤ピーマン、トマト、乾燥唐辛子の種と同様、メロンの身からすくった種は発芽します。バジル、ローズマリー、セージや、他のハーブは水の中で簡単に根を出し、新しい葉が生え、それを鉢や菜園に移植できるでしょう。芽が生えてしまったジャガイモは捨てるよりも植えれば、数カ月後に 6 12 個の新ジャガイモになります。

 あなたが作る豆のスープから一握りの豆を使えば、一畝の豆を栽培できるでしょう。セロリの根元からはセロリの葉が生えますし、ラディッキオの根元からはラディッキオの葉が生えます。私の再生の菜園からもたらされる、毎日の料理で一番使っているのが、スカリオン[Scallion: ワケギに似たネギ属]です。これが好きな私は栽培期間中、その根本から再生させています。ですからスクランブルエッグに好んで入れている大さじ 2 杯のためにスカリオン 1 束を買う必要はないのです。

 

切れ端を手に入れる

 この再生の菜園の基本的な考えは、普段、私たちが捨ててしまう一部を新しい野菜の始まりに使うということです。もしビーツなどの根菜類のお値打ち品を見つけて、その葉も使っているなら、植えるために多めに買ってください。または、スパイスラックにあるディルシードをひとつまみ植えてください。とても安価なので、タダ同然です。

 少なくともある面では、菜園というのは、あなたが店やファーマーズマーケットや自宅の台所でひらめいたことが動機となる場であり、そのうち、あなたの実際の料理の興味に沿うようになるでしょう。それは今まで通りのやり方で作物を植えていては起きないことかもしれません。

 あなたがスカリオンを料理に使う人で、冷蔵庫の中にあるなら、根を切って土に植えてください。他の手としては 1 束買ってきて植えてください。食料戸棚をよく見て、ゴミ箱行きのくたびれたジャガイモやニンニクを植えてください。戸棚に乾燥豆があるなら、豆を一握り持ち出して植えてください。全く損はしません。

 次回セロリを買う時は、根本から 2.5 5 cm のところで切って、根本の方を菜園に植えてください。なにか魔法がかかったようなことが起きるでしょう。ビーツの葉が好きで、今、台所にビーツがあるなら、葉を全て剥がしてしまい、そのビーツを菜園に植えてください。ビーツの葉はまたすぐ生えてくるので、サラダ用の小さな葉っぱを収穫できます。

 確かに私はまだ野菜を育てるために種を買っていますが、実際に収穫した野菜の一部は、食べるために買った野菜が元になっています。スカリオン、バジル、トマト、カボチャ、メロン、豆、胡椒、唐辛子、ハーブ、ポップ種のトウモロコシ、ニンニク、生姜、ビーツの葉、セロリ、セルリアック、西洋ネギ、数種のチコリ、ディル、セイボリーなどがそうです。小さく始めて、何が起こるか見てみましょう。

 

根菜類

 生姜(学名: Zingiber officinale)。地下茎は鉢植え植物として、室内で植えて収穫できます。芽が出てるか、明らかにぷっくりとした節のある生姜を使います。完全に乾燥してしまった生姜は芽がでません。窓辺の植木鉢、または温室、可能であれば屋外で、浅根性の生姜を土の中に埋めます。生姜は暖かくて、光の当たる、湿った所を好みます。成長は早く、数ヶ月で生姜を少し収穫できるようになります。一度できてしまえば、そのまま自給できるでしょう。

 キクイモ(学名: Helianthus tuberosus)。この、あまり利用されていない野菜もまた、驚くほど収穫できる被子植物であり、簡単に自生します。土の下で、一塊あたり 1.5 kg から 3 kg 相当の塊茎が作られ、地上部では 3 m の茎の先に印象的な黄色い花を咲かせます。もしよく使う野菜なのであれば、次回夕食のために購入する際、栽培用に 34 つ多めに買いましょう。しかしながらキクイモは日持ちはしません。もし春に植えるために晩秋か冬に買うなら、容器に入れた湿った砂の中に塊茎を入れて冷蔵しましょう。

 ジャガイモ(学名: Solanum tuberosum)。どんな発芽したジャガイモもちゃんと育ち、6 12 個のジャガイモができます。私はほとんど芽が出てしぼんだ(完全に青かった!)ジャガイモで良い結果を得ました。台所の野菜くずから育てたジャガイモと、スーパーやファーマーズマーケットで手に入る多品種のジャガイモの両方を交互に配置することもできます。このようにすれば、自家栽培で長期間に渡って収穫できる、非常に豊富な品種のジャガイモを楽しむことができます。芽の出たジャガイモをそのまま菜園に植えましょう。もし時期が遅かったり、植える庭がないなら、代わりに深い鉢に植えましょう。ジャガイモのプランター栽培に慣れていなければ、ネットで栽培法の動画を見ましょう。

 

ユリ科の野菜

 ニンニク(学名: Allium sativum)。ニンニクの鱗茎が発芽したら、そのまま植えてください。そしてその葉をニンニクの香りのするチャイブとして、切っては生やして何度も収 穫してください。秋にスーパーで買ったニンニクをばらして、収穫用の種ニンニクにすることができます。花が咲いた後のニンニクを、一冬そのままにしておけば、自生するかもしれません。

 スカリオン、ネギ(学名: Allium fistulosum)。この野菜はすぐに根をはやし、早く成長し、また、頻繁に少量使われます。ですから切っては何度も葉を生やして収穫するのが理想的です。もし 1 束買ってきたものの使うのは少しなら、必要な分量を取り出し、束ねていた輪ゴムか結束ワイヤーを外し、菜園に植えてください。もし外が寒すぎるなら、台所の窓辺の植木鉢に植えてください。一度に全てを使い切るために購入した場合、根本から 5cm のところで切り、根本を植えてください。

 赤玉ねぎと玉ねぎ(学名: Allium cepa)。芽が出ていたり、多少腐っていたりする玉ねぎでも育ちます。再生の第一段階は葉に起きます。切っても切っても再生を繰り返します。第二段階は長い茎の先に咲き、蜂を惹き付ける印象的なネギ坊主(頭花)です。董立ちの後、最後の段階は、たいていは数個増える玉ねぎの玉です(分球する球根を考えてください)。葉はすぐに厚くなるため、私は代わりにスカリオンを使い、玉ねぎは花を咲かせるためにそのままにしておきます。放っておけば玉ねぎは多くの菜園で自生するでしょう。

 西洋ネギ(学名: Allium porrum)。ネギとジャガイモのスープを作るために西洋ネギを買ったら、根っこに近い部分 3 cm 弱を浅い溝に植えます。溝はネギの再生につれて埋め戻しましょう。再度使うのに十分大きくなったら収穫してください。そしてそれを繰り返します。もう一つの方法は西洋ネギをそのままにしておき、花を咲かせます。その後ネギは根本周辺で分けつして生え、最終的に繁殖力のある多年生のネギの植え床を作っていくでしょう。

 

 私は、1 区画に 24 本までネギを植えていくことをお勧めします。12 本は色々な料理に使うために繰り返し収穫し、残りの 12 本は翌年以降も収穫するためそのままにしておきます。台所から出た、くず野菜を菜園に植えることの良い点は繰り返せることです。34 本から始めて、白ネギを自給するまでの間、料理でネギを使う度に菜園に追加できます。

。。。(全文はバックナンバーを購入してお楽しみください) 

 

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The Garden of Rebirth

Story and photos by William Rubel|  April/May 2020