手動ウォーターポンプを使うコツ

文と写真：レン・エヴェレット（Wren Everett）

翻訳校正：沓名 輝政

 

　私たちが初めて自営農園に引っ越したとき、故障した電動ポンプを手動のポンプに取り替えました。一見、後戻りしているように見えますが、実はこれはオフグリッドの自給自足への大きな一歩であり、自分たちが必要とする水を扱うという爽快な自由と日々の責任の両方を与えてくれました。

　あの日以来、何百ガロンもの水を汲んできた私は、手動ポンプを使うことについて多くを学びました。思い切って水の独立を宣言しようと考えている人のために、手動ポンプと暮らし、手動ポンプを愛するための私の最高のヒントをいくつか紹介します。

 

そもそも手動ポンプとは何？

　簡単に言えば、手動ポンプは、地表面に井戸水を汲み上げるための人力の手段です。パイプの中のピストンを動かすモーターに頼らず、昔ながらの腕の力で水を動かします。手間がかかると思われるかもしれませんが、私は確実だと考えています。取手さえ押せば、水が出るのですから。

　私たちが使っているのは「Simple Pump（シンプルポンプ）」です。その名の通り、シンプルな装置で、既存の井戸に比較的簡単に設置でき、その後もメンテナンスが簡単です。また、呼び水が不要という現代的なメリットもあります。このポンプを設置するのに必要な作業は、すべて大人2人で行うことができます。「Bison Pump（バイソンポンプ）」も同じようによくできた製品です。

 

手動ポンプを使いこなす

　手動ポンプに切り替えたことで、水に対する考え方や扱い方が全く変わりました。その経験から苦労してまとめた、手動ポンプへの切り替えをスムーズに行う4つのコツをご紹介します。

　正しい姿勢で使用する。私の一番のアドバイスのひとつは、ポンプを操作しているときの姿勢を正しくすることです。これは、私が苦労して学んだことです。

　経験不足から最初は、腕で押したり、腰を曲げたりして水を汲み始めたのです。すると、すぐに腰痛がひどくなり、井戸に戻るたびに悪化しました。これでは長続きしません。そこで、夫のアドバイスが必要でした。主人は、私の姿勢を強化するために、腰痛を解決するためのフォームに修正するのを手伝ってくれ、さらに簡単なトレーニングも手ほどきしてくれました。

　水を正しく汲むには、体重をかけたスクワットと同じような筋肉の動きが必要です。両足の向きを揃えて肩幅に合わせ、取っ手を押しながら脚の力を使って体を上下させます。背中ではなく膝を曲げてください。背中が痛くなるようなら、それは間違ったやり方です。

　これはほぼ誰にとっても本能的な動作ではないので、習得する必要があります。ネットで検索して、自重スクワットのやり方を調べ、水を汲みながら誰かに観察してもらい、フォームを修正しましょう。

　水源を多様化する。たとえあなたが水を汲むのが得意でも、自給自足の生活を送るために必要な数十ガロンの水を汲むのは大変な作業です。ありがたいことに、井戸水を唯一の水源として使用する必要はありません。自営農地に池や湖、泉、小川があれば、それらの水源を庭や家畜のために利用し、汲み上げた水を人間のために保存するシステムを考えることができます。(www.Grit.com の「DIY Water Trailer」で、可搬式の水供給システム構築のヒントを得ましょう）。

　また、家に自然の水場がない場合でも、雨水収集システムを設置することで、自分で水を作ることができます。これは、家畜小屋の屋根に雨水樽を取り付けるといった簡単なものから、雨の多い春に何百ガロンもの水を確保できる貯水槽のような複雑なものまであります。雨水樽は、55ガロン（208L）の食品用樽や275ガロン（1041L）のIBCタンクなどが一般的です。周りに呼びかけたり、地域のクレイグスリストを閲覧したりしましょう。この種の容器は驚くほど簡単に見つかりますし、財布にも優しいのです。

　バケツは良いものを用意し、清潔に保つ。もちろん、手動ポンプは家庭の水使用管理の一部に過ぎません。水を生活空間に運ぶには、仕組みも必要です。多くの形態があるかと思いますが、最も単純なのは、慎ましく5ガロン（19L）のバケツを運ぶことです。バケツは、新しく購入することができますし、フードサービス業界で何百も見つけることができます。化学物質が液体に溶出しないように特別に作られた、食品等級のプラスチックであることを確認してください。

　「家のバケツ」は3つあれば十分です。1つは屋内で使用するために保管し、残りの2つは奥の部屋など、近くの密閉された場所に水を入れて待機させておきます。1つのバケツが空になったら、井戸に戻らなくても、満タンになったバケツを簡単に手にすることができます。時間があるときに、またバケツに水を入れるようにしましょう。料理中にバケツ3つが空で、コンロで何かがジュージューと音を立てていたら心地よくないです。

　バケツのお手入れは簡単です。水でこすり、漂白剤で洗い、日光で乾燥させるだけで、すぐに使えます。週に一度、すべてのバケツを掃除する習慣をつけましょう。

　水の必要量を減らす。平均的なアメリカ人は、1日に約80～100ガロン（303～379L）の水を使用しています。この数字は、自分自身の水の安全保障を確立したい人にとって、耐え難いものです。ありがたいことに、実際には一日にそれほど多くの水を必要とする人はおらず、それは単に現代の利便性の結果です。

　しかし、オフグリッドになると、水は気にせず使える資源から意識すべき資源に変わります。食器や洗濯物、そして自分の体の洗い方も考え直さなければならないのです。トイレや洗面台も、まったく新しい視点で取り組まなければならないでしょう。節水にはさまざまな方法がありますが、ここではいくつかの方法をご紹介します。。。