ユニークなピクルス液を創る

マザーアースニューズ ピクルス レシピ

お気に入りのビン詰めレシピを新たに作ろう。要るのは、清潔な瓶、シンプルな材料、あなたの想像力。

 

文:タミカ・アジェミアン (Tamika Adjemian)

翻訳:松並 敦子

 

清潔な瓶、シンプルな材料、そしてあなたの想像力を働かせて、みんなが気に入ってくれるようなオリジナルのビン詰めレシピを作ってみましょう。

 何年も前のことです。私は料理の仕事としてパン職人から転向しようと、マスターフードプリザーバー [保存食品の専門家] の講座に参加しました。私は生まれつき、試しながら料理をするタイプで、父から「まさにパンと魚の奇跡 [イエスが 5 個のパンと 2 匹の魚で 5 千人以上の人々の空腹を満たしたという奇跡]」と言われるなど、僅かな食材から美味しい食事を作り出すずば抜けた才能があります。マスターフードプリザーバー講座の初日、尊敬する講師陣からあっさりと、「ビン詰めは創造的な料理ではありません」と言われました。そうです。このままの言葉を聞かされたのです。さらに、先生方は実験室できちんとテストして確立されたレシピに常に従わなければならないとも話されました。

 私は大きなジレンマに陥ったまま、講座に参加していました。料理人としてのキャリアの向上を目指して、この講座に参加したのに、私の創造的な料理表現を厳しく制限するように言われたのも同然だったからです。そこで、私はこうした思いを何とかする方法を見つけました。私は職種替えしたことで、全てのビン詰めレシピを実験室でテストする国際的なブランドのためにレシピ開発をする仕事に就く幸運に恵まれることになったのです。私はこれまでに pH4.6 以下という基準値に満たないレシピを 2 つ作ったことがあります。両方ともピクルスにはなりませんでした(興味のある方のために申し上げておくと、1 つは柿、もう 1 つはイチジクを入れたレシピで、両方とも酸性度が足りませんでした)。さあ、皆さんのピクルス作りに対する意欲を高めさせてください。

 これからの皆さんの助けとなる、皆さん独自のレシピを開発するのに必要な全てがここにあります。様々なピクルス液の配合はもちろん、それらに一番良く合う香りづけ、調味料、野菜、果物の提案を紹介します。

 

 

ピクルス液作り

 まず、ピクルスに適した食材の安全チェックリストから始めましょう。私のレシピには、種類以上の野菜が入ることはほとんどありません。また、私が必要以上の酢を入れるのには、つ理由があります。つは皆さんに安全に使えるピクルス液の定型を持っていて欲しいからです。そして、もう 1 つは酸味は塩、甘味料、香料、調味料、そして農作物とうまく組み合わせると、とても良い風味になるからです。これから紹介するガイドラインに従えば、皆さんオリジナルのピクルス液のレシピが作れます。

 他の液体材料に対して少なくとも 50 の酢を加えたピクルス液を使います。安全性を確実にするなら、酢を 50 以上使います。基本のピクルス液はホワイトビネガー 360ml に対して水 240ml です。

 ビン詰めのピクルスに使うビネガーには特定の割合の酢酸が必要なので、少なくとも 5 の酸性度に希釈されていることが検査済みの市販のビネガーを使ってください。こうすれば、出来上がりのピクルスの pH が食べても安全なことが保証できます。

 何か別の液体を加えるときは、基本のピクルス液(ホワイトビネガー 360ml に対して水 240ml)の水と置き換えて換算します。水は半量でも全量でも、他の液体と置き換えられます。例えば、水の代わりにオレンジ果汁を使ってみましょう。水120ml をオレンジ果汁 120ml で置き換えると、ピクルス液のレシピは次のようになります。

 

・ビネガー・・・360ml

・水・・・120ml

・オレンジ果汁・・・120ml

 

このピクルス液の配合を保っていきましょう。酢を加えたり、替えたりすると、ピクルス液は次のようになります。

 

・ホワイトビネガー・・・240ml

・シェリー酒ビネガー(あるいは、赤か白のワインビネガー、またはリンゴ酢)・・・120ml 

・水・・・120ml

・オレンジ果汁・・・120ml

 

 さて、塩と甘味料を加えます。塩は小さじ 2、甘味料としての砂糖か蜂蜜は大さじ 1 です。少し香りづけをする成分として、つぶしたニンニクを 1  2 片、おろした生姜かターメリックを大さじ 1、それから、香辛料として、黒コショウの実小さじ 1、コリアンダー小さじ 1、シナモン小さじ 1⁄2 など、全て炒ってから加えます。これで、ピクルス液は完成です。

 

・ホワイトビネガー・・・240ml

・シェリー酒ビネガー・・・120ml

・水・・・120ml

・オレンジ果汁・・・120ml

・塩・・・小さじ 2

・蜂蜜か砂糖・・・大さじ 1(好みで)

・ニンニク(つぶしておく)・・・ 2 

・生のおろし生姜かターメリック・・・大さじ 1

・黒コショウ粒(炒っておく)・・・小さじ 1

・コリアンダー粒(炒っておく)・・・小さじ 1

・シナモン(パウダーか砕いたもの。炒っておく。)・・・小さじ 1⁄2

 

 このピクルス液にはカリフラワー、フェンネル、ニンジン、ビーツ、玉ねぎが最適です。このレシピは、私が今まで食べたり読んだりして感動した味に基づいています。

 このレシピは私が確かめていますので、実際に作れます。少し風味を変えたビーツのスパイスオレンジピクルスのレシピで、納得してもらえるでしょう。 

 

 

 

完璧なレシピのための配合いろいろ

 ピクルス液を作り始める前に、レシピを書き出しておきましょう。即興で適当に配合していて、思わぬ成果が出ることがあります。ですから、しっかり書き留めておけば、そのピクルスがとても美味しかったときに、同じものが再現できるのです。やりましたね! 酸性度も一定に保たれているでしょう。

 

ライムとレモンの果汁は、オレンジ果汁より酸性度が高いので、基本のピクルス液のビネガーを少量だけ 60ml まで置き換えられます。

 

・ホワイトビネガー・・・300ml

・レモン果汁・・・60ml

・水・・・240ml

 

白ワインと赤ワインのビネガーはホワイトビネガーやリンゴ酢より酸性度がさらに高いので、これらを使う場合のピクルス液は次のような配合になります。

 

・赤ワインビネガーか白ワインビネガー・・・300ml

・水・・・300ml

 

あるいは:

 

・赤ワインビネガーか白ワインビネガー・・・240ml

・赤ワインか白ワイン・・・120ml

・水・・・240ml

 

ビネガー 60ml と水 60ml は別の酸性度の高い液体と置き換えることができます。あるいは、水 120ml を置き換えて、ビネガー量は 300ml のままにしておきます。

バーボンのピクルス液を作りたいなら、次のようになります。

 

・リンゴ酢・・・360ml

・バーボン・・・120ml

・水・・・120ml

 

 メスカル、ウーゾ、パスティスなどもっと風味の強いリキュールは、大さじ 2  3 程度の少量に留めておきます。

  

 

ピクルスであれこれ楽しんでみよう

 ピクルス液を作ってしまえば、次は酢漬けの工程です! ピクルスをビン詰めにして保存するには、煮沸したビン詰め用の瓶に入れ、蓋付きの大型深底鍋かスチーム式キャニング鍋で、脱気と殺菌のために過熱処理をします。加熱処理時間が終わったら、鍋から瓶を取り出して、折りたたんだ布巾の上に置き、冷めるまでそのままにしておきます。それから、瓶がちゃんと密閉されているかどうかを確認します。密閉ができていない瓶は、直ぐに冷蔵庫に入れて、できるだけ早く食べます。密閉された瓶は冷暗所で 1 年間保存できます。

 次に紹介するレシピは、皆さんのピクルス作りの意欲をかき立ててくれるでしょう。少量を保存する方法を学んだので、普通ならピクルスにしようなどとは思いもよらなかった季節の野菜や果物を新しい目線でとらえられるようになったかもしれませんね。旬の時期に保存するので、瓶の中に新鮮な材料と風味と栄養を閉じ込めることができます。旬の時期が終わっても、食品庫に旬の味があると、本当に嬉しいですね。

マザーアースニューズ ピクルス レシピ

酢と組み合わせるフレーバーのアイディア 

 オレンジはホワイトビネガー、赤と白ワインビネガー、シャンパン酢、シェリー酒ビネガーとよく合います。赤と白ワイン、ラム、バーボン、ウイスキー、テキーラ、メスカル酒、オレンジリカー、パスティスなどのお酒も加えられます。

 ピンクグレープフルーツはホワイトビネガーと白ワインビネガーとよく合います。お酒を加えるなら、白ワイン、テキーラ、メスカル酒、オレンジリカー、パスティスです。

 レモンはホワイトビネガー、白ワインビネガー、シャンパン酢、シェリー酒ビネガーとよく合います。お酒なら、白ワイン、ウイスキー、テキーラ、メスカル酒、オレンジリカー、パスティス、ウーゾです。

  ライムはホワイトビネガーに限られます。そして、追加するラム酒、テキーラ、メスカル酒、オレンジリカーによって可能性が広がります。

 

タミカ・アジェミアン (Tamika Adjemian) は、レシピ開発者、料理コンサルタント、兵営や私学向けのエディブル・エデュケーション・ブログラムの開発者。タミカの情報はこちら。www.TamikaAdjemian.com または Instagram @TamikaAdjemian

 

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