微糖でジャムを作る

このレシピとコツで、市販のペクチン不使用の

微糖ジャムを維持する各種方法が分かる。

 

低糖で市販のペクチンを使用しないジャムは、果物そのものの味がする。

Photo by iStock/marcomayer. 

 

文:アンドレア・チェスマン (Andrea Chesman) 

翻訳:藤井 さわ

 

初めてジャムづくりをした時、近所の祖母アニエスに、ジャムを固めるために、市販のペクチンを一箱買うよう言われました。私は必要とされる砂糖の量に驚愕し、出来上がったジャムは甘すぎると感じました。暑い陽射しの中で一生懸命摘んだ苺の味より、砂糖の味がしました。

 そこで私は、ペクチンが市販される前から人はジャムづくりをしていたはずだと思い、ペクチン無しの低糖ジャムづくりに試行錯誤し始めました。ペクチンは、熟した果物や野菜の細胞壁にもともと存在する物質です。果物に火が通って煮崩れると、ペクチンがジャムを固まらせ、とろみをつけるため、トーストやピーナッツバターとジャムのサンドウィッチが、水分でぐちょぐちょになりません。

 スーパーマーケットの出現前、家庭料理する人たちは、果物を砂糖と煮詰めるだけのジャムをつくっていました。ペクチンについて何の知識がなくとも、コンコルド葡萄などすぐにゲル化する果物もあれば、苺などしっかりと煮詰めなければならない果物もあることを知っていました。レモン汁を少量加えることで、どんなジャムも固まることもわかっていました。

 米国で1920年代に抽出ペクチンが市場に出回った際、この便利な新商品を手料理する人たちは受け入れました。果物ジャムづくりに勘を働かせる必要がなくなり、ジャムやゼリーづくりに要する時間も大幅に減りました。もちろん、初期の市販ペクチンでジャムをつくるには、白砂糖を使い、出来上がったジャムの重さの 60〜65% が砂糖になるよう指示されました。一方で、市販のペクチンを使うことにより、出来上がる量は大幅に増えました。なぜなら、果物をそれほど煮詰めずに済み、果物が焦げ付かないようかき混ぜる時間も少しで済むようになったからです。

 1980年代にポモナのユニバーサル・ペクチン (Pomona’s Universal Pectin) が市場に登場しました。このペクチンは大量の砂糖の代わりにカルシウムを加えることでうまくいくようにできています。しばらくすると、他ブランドの低糖ペクチンや無糖ペクチンも手に入るようになりました。

 今では、低糖あるいは無糖のペクチンでジャムをつくろうと思えば、ビン詰め用品を扱っているところ(通常ホームセンター、スーパーマーケットやオンライン)に行けば商品は見つかり、パッケージに記載された手順に従ってつくれます。

 扱いやすいブランドもあれば、そうでないものもあります。微量のブドウ糖や保存料を含むものもあります。中には時と共に分解がすすみ、数か月後にはゆるいジャムになってしまうものや、瓶の中で分離してしまうものもあります。オンラインでは、各ブランドの様々な意見が見られます。私はBallの低糖または無糖ペクチンが好きです。他ブランドのものよりも扱いやすく、とろみは長持ちしますし、塊ができないよう、予めペクチンに甘味料を混ぜておく必要もありません(ポモナの場合は必要。)

 さて、先に進む前に、ひとつ大事なことを念頭に入れておかなければなりません。どんな糖類(グラニュー糖、黒砂糖、メープルシロップや蜂蜜)であれ、保存料です。甘味料を全く加えないジャムは、味に深みがなく、保存が効きません。ペクチンを加えた無糖ジャムは、10分間沸騰した湯煎か、圧力ビン詰め器で処理さえすれば、問題なく保存できます。同様に、煮詰めたペクチン無しの無糖ジャムも、15分間の処理で、保存が効くようになります。ただし、いったん開栓すると、カビが生えたり、発酵が進みやすくなります。開栓した低糖や無糖のジャムは、10日から14日ほど保存できます。一般的な市販のペクチンでつくる砂糖の多いジャムは、冷蔵庫で何か月も保存でき、より明るい色で、より凝固しています。

 低糖や無糖のジャムが悪くなる前に食べ切る自信がなければ、120ml 瓶にジャムを詰め、処理時間は、前段落で指定したのと同様にします。

 私は長年にわたり、いろいろな果物、いろいろな甘味料、甘味料の量もいろいろと変えて作ってみました。わかったことをお伝えします。

 蜂蜜とメープルシロップは、ジャムに向きますが、果物の味と喧嘩しがちなので、半分は白砂糖、半分は他の甘味料を使うことを考えてみましょう。

 微糖のジャムは、味に深みがなかったり、酸味も強いかもしれません。我が家は、軽く甘みづけしたジャムを好みます。ペクチンを加える時は、果物2700gに対し、2カップの砂糖、あるいは他の甘味料を使います。果物を煮詰めていく時は、果物約 1800g に対し、1と1/2カップ~2カップの砂糖やその他の甘味料を使います。

 お好みの果物に、みじん切りにしたリンゴ数個を合わせることで、ペクチンを加えることもできますが、果物の味がリンゴで薄まります。

 冷凍フルーツでもジャムはつくれます。あるいは、いろんな種類のベリー類や核果類(桃、ネクタリン、チェリー)を組み合わせる場合などは、生果実と冷凍フルーツを混ぜるのもいいでしょう。

 ジャムを市販のペクチンを加えずにつくる時は、火からおろすタイミングを見極めなければなりません。火からおろすのが早すぎると、ゆるいジャムになり、遅すぎると、ほとんど塊のようなスプレッドとなり、砂糖をカラメル化した味になります。ジャムができているかを判断する簡単な方法として、少量のジャムを冷やしたお皿の上に垂らします。指の跡がはっきり残るようであれば出来上がりですし、跡が残らなければまだです。

 ジャムやその他プレザーブを一年保存したり、カビの発生を防ぐには、沸騰した湯煎や圧力ビン詰め器で処理します。殺菌済みの瓶を使用する場合でも、5分だけと処理時間をとても短くするのは、大量に砂糖を加える時のみにします。低糖や無糖のジャムにペクチンを加えるのであれば、10分処理します。ペクチンを加えないのであれば、National Center for Home Food Preservation(国立家庭の食品保存センター)のガイドラインに従い、低糖ジャムを15分処理します。

 ジャムはトーストにつけるスプレッドにとどまりません!パンケーキやフレンチトーストにかけるメープルシロップの代わりにジャムをつけましょう。自家製アイスクリームが出来上がる5分程前にジャムを混ぜ入れましょう。フルーツバーに生果実を挟む代わりにジャムを使いましょう(クッキーを下に敷き、ジャムを載せ、クランブルをトッピング。)あるいはエンゼルケーキやパウンドケーキのトッピングにも使えます。ジャムはどんなデザートをも彩ります。

 市販のペクチンを使ったジャムの舌触りは、よりゼリー状で、市販のペクチンを使わないでつくったジャムは濃厚な果物スプレッドのようです。

 ハーブやスパイス、あるいはリキュールや蒸留酒で香りづけして珍しいジャムもつくれます。そちらがお望みであれば、果物の味を壊さないよう、控えめに加えることです。私は、果物そのものの味のするジャムをつくるのが好きです。

 

レシピ

 

ペクチン無添加の微糖ブルーベリージャム

 

ペクチン無添加の微糖桃ジャム

 

ペクチン無添加の微糖サワーチェリージャム

 

 

アンドレア・チェスマンはバーモント州にある約1200坪の自作農場で生活し、料理研究と著述業の他、料理を教えている。彼女の著書「Serving Up the Harvest(収穫物を食卓に出す)」と「The Backyard Homestead Book of Kitchen Know-How(自作農場裏庭のキッチンハウツー本)」はこちらで入手可。

 

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Making Low-Sugar Jams

By Andrea Chesman |  August/September 2017