盗賊、リンゴ、火と驚くべき歴史の薬用酢

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ファイヤーサイダーというハーブの伝統は、深いルーツを持つ。 

文:ジュリア・スキナー(Julia Skinner)

翻訳・校正:沓名 輝政

 

 薬としての酢の歴史は、謎、陰謀、盗賊、そしてたくさんのハーブやスパイスに彩られている。酢は世界中で伝統的な医療行為に使われているが、少なくともここアメリカでは、最も有名な治療法のひとつがファイヤーサイダーだ。

 現代のハーバリストたちは、風邪やインフルエンザの季節に虫を寄せ付けない滋養強壮剤として、ファイヤーサイダーを頼りにしている。しかし、ファイヤーサイダーはヨーロッパ中世にまでさかのぼる長い歴史の一部であり、薬用酢の使用は、今日でもヨーロッパや北米の料理で見られる象徴的な風味の組み合わせに影響を与えている。

 

伝説の起源

 人々は何千年もの間、多くの大陸で薬用酢を造ってきた。古代ギリシャやローマから近世に至るまで、酢は四大栄養素のバランスを整えるために使われ、その習慣は今日私たちが口にする食品にも受け継がれている。

 酢の酸味は熱く乾燥した味に分類されるため、バランスをとるために冷たく湿った食品(豚肉や魚など)と合わせる。この温度と水分のバランス、酸味のあるものと熱いものを使うことで、レモンと魚、酢やマスタードと豚肉といった象徴的な味の組み合わせが生まれるのだ。

 これらの酢は、プレーンなものもあれば、他の食材を加えたものもある。私たちは長年にわたり、新鮮なハーブから花、スパイス、唐辛子、柑橘類まで、あらゆる種類の薬用植物を酢に注入してきた。時には風味付けのため、時には健康効果のため、そして時にはその両方のためだ。鎮痛剤、アダプトゲン、抗菌剤など、これらの原料はそれぞれ独自の治癒力をもたらし、酢の治癒力をさらに高めている。

 酢は、他の添加物の有無にかかわらず、多くの文化圏で薬用として用いられている。多くの伝統的な薬膳では、酸味はしばしば春を連想させ、酢はこの季節に登場し、冬の後に私たちの体が欲する青菜に添えられる。

 今日、(私が毎年春に作るハコベ酢のように)青菜を酢に浸すことは、青菜からミネラルを抽出する強力な方法であることがわかっている。酢は、野菜や果物のピクルスや保存に加えて、ミネラルを豊富に含む食品がなかなか手に入らないときでも、保存可能な方法でミネラルを体内に取り入れることができる。

 ファイヤーサイダーのような薬用ビネガーは、抗菌作用があり、私たちの健康を維持する微量栄養素で満たされている。ファイヤーサイダーがファイヤーサイダーである以前は、海を隔てて1000年近く前に発見された4人の盗賊の酢だった。

 

4人の盗賊

 最も有名な薬用酢のひとつが4人の盗賊の酢で、伝説によれば、この酢が最初に登場したのは中世である。フランス全土を襲ったペストの最中、盗賊の一団が病人や瀕死の人々の家を物色したが、不思議なことに自分たちは発病しなかった。その理由は?彼らはペストを寄せ付けない魔法の薬用酢を持っていたのだ。レシピは厳重に守られた秘密だったが、盗賊たちが捕まったとたん、命と引き換えにレシピを渡さなければならなくなった。

 4人の盗賊の酢は、赤または白のワインビネガー(またはリンゴ酢)に新鮮なニンニクを加え、さらに4種類のハーブ(盗賊1人につき1種類)を加えたものだったようだ。現代の調合における正確なハーブはさまざまだが(クローブやシナモンなどのスパイスが含まれることもある)、タラゴン、セージ、ローズマリー、アンゼリカ、ヨモギ、ジュニパーなどが含まれる。

中世まで遡ると言ったが、初期のレシピのひとつは、相当近代に書かれた。「アロマセラピーの父」とも呼ばれるルネ=モーリス・ガットフォッセが、1937年に出版した著書『Aromathérapie; Les Huiles essentielles hormones végétales』にそのレシピを記している。 しかし、彼のレシピには4種類以上のハーブが含まれており、18世紀にマルセイユで作られたレシピを参考にしている。そのレシピには、3パイントの白ワインビネガーに、ヨモギ、シモツケソウ属、野生のマジョラムとセージ、クローブ、カンパニュラの根、アンゼリカ(ヨーロッパトウキ)、ローズマリー、ニガハッカ、クスノキを加え、2週間蒸らしてから濾し、圧搾している。 現代的な4人の盗賊の酢とは異なり、外用したり料理に使ったりすることができる。。。

 

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