食の正義を育むヴァージニア・フリー・ファーム

マザーアースニューズ  農

困っている人に無料で栄養価の高い食べ物を提供したいという願いから、この農場は地域のために成長し続けている。

文:エイミーローズ・フォル(Amyrose Foll)

翻訳:沓名 輝政

 

 ヴァージニア・フリー・ファーム( Virginia Free Farm at Spotted Pig Holler)に来れば、アメリカの一般的な農場の特徴がたくさん見られるでしょう。ニワトリたちが、次の栽培期に備えて、クチバシでつついて遠くまで歩いていったり、熱心に肥料を与えたりしているのを見られます。アヒルやガチョウは、せわしなく、クチバシで触れられる雑草を残らず抜くのに必死で、農場に美しい卵の恵みを与えています。自然の生態系の多様性を模倣したポリカルチャーガーデンの絡み合いや、親切な訪問者がごちそうを分けてくれることを期待して、豚が耳を傾ける人に向かって騒々しくブーブー鳴いているのに気づくことでしょう。それはロックウェルの絵のようなのどかな風景であり、多くの人が牧歌的な農場を思い描くときに思い浮かべるものです。しかし、この農場が他と違うのは、ここで生産された食べ物がすべて配られていることです。

 

フリーファームの設立

 農業をするもっと良い方法があると言ったら?ピエモンテの丘と同じくらい古い方法、それは私たちの周りにあるもので、芽を出すしかるべき条件を種のように辛抱強く待っています。

 数年前、私はファーマーズマーケットや、レストランやブティックの食料品店への配達に疲れを感じ始めました。誤解しないでください。私はその生活が大好きで、私が育て、養ってきた人々を愛していましたが、3 人の小さな男の子を持つシングルマザーとして、それが私の幸福に影響を与えていました。家族がこの生活を送るのは十分に難しいことですし、一人で土地を耕す女性として、毎日それを実現するために絶対的に体が頑丈でなければなりませんでした。私には変化が必要だということがはっきりしました。だから、しばらく時間をかけて、身につけているコマーシャルデザインのビジネスを上手く回して、新しい夫のデレクがそばにいてくれたこともあり、私は新しい方向に進み始めました。

 私は 20 年近くにわたって積極的に農業をしてきましたが、2019 年、ヴァージニア・フリー・ファーム(501 (c) (3) の非営利団体[米国の内国歳入庁から認証を得て、税制上の優遇措置が認められている団体]で、高品質で栄養価の高い食品を必要としている人々に提供することに焦点を当てている)を設立したときに私の心の中心にあるものを発見しました。

 2019 年の早い時期に私はいつも通り菜園の準備を始め、それ以前に毎年繰り返してきたように、野菜たちはすぐに一世帯が消費できる以上のものを生み出してくれました。それに伴い、フリー・ファームの本当の仕事が始まりました。あまり考えずに、私たちは食べ物を貰ってくれる人を見つけたら誰にでも配り始めました。口コミが広まり、地元のテレビニュースのパーソナリティが私たちのメッセージを伝えてくれました。すると人々が助けを求めて大騒ぎに。私たちは大喜びしましたが、すぐにこのプロジェクトは自分たちだけでは手に負えなくなってしまいました。そこで、私たちは非株式会社を設立し、内国歳入庁からの非営利団体としての地位を得るための書類を完成させ、団体としてのメッセージ(と豆)を広めるための作業に取り掛かりました。

 ヴァージニア・フリー・ファームは、流行の農法に渦巻いているマーケティングの流行語の中で、余計なもの、時には矛盾したものが交差するところに存在しています。私が話しているのは、持続可能な手法、パーマカルチャーの手法、再生可能な手法、そして今の時代の流行に応じて、今後数年のうちに続くであろう無数の他の動きについてです。私たちは農場を、それらのすべてであると同時に、それらのどれでもないと考えていて、「シュレディンガーの猫の農場」のようなものでしょうか。私たちはヴァージニア州中央部とピエモンテ州の広い範囲にサービスを提供しており、時にはワシントン D.C. の首都圏の軍人家族にも、姉妹農場である「フィールズ 4 ヴァロー」(Fields 4 Valor は、仲間の米軍退役軍人のピーター・スコットが設立。詳しくは www.FieldsForValor.org をご参照)との相互扶助を通じてサービスを提供しています。この生活は気の弱い人にとっては楽なものではありません。しかし、献身的なボランティアやスポンサーの協力を得て、私たちは実現できています。

 

集団主義の概念

 「なぜ」を理解するには、私が何者であるかを理解する必要があります。私は第一に先住民族の女性であり、第二に種子を保存する人です。農を営む母親たちの何千年にもわたる子孫である私は、私が授かったネイティブアメリカンの農業の伝統の神聖な遺産を継承するために、日々精進しています。1524 年にジョヴァンニ・ダ・ヴェッラッツァーノが初めて北東部の海岸に足を踏み入れたとき、彼が目にしたのは手つかずの荒野ではなく、広大で綿密な農場が広がるワバナキのフードフォレストと、数え切れないほどの世代の私の祖母たちがまとめて世話をしてきたセブンシスターズ(Seven Sisters)の菜園でした。すべての人を養う農業という集団主義的な概念は、私たちを絆として、部族として、そしてもっと広い意味でワバナキ族として結びつける最も基本的な文化的価値観のひとつです。私たちの文化では、誰も空腹になることはありません。

 この農場は現在、理事会の指示の下で運営されており、プログラムを拡大し、部族の伝統的な集団的価値観である、お互いに、地域社会に、そして地球に責任を持つという伝統的な価値観を受け入れてきたボランティアの強力なチームと一緒に運営されています。食の正義は地域社会の正義の重要な部分であり、飢餓と戦うことで、私たちは地域社会の構造を強化し、まだ生を受けていない人々の生活を向上させます。ヴァージニア・フリー・ファームでは、必要とする人たちに食料を提供するだけでなく、いくつかの方法でこれに取り組んでいます。

 

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